松田まゆみ @onigumoobasan
これから日本に起こることを予測するためにも、これは読んでおいたほうがいい。アレクセイ・ヤブロコフ博士「チェルノブイリの教訓」文字起こしhttp://www.eizoudocument.com/0645yablokovtxt.html …
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http://npfree.jp/
http://www.eizoudocument.com/0645yablokov.html
以下転載
福島原発事故
Nuclear Free Now 脱原発世界会議2
アレクセイ・ヤブロコフ博士「チェルノブイリの教訓」
2012年12月15日~16日 東商ホール、日比谷公園
脱原発世界会議2でのアレクセイ・ヤブロコフ博士(ロシア科学アカデミー、生物学者)の発言より、チェルノブイリ原発事故の健康被害に話を絞って再構成した。
ヤブロコフ博士は、ガンは健康被害の一部にすぎないとして、様々な疾患・障害の増大を報告、危険な汚染レベルについて、長期にわったって住み続けるなら1キュリー/km2の場所でなんらかの健康被害が出ていると語った。
1キュリー/km2=3万7000ベクレル/m2で、その場所の空間線量は、換算すると自然放射線も含め年1ミリシーベルト程度である。(セシウム137から年0.74ミリ+自然放射線から年0.35ミリ)
ここ日本でも同様のことが起こるという博士の警告を受けとめてほしい。チェルノブイリの現在は福島原発事故の26年後でもある。
(荒川俊児)
Nuclear Free Now 脱原発世界会議(http://npfree.jp/)
23分24秒(WMVファイル 205.3MB)
◎映像を文字に起こしました⇒アレクセイ・ヤブロコフ博士「チェルノブイリの教訓」文字起こし(http://www.eizoudocument.com/0645yablokovtxt.html)
Nuclear Free Now 脱原発世界会議
●話を理解するための補足・解説
◎危険な汚染レベル1キュリー/km2
ヤブロコフ博士は、危険な汚染レベルについて「長期にわたって住みつづけるなら1キュリー/km2の場所でなんらかの健康被害が出ている」と語った。
1キュリー/km2は土壌(土表面)の放射能汚染をあらわしたもので、現在使われている単位でいうと
1キュリー/km2 = 3万7000ベクレル/m2となる。
チェルノブイリ事故当時は、放射能の強さをあらわす単位としてキュリー(Ci)が使われていて、当時明確な定義はなかったけれど1キュリー/km2以上の場所を「汚染地域」と呼んでいた。
この発言にある「1キュリー/km2の場所でなんらかの健康被害」について講演のなかで展開してくれなかったのが悔やまれるのだが、低線量であっても長期間被曝しつづけたときには(チェルノブイリ事故後もうすぐ27年)、そこに住む個々人には、講演にあった様々な疾患・障害のうちのひとつかもしれないし、症状としては軽度かもしれないが、なんらかのかたちで出ているということなのだろう。
この汚染レベル、つまり「汚染地域」を福島原発事故にあてはめると、現在の単位では3万7000ベクレル/m2で、大ざっぱにいうと、この文科省が公表した地図の薄緑に塗られたところ(単位が変わったので3万ベクレル/m2が区分になっている)以上ということになる。
(現在の単位になってからの「汚染地域」がどのレベルをさすのか聞いたことがないが、文科省の地図区分からすれば1万ベクレル/m2以上は「汚染地域」と考えるべきだろう)
◎1キュリー/km2の場所の空間線量
1キュリー/km2は、土壌に降った放射能(放射性物質)の量を示したものである。
その放射能から出る放射線が人体に悪さをするわけで、その放射線量をあらわす単位がシーベルト(Sv)になる【追記】
シーベルトは、その場所での放射線量をあらわす単位(厳密にはグレイGrという単位がある)でもあり、それを受ける人間の影響の度合いをあらわす単位でもある。
