2013年3月10日日曜日

世界初 無限の電力を生み出す高性能マグネシウム燃料電池を東北大共同開発

マグネシューム電池



公開日: 2012/12/23
マグネシウムと塩水で発電! 夢の新型燃料電池を開発 ~無限の電力を生み出す" マグネシウムによるエネルギー循環社会"実現へ~

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http://www.niche.tohoku.ac.jp/wp-content/uploads/2012/02/press20120126.pdf

PDF 1~4

以下抜粋:

2012年1月26日
国立大学法人 東北大学
産業技術総合研究所
(株)古河電池
日本素材(株)

世界初※1「高性能マグネシウム燃料電池」を共同開発
― 次世代燃料電池の実用化に道、1年以内の製品化を目指す―


国立大学法人東北大学・未来科学技術共同研究センター・小濱泰昭教授(以下、東北大学)、産業技術総合研究所(以下、産総研)、(株)古河電池(以下、古河電池)、と日本素材(株)(以下、日本素材)は、共同研究の成果としてマグネシウムを用いた燃料電池を開発しました。

<<開発の背景>>
昨年3月11日発生の東日本大震災では、巨大地震により広域の大停電を引き起こしました。その結果、直後に襲ってきた大津波の情報をテレビやラジオから得る事が出来ず、結果として避難が遅れ、尊い命を失った犠牲者が多く出ました。
この悲惨な事態を回避するために、電力会社からの電力に全面的に依存するのではなく、各家庭などに非常用電源の準備が必要です。電力会社からの電力が途絶えても数日間はテレビやラジオから情報を得る事ができる、また、体調維持の為に冷暖房機器を稼動させる事ができる様な安価な電力システムの構築を目指しました。

<<開発内容>>
東北大学、産総研、古河電池、日本素材は、高性能のマグネシウム燃料電池を開発しました。次ページの写真に示すマグネシウム燃料電池(電気量:60Ah、サイズ:26cm×17cm×10cm)の試作・性能評価を行い、据え置き型電源として、また、乗り物(電気自動車)用の電池として1年以内の商品化を目指しています。
今回開発したマグネシウム燃料電池(一次電池)は、各家庭に安価な非常用電源として設置が可能でです。また、太陽光発電装置などと併用することで、極めて安価であり効果的な非常用電源として備えておく事が可能です。

<<開発の経緯>>
理論上、マグネシウム燃料電池はリチウム2次電池の数倍の電気量を有するため、実用化研究が行われてきました。しかし、①マグネシウムは発火の危険があること※2、②電極が電解液に溶解する(自然放電)、という二つの大きな技術的な問題があるために、実用化画遅れていました※3。

東北大学は、1998 年から宮崎県にある(公財)鉄道総合技術研究所 旧リニアモーターカー実験施設(日向市美々津)において、高効率高速輸送システム「エアロトレイン」(空気の地面効果により浮上、非接触走行)の実験を行っています。産総研九州センターが開発した「難燃マグネシウム(Mg-Al-Ca 合金)」を車体材料として使用することで、時速200kmでの浮上走行実験に成功しました(2011 年)。難燃マグネシウムは「燃えない」という特徴を生かして空気中でも溶接できる※4Mg 合金であり、併せて、特性を調べている内に海水に対する耐食性が従来のMg 合金よりも優れていることが判明したので、急遽今回の高性能マグネシウム燃料電池の開発を行い、実用化の目処がたちました。

<<マグネシウム燃料電池の特長>>
「マグネシウム燃料電池」は、「水素燃料電池」の原料である水素ガス(気体)をマグネシウム(固体)に置き換えた構成で、「空気中の酸素を使う」という発電原理は、水素燃料電池と同じです。

ですが、水素燃料電池は、①高価な白金触媒を多量に必要とすること、②危険な水素ガスの生産・供給・貯蔵技術が確立していない、という問題があり、実用化には未だ多くの解決すべき課題があります。

これに対して、今回開発したマグネシウム燃料電池は、「白金触媒は不要、あるいは微量」で済みます。また、問題点だった①難燃性と②耐海水性ですが、難燃マグネシウム開発により、従来の問題点は大幅に改善されたので、実用化の前の予備実験でも1.55Wh/g のエネルギー密度(理論密度の70%)を達成しています。