1キュリー/km2の場所で放射線量(空間線量)がどれだけになるかは、計算方法がある。
ただ私にはその計算ができないので、チェルノブイリ事故後に高木仁三郎さんにおしえてもらったのを書くと、
セシウム137が1キュリー/km2=3万7000ベクレル/m2あったときの空間線量は、米国方式で計算すると、年0.74ミリシーベルトとのことだった。
汚染がなかったときの空間線量は、0.04マイクロシーベルト/時(年0.35ミリシーベルト)ぐらいなので
1キュリー/km2のセシウムから年0.74ミリで、足すと年1.09ミリシーベルトということになる。
自然放射線から年0.35ミリ
それで映像では、「1キュリー/km2=3万7000ベクレル/m2の場所の空間線量は自然放射線も含め年1ミリシーベルト程度」とした。
1キュリー/km2の場所の空間線量については、別の文献もあった(『やっかいな放射線と向き合って暮らしていくための基礎知識』田崎晴明)。こちらはセシウム137と134が6対4で存在する場合、つまり2012年の日本にみあった計算になっている。
詳しくは⇒地表のセシウムによるガンマ線の空間線量率(http://www.gakushuin.ac.jp/~881791/housha/details/CsonGround.html)
これによれば、その場所の空間線量はセシウムによって年1.08ミリシーベルトとなる。
これに自然放射線(年0.35ミリ)をたすと、その場所の空間線量は年1.43ミリシーベルトになる。(2012.1.21追記)
このほかにも補足した方がわかりやすいと思うことがあるので、順次加えていけたらと思う。質問があればお寄せください。
2013.1.18、1.21(荒川俊児)
●関連資料
・ヤブロコフ博士の講演スライド「市民社会にとってのチェルノブイリ事故の教訓」(PDFファイル)(http://www.eizoudocument.com/06genpatsu/45slides.pdf)・ヤブロコフ博士の講演資料「低線量被ばくの問題 公的な放射線安全概念の不正確さ」(PDFファイル)(http://www.eizoudocument.com/06genpatsu/45abstract.pdf)
◎ヤブロコフ博士らの著書
『チェルノブイリ──大惨事が人々と環境におよぼした影響』 チェルノブイリ原発事故の影響について長年研究に携わってきたヤブロコフ博士らの研究チームがまとめた集大成といえる報告書。英語版は2009年にニューヨーク科学アカデミーから出版された。現在、日本語版の翻訳が進められている。 報告書の一部が暫定訳のかたちで以下のサイトで公開されている。 チェルノブイリ被害実態レポート翻訳プロジェクト(http://chernobyl25.blogspot.de/) 『Chernobyl : Consequences of the Catastrophe for People and the Environment』 英語版PDF(http://www.strahlentelex.de/Yablokov%20Chernobyl%20book.pdf) |
◎日本の新生児死亡率
発言のなかにある日本の新生児死亡率は、ドイツの放射線防護専門誌『放射線テレックス』2012年12月号に発表されたもの。
日本の新生児死亡率は、事故から2か月後と9か月後に標準偏差を超えるピークを示している。チェルノブイリ後の西ドイツでも同様の傾向があり、放射線による妊娠中の重要な期間における胎児への影響の結果と解釈されたという。
また2011年12月だけ日本での出生数が落ち込んだことにも触れ、ドイツのバイエルン地方で同様のことが起こったこと、ドイツでは放射線による受胎後数日間における卵細胞の損傷が原因と考えられたと報告している。
訳文は⇒放射線防護専門誌「放射線テレックス」12月号 フクシマ事故後の日本での新生児の死亡率(http://donpuchi.blogspot.jp/2012/12/12_19.html)ブログ「無限遠点」