本技術は2011 年4 月18 日に国内特許出願を完了し、外国出願の手続き中です。
特許出願 「マグネシウム燃料電池」 特願2011-92297、
出願人 東北大学、産業技術総合研究所、㈱日本素材。

<<マグネシウム燃料電池の具体的性能>>
試作したMg 燃料電池(108 個の超高輝度LED を長時間点灯)の写真と、1 セルの起電力(難
燃Mg+18%塩水+炭素極(白金触媒なし、20Ω負荷、30 時間)を以下に示します。

(Mg 燃料電池の開発試作は、過去にMg 海水電池の開発を経験した古河電池が担当した。)
2011.12.28


補足説明(特にリチウム電池との比較)
(1)Mg燃料電池は難燃Mg電極板、電解液(食塩水)、炭素粉を主体とした正極から構成される一次電池です。一次電池は乾電池と同じく充電できない電池ですが、Mg燃料電池は、腐食生成物である水酸化マグネシウムを金属マグネシウムに熱還元してリサイクル可能です。
実際に、日向灘研究施設で(産業用の電力を使わずに)自然エネルギーによるリサイクルの試験も行いました。70年前に戦艦大和の探照灯用反射鏡として作られた反射鏡(直径1.5m、日本光学製)※5を太陽炉として用いることで、Mg電池の腐食生成物を金属Mg箔として回収する実験に成功しています(2011年9月)。
(2)リチウム2次電池は、充電による繰り返し使用が可能です。しかし、発生する電力は外部から供給・貯蔵されている電力なので、自然放電します。これに対してMg燃料電池が発生する電力は、金属Mg中の自由電子を電流として取り出すので、長期保存による発生電力の低下は理論上ありません。太陽炉で還元したMg電極から電気を取り出すことは、太陽エネルギーを自由電子の形でMg中に貯蔵して利用するという、まったく新しい形のエネルギー利用形態です。電気の安全な貯蔵・輸送が可能な世界初の技術と言って良いでしょう。
(3)リチウムはボリビアなど海外から輸入される希少金属であって、資源量の問題があります。これに対してマグネシウムは海水中にニガリとして0.13%含まれており資源量はほぼ無尽蔵といえます。また、海水からのマグネシウム採集も金属マグネシウムへの還元技術も確立しています。さらに、リチウムは水に触れると発火するので、可燃性の有機溶媒を電解液としており、火災時に爆発の危険があります。これに対し、マグネシウム燃料電池のマグネシウム電極(負極)は高温でも燃えず、電解液は食塩水(5~13%)、正極は基本炭素粉なのできわめて安全という特長があります。


<注釈の説明>
※1 :平成24年1月16日現在。東北大学・(株)古河電池・日本素材(株)調べ
※2 :通常のマグネシウムは燃えやすいので花火に使われています。
※3 :マグネシウムの既存技術は調べた範囲では以下の2つでした。
(1)海難信号発生用のマグネシウム海水電池:古くから販売されているが、動作時間が短いという問題があります。。
(2)㈱ナカバヤシ:単3のマグネシウム電池を発売(2011年8月 世界初?))
※4 :一例として、マグネシウム加工専門の株式会社 宮本製作所のHPから引用します。
(このサイトはgoogleで「マグネシウム 溶接」でヒットした中から選びました)
http://www.miyamotoss.co.jp/magne_welding.html
「マグネシウムは酸素があると高温で容易に酸化し、生じた酸化膜と酸化物は溶接においてはぬれ性を阻害します。このため溶接では不活性ガスを使い酸化が大きい溶融金属とその周辺を覆う必要があります。」
※5 :太陽炉精錬の経緯は、「週間新潮」(2011.12.22号)に掲載されました。



本件に関する報道関係からのお問い合わせ先

国立大学法人 東北大学 未来科学技術共同研究センター 小濱研究室
Tel:022-795-4088
E-mail: koho-kohama-lab@niche.tohoku.ac.jp
産業技術総合研究所 知財部 (Tel:029-862-6158)、
古河電池株式会社いわき事業所 (Tel:0246-43-0080)、
日本素材株式会社 (Tel:022-226-2808)

以上

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参考リンク

http://yumenotobiranado.seesaa.net/article/309582994.html

次世代燃料電池「高性能マグネシウム燃料電池」実用化に道、1年以内の製品化を目指す<東北大学・(株)古河電池・日本素材(株)・産総研>3輪電気自動車(EV)の走行実験成功2012年12月11日

電池を征するものは、世界を征する。
といわれていたわけですが、実際、そのとおりになった。
「リチウム・イオン電池」は、1990年代半ば、日本のSONYが商品化に成功。
すぐに、携帯電話、ノートPCに応用されて、現在ではハイブリッド自動車、電気自動車(EV車)の電源として使用されている。
しかし、「リチウム・イオン電池」には、まだまだ、多くの問題点が指摘されとり、それに代わる近未来の電池が開発されないものか?
と、思っていたら、2012年初頭、とんでもない高性能電池の開発に成功して、しかも、なんと、1年以内に商品化を目指すというのだ。

【マグネシウムが変えるか、日本のエネルギー問題】
「電気は貯められない」。

現在のエネルギー政策は、この主張が大前提になっている。
だが、東北大学未来科学技術共同センター教授の小濱泰昭氏は、この主張に真っ向から異議を唱える。
太陽光でMg(マグネシウム)を精錬し、Mgを組み込んだ燃料電池に加工する……。
こうして、電力を物質の形で蓄え、輸送し、新しいエネルギー循環を作り上げられるという。
同氏は実際に機能するMg燃料電池も開発した。

 燃料電池は何らかの物質を酸素と反応させて電気エネルギー(と水など)を取り出す発電装置だ。
モノ(燃料)を入れると電力が出てくるという点で、火力発電といくぶん似ている*1)。
ただし火力発電よりも効率が高く、CO2(二酸化炭素)の排出を減らせる。

*1) 一方、リチウムイオン二次電池などは電力を入力し、蓄え、電力を出力する装置だ。
モノを入れる必要はないが、最初に電力を入力しなければ機能しない。

 燃料電池はモノを入れなければ動かない。現在広く使われている燃料電池は低分子の炭化水素や水素を燃料として用いる。
例えば家庭用の設置型装置である「エネファーム」はCH4(メタン)を主成分とする都市ガスなどを使い、燃料電池車(FCV)ではH2(水素)を主成分とするガスを利用する。
いずれも原料物質を酸化する過程で電力を取り出し、水などを排出する。

 燃料電池が大規模に普及し、成功するかどうかには、さまざまな要因が関係する。
 例えば燃料の流通インフラや燃料電池のコスト低減などだ。
しかし、地球全体のエネルギー循環まで考慮すると、長期的には投入するモノが再生可能かどうかによって決まるだろう。
CH4は化石燃料であり、H2は現時点では再生可能になっていない*2)。

*2) 水素は水の電気分解で作り出せるため、原理的には再生可能エネルギー(例えば太陽光発電)で量産できる。
しかし、現在量産されている水素は製鉄の副産物(関連記事:市街地に水素を供給、北九州市で燃料電池の実証実験始まる)やメタノール分解、都市ガス分解などを使って作り出しており、化石燃料が必要だ。

<Mg燃料電池が登場>
 東北大学未来科学技術共同センター教授の小濱泰昭氏が2012年1月26日に発表した「Mg燃料電池」は、再生可能であるところに特長がある。
「太陽エネルギーを使ってMgを精錬するめどがついており、効率よく量産可能な燃料電池が実現する」(小濱氏)。
Mgは地球上で8番目に多い元素であり、海水にもMgCl2(塩化マグネシウム、にがりの成分)として大量に含まれている。
レアメタル問題を起こすこともなく、人体にも無害だ。

 小濱氏の開発品は、燃料電池としてどのような点で優れているのだろうか(図1)。3点ある。

 まず、第1に電池としてのエネルギー密度が高く、小型化に向くということだ。小セルでの実験値は1464mAh/gであり、これはリチウムイオン二次電池の5倍以上に当たる。今回開発したMg燃料電池はまだ小型化の取り組みが十分進んでいないが、鉛蓄電池(35Wh/kg)や、ニッケル水素二次電池(60Wh/kg)を既に上回っており、リチウムイオン二次電池(120Wh/kg)がすぐ目の前に見えている性能だ*3)。