原文ドイツ語PDF(http://www.strahlentelex.de/Infant_mortality_in_Japan_after_Fukushima.pdf)
●関連サイト
Nuclear Free Now 脱原発世界会議(http://npfree.jp/)
FoE Japan 脱原発世界会議2 チェルノブイリから学ぶ(http://www.foejapan.org/energy/evt/121215.html)
FoE Japan 講演会「低線量被ばくの健康影響:国際機関の放射線安全概念を問う」12月14日(http://www.foejapan.org/energy/evt/121214.html)
チェルノブイリ被害実態レポート翻訳プロジェクト(http://chernobyl25.blogspot.de/)
●話し手紹介
アレクセイ・ヤブロコフ Alexey YABLOKOV
ロシアの著名な環境問題専門家。動物学および海洋生物学を修め、1974年にロシア科学アカデミーの会員となる。1991年から1993年にかけて生態学と公衆衛生についてロシア大統領の顧問を務めたのち、ロシアに隣接する海洋への放射性廃棄物の投棄問題に関する国家委員会委員長を務めた。ロシア環境政策センターの設立者で所長。また2006年よりロシア「緑の党」の代表も務める。
(脱原発世界会議2パンフレットより)
1933年モスクワ生まれ。モスクワ州立大学卒業。生物学博士号(海生哺乳類)取得。ソ連科学アカデミー動物形態学研究所。28の集団生物学、進化生物学、放射線生態学、環境政策に関する本の著者。
1974年~ ソ連・ロシア科学アカデミー客員
1988年~91年 ソ連水産省の魚類学委員会議長
1989年~91年 ソ連最高会議生態委員会副議長ソ連人民代議員
1991年~93年 生態・公衆衛生に関するロシア大統領顧問
1992年~93年 ロシア領周辺海域への放射性廃棄物処理問題に関する国家委員会議長
1993年~97年 ロシア国家安全評議会省庁間生態安全委員会議長
1993年~05年 ロシア環境政策センター創立者および代表
1998年~ ロシア科学アカデミー生態緊急問題に関する科学評議会副議長
1996年からアメリカ芸術科学アカデミー名誉会員
2008年から国際海生哺乳類学会会員
欧州放射線リスク委員会(ECRR)の共同設立者
2005年「緑のロシア」政党主席
(12月14日の講演会の資料より)
●当サイト内の関連映像
◎チェルノブイリの健康被害
ベラルーシとウクライナからチェルノブイリの放射線影響の専門家を招き開催された講演会を記録したDVD
DVD『講演会・低線量被曝に向き合う』(http://www.eizoudocument.com/0638DVD003.html)
◎チェルノブイリ原発事故
チェルノブイリ原発事故の様々な映像を日本において再構成し、高木仁三郎さんが解説したDVD
DVD『ドキュメントチェルノブイリ』(http://www.eizoudocument.com/0618DVD002.html)
Nuclear Free Now
◎Nuclear Free Now 脱原発世界会議2
日時:2012年12月15日(土)~16日(日)
会場:東商ホール、イイノカンファレンスセンター(ルームA)
テーマ:(1)原子力を規制する、(2)IAEAと放射線被ばく、(3)脱原発社会をつくる
国際ゲスト:ポール・ガンター(アメリカ)、アレクセイ・ヤブロコフ(ロシア)、
◎Nuclear Free Now さようなら原発世界大集会
12月15日、日比谷野外音楽堂
◎Nuclear Free Now 世界大行進
12月15日、日比谷
◎Nuclear Free Now 市民ひろば(主催:アースガーデンほか)
12月15~16日、日比谷
◎フクシマ・アクション・プロジェクト
日時:2012年12月15日(土)~16日(日)
郡山市でIAEA閣僚会議に対するアクションや市民集会を行う予定です。
◎脱原発をめざす首長会議