*3) 充電可能な鉛蓄電池やリチウムイオン二次電池と、1回ごとに使い切るMg燃料電池のエネルギー密度を直接比較する意味は薄いという意見もある。Mg燃料電池は、二次電池というよりも充電できない一次電池と似ている。しかし、非常用など、使用時に再充電ができず、1回限りで利用する場合には比較に意味が出てくる。

 次に低コスト化が可能であることだ。原料金属が安価であることなどから「電池の実装について協力を求めた古河電池によれば、60Ah、12Vという開発品と同じ容量のPb電池(2万円)を示して、この半分にはできる」(同氏)という。つまり1万円が目標になる。

 最後に、「寿命」が長いことだ。ここで言う寿命とは、いわゆるサイクル寿命ではない。電池内部にエネルギーを蓄えたまま、どの程度の時間、放置できるかという意味での寿命だ。二次電池は自己放電を起こすため、満充電状態にしても数カ月単位でエネルギーを失ってしまう。「Mg燃料電池は電解液を入れない状態で放置すれば50年、100年持つと考えている。このような性質は非常用電源として優れている」(小濱氏)*4)。

*4) 電池全体の反応はMgと酸素、水が反応してMg(OH)2(水酸化マグネシウム)が生成するというものだ。正極の反応は1/2O2+2H++2e- → 2H2O。負極の反応はMg+2H2O → Mg(OH)2+2H++2e-。電池全体の反応は、Mg+1/2O2+H2O → Mg(OH)2だ。

【羽の生えた鉄道の研究から始まった】
 Mg燃料電池が生まれたきっかけは何だったのか、何がブレークスルーなのか、小濱氏に電話でインタビューする機会を得た(図2)。

@IT MONOist(MONOist) Mg燃料電池が生まれた背景を教えてほしい。

小濱氏 私の専門はそもそも電池とは無関係の流体力学だ。長年、乗り物の効率向上に取り組んでおり、高速輸送が可能な乗り物「エアロトレイン」(図3)を提案してきた。約20年前に最初のモデルを発表している。ただし、研究の当初から、輸送機関のエネルギー問題が気になっていた。リニアモーターカーのような高速輸送機関はエネルギーを大量に消費する。いわば原子力発電所を前提とした輸送機関であり、エネルギー問題の今後を考えるとこれではだめだ。そこで自然エネルギーだけで時速500kmで走行できる輸送機関の研究を続けた。

MONOist エアロトレインにMgが必要だったのか。

小濱氏 そうだ。軽量化が必要だった。Mgを取り入れたエアロトレインのモデルを2010年に開発できた。産業技術総合研究所基礎素材研究部門(九州センター)の協力を得て、難燃性Mg合金を見つけ出すことができたからだ*5)

*5) Mg(比重1.74)はAl(アルミニウム、比重2.7)の3分の2と軽い。
しかしMgは、発火、燃焼しやすく、成形加工が難しいなどの理由から、これまで構造材としての利用が広がっていなかった。
関連資料:「産総研のハイテクものづくり(第10回)」(PDF)http://www.sokeizai.or.jp/japanese/publish/200706/201102watanabe.pdf

MONOist しかし、このMg合金は電池とは無関係なのではないか。

小濱氏 エネルギー問題について常に考えていたため、新しいMg合金の電気的特性を調べることにした。2010年の暮れに基礎実験を始めたところ、非常に良い特性を持っていることが分かった。例えば、純粋な金属Mgを使って燃料電池を構成すると、1日で電池としての性質が失われてしまう。Mgを電解液に入れると水素を出して溶けてしまうからだ。電流を取り出すことがほとんどできない。溶け出さないようにすると、表面に酸化被膜などができてしまい電池として役に立たない。ところが、新しいMg合金では電池として3週間機能した。

MONOist 成功の秘密は何なのか。

小濱氏 Ca(カルシウム)だ。もともとはMgの発火、燃焼を抑制するためにCaを添加したものであり、なぜ電気化学特性が良くなるのかは不明だ。しかし、水素の発生などの不具合が起きなくなった。Mg電池の実装については、これまでMg燃料電池に取り組んだ経験がある古河電池に協力を仰いだ。だが、古河電池は従来のMg燃料電池がものにならないことを理解しており、当初は「ダメだろう」という対応だった。しかし、新Mg合金を試した結果、「これは違う」ということになった。