12月15日午後、「脱原発をめざす首長会議」の勉強会が郡山市内で開催されます。傍聴可能。詳しくは:http://mayors.npfree.jp
主催:Nuclear Free Now 実行委員会(http://npfree.jp/)
事務局・連絡先:〒169-0075 東京都新宿区高田馬場3-13-1-B1ピースボート内 Tel:03-3363-7561 Fax:03-3363-7562
◎関連イベント
チェルノブイリから学ぶ~低線量被ばくの健康影響:公的な放射線安全概念のおかしさ~
チェルノブイリ事故後、国際原子力機関(IAEA)などの国際機関は、「放射線の影響と疾患との因果関係が証明できない」とし、小児甲状腺がんなど限られた疾患を認めたのみでした。
『チェルノブイリ-大惨事が人びとと環境に及ぼした影響』の著者でロシア科学アカデミーのアレクセイ・ヤブロコフ氏からお話を伺い、なぜIAEAなどの国際機関が低線量被ばくの健康影響を過小評価しているのか、科学的に検証します。
日時:2012年12月14日(金)18:30~20:30
会場:会議室 内海 3F教室(千代田区三崎町3-6-15)水道橋駅、飯田橋駅、九段下駅、神保町駅など
定員:120人、参加費:1000円 申込み不要
主催: FoE Japan、福島老朽原発を考える会
協力: Nuclear Free Now実行委員会
掲載2013年1月16日更新2013年1月24日
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http://www.eizoudocument.com/0645yablokovtxt.html
福島原発事故Nuclear Free Now 脱原発世界会議2 アレクセイ・ヤブロコフ博士「チェルノブイリの教訓」文字起こし | ⇒映像配信ページ |
2012年12月15日~16日 東商ホール、日比谷公園 |
⇒元映像の配信ページ(http://www.eizoudocument.com/0645yablokov.html)
⇒YouTubeでの配信ページ(http://youtu.be/17IoMbk6lVw)
アレクセイ・ヤブロコフ博士 ロシア科学アカデミー チェルノブイリ原発事故の影響について長年調査研究してきた。 | |
(市民ひろばワークショップテントでの発言 2012年12月16日 日比谷公園) 私たちがいま議論すべきは、何がいま危険なのか、ということです。 私たちの役割は、安全な状況をいまつくりだすことです。 私は(チェルノブイリ原発事故の)影響を研究してきました。 チェルノブイリ原発事故から25年、26年たって本当のこと、偽りのないデータを得ることができました。 偽りのないデータというのは、1キュリー/km2に住むすべての人々になんらかの健康被害が出ていることです。 [1キュリー/km2=3万7000ベクレル/m2。この場所の空間線量は、換算すると自然放射線も含め年1ミリシーベルト程度(セシウム137から年0.74ミリ+自然放射線から年0.35ミリ)] 5キューリー/km2に住む人々では、さらに増大します。 [5キューリー/km2=18万5000ベクレル/m2] 健康被害は、汚染レベルが高くなるにつれ明確に増大します。このことを考えるべきです。 いま考えなくてはならない最も重要なことは、どうしたら福島原発事故の影響を最小化できるか、ということです。 ※1キュリー/km2の場所の空間線量に関して⇒補足・解説(http://www.eizoudocument.com/0645yablokov.html#kaisetsu) | |
(脱原発世界会議会場、タイトル) Nuclear Free Now 脱原発世界会議2 アレクセイ・ヤブロコフ博士「チェルノブイリの教訓」 2012年12月15日 東商ホール 「チェルノブイリから学ぶ」と題した2つのセッションでの発言より、原発事故の影響に話を絞って再構成したものです。 | |