 今後は正極、負極ともにさらに内部抵抗の低減が必要であり、電池としての耐久性も高める必要がある。古河電池と協力して取り組む予定だ。

MONOist Mg燃料電池はエネルギー問題に対してどのような意味を持つのか。

小濱氏 これまでは経済発展のために原子力発電は仕方がないことだ、というのが国全体の方針だった。このような方針の前提は、電気は貯められないものだという主張である。だが、私のMg燃料電池は、太陽エネルギーをMgの形に貯めることができる。Mgはモノだから、輸送も可能だ。送電線で長距離送電する場合と異なり、効率低下もない。

MONOist 今後の研究方針について教えてほしい。

小濱氏 これからは「燃料を作る時代」に入ったということを主張したい。化石燃料や原子力はもう50年もたない。その後は燃料物質を作るしかない。ちょうど食料を調達するために、当初は直接採取だったものが生産(農業)に変わっていったようなものだ。

 燃料を作る際、太陽エネルギーを利用すれば、Mgを作り出して消費しても、元のMgに復元できる。このようなサイクルを成り立たせる研究を続ける。

<どうすればMgサイクルを作り出せるのか>
 インタビューを終えて感じたことは、小濱氏の議論が燃料電池単体だけで小さく閉じていないことだ。研究の発端が輸送機関にあったためか、一国、さらに世界のエネルギー循環をどうすれば作り上げられるかを考慮した形になっている。

 同氏の構想は、欧州と中東、北アフリカの各地に分散する再生エネルギー発電所(風力、太陽熱、太陽光など)を長大な送電網で結ぶDESERTEC(デザーテック)構想と似ている。ただし、日本向けに改良を加えた形になっている。

 地球上で太陽エネルギーを得やすい場所は限りないが、いずれも熱帯や乾燥地帯に位置する。欧州はこのような条件を満たす国と地中海を挟んで隣り合っており、無理のないエネルギーネットワークを形成できるだろう。

 一方、日本はこのような条件を満たす国から遠く離れている。小濱氏によれば、太陽エネルギーを得やすいオーストラリアでは70km四方の土地*6)を使うだけで日本が消費する全エネルギーを得られるという。残念ながらオーストラリアと日本の直線距離は6000kmにも及び、送電は非常に難しい。

*6) オーストラリアの国土面積は2770km四方に相当する。なお、オーストラリアは世界有数の日照条件を誇る(関連記事:成功するメガソーラーの条件とは、日本商社がドイツで取り組む)。

 ここで小濱氏の構想が生きてくる。オーストラリアで金属Mgを作り出し、日本に送る、さらに日本から使用済みのMgO(酸化マグネシウム)をオーストラリアに送るという物質循環であれば送電とは異なり、実現可能だ(図4)。数千km離れた地点からエネルギー源を大量に運び利用する。これはまさに中東から原油を運んで燃やしている現在の姿と重なる。

 小濱氏は「砂漠が燃料工場になる」と主張している。具体的にはどうやって金属Mgを作り上げるのだろうか。このような疑問にも回答を用意している。例えば、2011年10月には凹面鏡を使った金属Mg精錬技術を発表している(図5)。リニアモーターカーの走行実験に使われていた実験施設内(宮崎県日向市)に設置した凹面鏡を利用したものだ。
 Mg燃料電池の性能改善とともに、低コストで金属Mgを作り上げる技術の改善が進めば、石油などの化石燃料の置き換えが進むだろう。

【実用化に向けた取り組み】
2012年12月11日、東北大学未来科学技術共同研究センター(小濱泰昭教授ら)と古河電池、産業技術総合研究所などのグループがマグネシウム電池搭載の3輪電気自動車(EV)の走行実験を福島県のいわき市-仙台市間、走行距離は約100キロで行い、平均時速50~55キロで走行し完走した。

以下、参照「東北大学未来科学技術共同研究センター」http://www.niche.tohoku.ac.jp/?page_id=1189
国立大学法人東北大学・未来科学技術共同研究センター・小濱泰昭教授(以下、東北大学)、産業技術総合研究所(以下、産総研)、(株)古河電池(以下、古河電池)、と日本素材(株)(以下、日本素材)は、共同研究の成果としてマグネシウムを用いた燃料電池を開発しました。