(アレクセイ・ヤブロコフ博士の講演) (チェルノブイリ原発事故の影響について)本日お話しするのは、そのごく一部になります。討論のときに追加の話しができればと思います。 お話しするのは「市民社会にとってチェルノブイリ原発事故の教訓とは」ということです。 これは日本にとっても重要なことだと思います。 | |
〔著書〕『チェルノブイリ─大惨事が人々と環境におよぼした影響』ニューヨーク科学アカデミー 2009年 アレクセイ・V・ヤブロコフ、ヴァシリー・B・ネステレンコ、アレクセイ・V・ネステレンコ チェルノブイリ被害実態レポート翻訳プロジェクト(http://chernobyl25.blogspot.de/) ※著書に関して⇒関連資料(http://www.eizoudocument.com/0645yablokov.html#shiryo) この本ははじめロシアで、のちに米国で出版され、昨年ウクライナ版が出ました。 現在、日本語訳が進められています。来年(2013年)には出版されると思います。 この本は、チェルノブイリ原発事故の影響について、独立した立場から行われた、最大かつ最新の研究成果といえます。 そのなかから紹介します。 | |
〔グラフ〕ロシアのブリャンスク州(高汚染)、カルガ地方(低汚染)および全ロシアの固形ガン発生率 これはチェルノブイリ後のガン発生率で、上の線が高汚染地域、下の線が低汚染地域です。 ガン発生率は、汚染が高くなるにしたがい明確に高くなります。 5年あるいは数年すると、ここ日本においても同様のことが起こります。 | |
様々な疾患・障害がチェルノブイリの放射線被曝により起こりました。 これは福島の放射線被曝でも起こりうることです。 ・血液・循環器系の疾患 ・内分泌系の疾患 ・免疫系疾患 ・呼吸器系疾患 ・泌尿生殖路と生殖障害 ・骨格系、骨減少症や骨粗しょう症 ・中枢神経系の障害(前頭・側頭・後頭・頭頂葉の変化) 低い線量であっても被曝が何年にもわたると頭脳に変化が起こります。チェルノブイリの放射線が頭脳を破壊したはっきりした証拠があります。 ・白内障だけでなく硝子体破壊など様々な眼球の異常 ・消化管の疾患 | |
〔写真〕先天性奇形・異常 ・先天性奇形・異常 この写真です。 数百、数千という通常では生じない追加的な症例があって、典型的な放射線障害です。 | |
このほかチェルノブイリの大惨事による影響としては、早期老化があります。 放射線被曝に典型的にあらわれる症状です。 子どもが歳をとった人のようになり、大人も年齢以上に歳をとってみえます。 突然変異もあります。 突然変異は重要で、個々人の被曝レベルを把握するうえでの鍵にもなります。 突然変異は血液検査によって(どれだけ突然変異が起こっているか)数えることができます。 | |
〔グラフ〕流産の発生頻度(%)事故処理作業員の家庭とリヤザン地方の家庭 1987~1999 これは高被曝したリクビダートルと呼ばれる事故処理除染作業労働者の家庭と、汚染のなかった地域とで比較したものです。 事故処理作業労働者の家庭の流産発生率を見ると、事故後2~3年たつと減ってはきますが、1年後は妊娠してもほぼ半数が流産する事態となりました。 | |
〔グラフ〕ベラルーシの子どもの水晶体混濁数と体内セシウム137のレベル これは子どもの水晶体の混濁を示したものです。 典型的な放射線障害で、放射線は眼球の水晶体を痛めます。 ベラルーシの子どもの水晶体の混濁と体内セシウム量を示したもので、ごらんのように関連しています。 | |
〔グラフ〕ベラルーシにおける甲状腺ガンの発病率 1985~2004 これは甲状腺ガンの発症率を示したものです。 | |
〔グラフ〕ベラルーシにおける乳ガンの発病率 1990~2002 これは乳ガンの発症率です。 乳ガンはチェルノブイリ後10年たってから増大しました。 特に15キューリー/km2(18万5000ベクレル/m2)以上の高汚染地域では、10年後から急激に上昇しているのがわかります。 日本においても同じ状況になると思います。 | |