2012 年 1 月 26 日
国立大学法人 東北大学
産業技術総合研究所
(株)古河電池
日本素材(株)

http://www.niche.tohoku.ac.jp/wp-content/uploads/2012/02/press20120126.pdf

世界初※1「高性能マグネシウム燃料電池」を共同開発
― 次世代燃料電池の実用化に道、1 年以内の製品化を目指す―


補足説明(特にリチウム電池との比較)

(1)Mg 燃料電池は難燃 Mg 電極板、電解液(食塩水)、炭素粉を主体とした正極から構成される一次電池です。
 一次電池は乾電池と同じく充電できない電池ですが、Mg 燃料電池は、腐食生成物である水酸化マグネシウムを金属マグネシウムに熱還元してリサイクル可能です。
実際に、日向灘研究施設で(産業用の電力を使わずに)自然エネルギーによるリサイクルの試験も行いました。
 70 年前に戦艦大和の探照灯用反射鏡として作られた反射鏡(直径 1.5m、日本光学製)を太陽炉として用いることで、Mg 電池の腐食生成物を金属 Mg 箔として回収する実験に成功しています(2011年9月)。

(2)リチウム 2 次電池は、充電による繰り返し使用が可能です。
 しかし、発生する電力は外部から供給・貯蔵されている電力なので、自然放電します。
これに対して Mg 燃料電池が発生する電力は、金属 Mg 中の自由電子を電流として取り出すので、長期保存による発生電力の低下は理論上ありません。
太陽炉で還元した Mg 電極から電気を取り出すことは、太陽エネルギーを自由電子の形で Mg 中に貯蔵して利用するという、まったく新しい形のエネルギー利用形態です。
電気の安全な貯蔵・輸送が可能な世界初の技術と言って良いでしょう。

(3)リチウムはボリビアなど海外から輸入される希少金属であって、資源量の問題があります。
 これに対してマグネシウムは海水中にニガリとして 0.13%含まれており資源量はほぼ無尽蔵といえます。
また、海水からのマグネシウム採集も金属マグネシウムへの還元技術も確立しています。
 さらに、リチウムは水に触れると発火するので、可燃性の有機溶媒を電解液としており、火災時に爆発の危険があります。
これに対し、マグネシウム燃料電池のマグネシウム電極(負極)は高温でも燃えず、電解液は食塩水(5~13%)、正極は基本炭素粉なのできわめて安全という特長があります。

「マグネシウム合金」は、工業的に使用されている最も軽い金属で用途は広く、航空機、自動車、農業機械、工具、精密機械、スポーツ用具、スピーカーの振動板、携帯用機器の筐体、医療機器、宇宙船、兵器などの多種にわたる。
問題だった腐食しやすい性質が改善されるにつれ、どんどん使用範囲を広げていった。
さらに使用され安価になればプラスチックを代替する可能性もある。
「空気マグネシウム電池」は、すでに開発されている。
燃料電池の一種であり、負極に金属マグネシウムを使用し、正極に空気中の酸素を使用する。電解液としては食塩水が利用される。
研究および市販化の技術はMagPower Systemshttp://www.magpowersystems.com/により公開されており、90%の効率および-20~55℃の環境下での動作が可能としている。
日本では、埼玉県産業技術総合センターの栗原英紀博士が活物質重量比90%以上の実容量での放電に成功している。

パナソニック(Panasonic)は2日、過酷な環境でも使用できるモバイルPC「Toughbook(タフブック)」シリーズの新製品「Toughbook CF-31」を11月18日に発売すると発表した。Toughbook CF-31は米インテル(Intel)のCore i5プロセッサーと13.1型液晶ディスプレーを搭載。本体はマグネシウム合金で、完全防水、防塵、 耐振動仕様になっている。

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参考リンク

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B5%B7%E6%B0%B4#.E6.A7.8B.E6.88.90.E6.88.90.E5.88.86

海水:Wikipedia

構成成分
海水の塩分濃度は測定の位置により一様ではないが、塩分の構成についてはほぼ一定である。

  96.6%
 塩分 3.4%

この内、塩分は、


海水に含まれる主要なイオン・化学種[4]
成分 化学式質量%溶質%
ナトリウムイオンNa+1.055630.61
マグネシウムイオンMg2+0.12723.69
カルシウムイオンCa2+0.04001.16
カリウムイオンK+0.03801.10
ストロンチウムイオンSr2+0.00080.03
塩化物イオンCl1.898055.05
硫酸イオンSO42−0.26497.68
臭化物イオンBr0.00650.19
炭酸水素イオンHCO30.01400.41
フッ化物イオンF0.00010.003
ホウ酸H3BO30.00260.07