原子力の専門家、IAEA(国際原子力機関)の専門家や当局者は、人々に対して「放射線恐怖症」だと語ります。 そんなのは被曝による病気ではなく心理的要因によるものだと主張します。「放射線恐怖症」だと言うのです。 しかしそれが心理的要因によるものなら、なぜカエル、ツバメ、野ネズミ、松の木に人と同じように健康障害や突然変異があらわれるのでしょうか。 | |
原子力の専門家や業界誌は、本当のデータを出しません。そこで私たちは公式統計をもとに本当のデータを導き出すしかありません。 これがそのひとつの例です。 乳幼児死亡率はチェルノブイリ後数年にわたって上昇しています。 | |
〔グラフ〕長期的動向から見たドイツとポーランドの乳幼児死亡率 1982~1992 これはドイツとポーランドの乳幼児死亡率について、標準値からの偏差を示したものです。 ロシアやベラルーシ、ウクライナのような高汚染地域ではありません。にもかかわらずこのように統計的にも明確な影響が乳幼児死亡率に出ています。 | |
〔グラフ〕フィンランド、スイス、スウェーデンの乳幼児死亡率と傾向線からの逸脱 1980~2006 よりスウェーデンのグラフ 1986年以降、予期しない乳児死亡率の上昇がみられます。 これはチェルノブイリ以外に説明がつきません。 チェルノブイリ以外に、ノルウェー、フィンランド、スイス、ドイツなどで乳幼児死亡率が上昇した理由がみつかりません。 | |
〔グラフ〕日本における新生児死亡率と予測傾向からの逸脱 2002~2012 これは日本です。 2週間前に出版されたもので、日本の厚労省の公式統計を集計したものです。 ごらんのように、福島原発事故2か月後と9か月後に新生児死亡率が明らかに上がっています。 これは福島原発事故による影響なのですが、興味深いのは、この統計は日本全国のもので、福島に近いところだけではなく全国レベルで福島原発事故の影響が出ていることです。 東京やその他の地域、北の地、南の地と、注意深く調べるべきです。通常ではないデータが出てくると思います。 ※日本の新生児死亡率に関して⇒関連資料(http://www.eizoudocument.com/0645yablokov.html#shiryo) | |
〔グラフ〕ロシアの高汚染6州と低汚染6州における死亡率 これはロシアの6つの高汚染州とその近くの6つの低汚染州の死亡率です。 15年間にわたる死亡率の推移は、見た目からも統計学的にも差異を示しています。 汚染があるかないかによって、死亡率には劇的な違いがあります。 なぜこれが起こったのか、その理由を証明することは不可能です。しかしこれはもちろんチェルノブイリ事故の結果なのです。 | |
チェルノブイリ地域で植物、動物、微生物を調査すると、そのすべてで高いレベルの突然変異を示しています。 これは明らかにチェルノブイリの結果です。 ここ日本でも同じです。 私はチェルノブイリ周辺のチョウや鳥などの調査結果を知っていますが、これは福島原発周辺にもあてはまります。福島原発事故でも同じ影響が出ます。 それは生物多様性の減少、高い突然変異率、ゲノム不安定性といった動植物への被害です。 | |
チェルノブイリ・ゾーンをはじめて訪れると、一見すると動植物がなんと繁茂しているんだと思うかもしれません。人はいないけれど、たくさんの動物がいて、植物が茂っています。 しかしすべての植物は、染色体になんらかの損傷をもっています。 すべての動物は、チェルノブイリ・ゾーンではあまり繁殖しません。ほとんどは他の地域から移入してきたのです。 チェルノブイリ・ゾーンは「ブラックホール」のようなものです。 繁茂しているのではなく、動物が引き寄せられ入り込んでくるブラックホールなのです。 | |
チェルノブイリの大惨事が明らかにしたのは、原子力産業は原子力発電によって地球を危機に陥れることもいとわないということです。 そして理論的にも実際にも、原子力発電は核兵器に匹敵する危険を人類と地球にもたらすということです。 ご静聴ありがとうございました。 | |
(質疑での発言、以下そのポイント) 質疑での発言から ◎ガン以外の病気について ・事故のもたらした健康被害は多種多様、ガンはその10分の1にすぎない ・被曝したあらゆる人体組織・器官は被曝の影響を受ける ・被曝して影響を受けない器官はない ・影響の出方は、放射線を一度に大量に浴びるか長期にわたって低線量を浴びるかの違い | |
◎事故の影響を減らすためには ・チェルノブイリの経験では健康被害は5年以内にあらわれる ・平均的な被曝線量は意味を持たない。個々人、一人一人の健康調査が必要 ・2つの検査が重要 ・第1は血液検査、染色体の異常がどれだけ起こっているかを調べる ・第2はホールボディーカウンター、個々人の内部被曝の線量を調べる 放射線核種を多く取り込んでいれば早急な処置が必要 その方法はいろいろある | |
◎日本の人々へのメッセージ 私からの短いメッセージになります。 皆さんは真実のためにたたかわなくてはならない。 健康のためにたたかわなくてはならない。 原子力をなくすためにたたかわなくてならない。 政府とたたかわなくてはならない。 なぜなら政府と原子力産業はあらゆるところで、私の国だけでなく、すべての国で、米国で、ここ日本で、データを隠蔽しようとするからです。 原子力産業と政府は、人々を恐れています。真実を恐れています。 なぜなら真実はとても不愉快なものだからです。 真実は、原子力は恐ろしく危険であり、コストは異常に高く、プラスよりもマイナスばかりだということです。 これが私からのメッセージです。 | |
(市民ひろばワークショップテントでの発言) 市民ひろばワークショップテント 2012年12月16日 日比谷公園 私たちがいま議論すべきは、何がいま危険なのか、ということです。 私たちの役割は、安全な状況をいまつくりだすことです。 私は(チェルノブイリ原発事故の)影響を研究してきました。 チェルノブイリ原発事故から25年、26年たって、本当のこと、偽りのないデータを得ることができました。 偽りのないデータというのは、1キュリー/km2に住むすべての人々になんらかの健康被害が出ていることです。 [1キュリー/km2=3万7000ベクレル/m2。この場所の空間線量は、換算すると自然放射線も含め年1ミリシーベルト程度] 5キューリー/km2に住む人々では、さらに増大します。 [5キューリー/km2=18万5000ベクレル/m2] 健康被害は、汚染レベルが高くなるにつれ明確に増大します。このことを考えるべきです。 危険な放射線のレベルとは、チェルノブイリの経験から明白なのは、もし毎日浴びて、それが何年にもわたるなら、1キュリー/km2以上の場所で危険です。特に子どもは危険です。 [1キュリー/km2=3万7000ベクレル/m2。この場所の空間線量は、換算すると自然放射線も含め年1ミリシーベルト程度] チェルノブイリ事故の直後から、ソ連内だけでなく周辺諸国も含めて乳幼児死亡率が上昇しました。 流産も増えました。 ヨーロッパでは出生の男女比が変わるということも起こりました。 ここ日本でも同じ影響が出ることになります。 (汚染地域では)2年のあいだに白血病が増えました。 先天性奇形・異常の比率も上昇しました。様々な種類の奇形が起こりました。 ダウン症も増加しました。 こうしたことは最初の2年のあいだに起こりました。 その後、4年たつとガンが出はじめました。甲状腺ガンです。 6年とか10年たつと肺ガンやその他のガンが増えました。 皆さんも近い将来、同じ問題に直面することになります。 いま考えなくてはならない最も重要なことは、どうしたら福島原発事故の影響を最小化できるか、ということです。 | |
(エンドタイトル) Nuclear Free Now 脱原発世界会議2 アレクセイ・ヤブロコフ博士「チェルノブイリの教訓」 2012年12月15日~16日 東商ホール、日比谷公園 撮影・構成:荒川俊児 制作:映像ドキュメント.com(www.eizoudocument.com) 2013.1 |
補足・解説、関連資料は⇒映像配信ページ
掲載2013年1月22日
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