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参考リンク

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A1%A9%E5%8C%96%E3%83%9E%E3%82%B0%E3%83%8D%E3%82%B7%E3%82%A6%E3%83%A0

塩化マグネシウム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』  

塩化マグネシウム
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識別情報
CAS登録番号7786-30-3,
7791-18-6(6水和物)
日化辞番号J43.880D
RTECS番号OM2975000
特性
組成式MgCl2
モル質量95.211 g/mol(無水物)
203.31 g/mol(6水和物)
外観無色固体
密度2.325 g/cm³(無水物)
1.569 g/cm³(6水和物)
融点714 ºC (987 K)
沸点1412 ºC (1685 K)
への溶解度54.3 g/100 cm³ (20 ºC)
構造
結晶構造塩化カドミウム型(無水物)
配位幾何構造8面体型6配位
熱化学
標準生成熱 ΔfHo−641.32 kJ mol−1(無水物)
−2499.02 kJ mol−1(6水和物)
標準モルエントロピー So89.62 J mol−1K−1(無水物)
366.1 J mol−1K−1(6水和物)
標準定圧モル比熱, Cpo71.38 J mol−1K−1(無水物)
315.06 J mol−1K−1(6水和物)
危険性
EU IndexNot listed
引火点不燃性
関連する物質
その他の陰イオンフッ化マグネシウム;臭化マグネシウム;ヨウ化マグネシウム
その他の陽イオン塩化カルシウム;塩化ストロンチウム;塩化バリウム
特記なき場合、データは常温(25 °C)・常圧(100 kPa)におけるものである。

塩化マグネシウム(えんかマグネシウム、magnesium chloride)はマグネシウム塩化物であり無機化合物の一種で、化学式 MgCl2•6H2O、6水和物は式量 203.3022 の白色結晶である。にがりの主成分のひとつ。


製法 [編集]
塩酸水酸化マグネシウムを溶解して中和させ、濃縮すると6水和物が析出する。
2 HCl + Mg(OH)2 → MgCl2 + H2O
また塩酸にマグネシウムを加えると、水素を出しながら溶けるが、そのときに塩化マグネシウムが生成する。その過程を化学式で表すと
Mg + 2HCl → MgCl2 + H2
となる。
工業的には製塩の副産物として海水から取り出されている。またカリウムとの複塩であるカーナル石 (KCl·MgCl2·6H2O) からも得られる。


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参考リンク

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A1%AB%E9%85%B8%E3%83%9E%E3%82%B0%E3%83%8D%E3%82%B7%E3%82%A6%E3%83%A0

硫酸マグネシウム

硫酸マグネシウム(りゅうさんマグネシウム、: magnesium sulfate)は化学式 MgSO4 で表される硫酸マグネシウム硫酸塩マグネシウムとも呼ばれる。エプソム塩(エプソムソルト)とも呼ばれる。7水和物は無色粉末で、70 ℃ で1水和物、200 ℃ で無水物となり、1124 ℃ で分解する。に易溶、エタノールに微溶。無水物は吸湿性のある白色結晶性粉末で、水分と反応し発熱する。融点1185℃。

硫酸マグネシウムは、医薬品として便秘低マグネシウム血症子癇、子宮運動抑制薬として使用される。農業の分野でも、溶解度の高さのために硫酸マグネシウムが肥料としてじゃがいもトマトバラ等の作物に使用されている。また有機合成の分野では、無水物が乾燥剤として汎用されている。
温泉の一形態である硫酸塩泉では硫酸ナトリウムとともに含有されている。市販されている多くの入浴剤の有効成分は硫酸マグネシウムと炭酸水素ナトリウムである。硫酸マグネシウムには体を温める温浴効果があるので、用のものに特に多く配合されている。豆腐の凝固剤として使われているにがりにも少量含まれている。天日干しで製造されるにも含まれており、精製塩にはない独特の風味を醸す一要素となっている。


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