2014年4月22日火曜日

Paper materials: CELBIOTECH - Engineering and Biotechnology of Lignocellulosics and Paper Materials

Paper materials: CELBIOTECH - Engineering and Biotechnology of Lignocellulosics and Paper Materials  



公開日: 2014/02/26
The scope of the CELBIOTECH group encompasses engineering and biotechnological research into lignocellulosic and paper materials.


Industrial Fermentation -- creating new products from wood


公開日: 2013/07/28
Scion's industrial fermentation platform can be used to make microbially-produced enzymes, biopolymers, modified sugars, biofuels, and bioplastics (via a process of microbial fermentation). This is a key step in our biorefinery research.


TBS「夢の扉+」6月30日 #109「木材を自由に加工し"素材革命"を!」


 
公開日: 2013/06/23


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木材のプラスチック化
本間千晶

http://www.fpri.hro.or.jp/rsdayo/10103040910.pdf

ここまで木質材料を溶かして使う技術として,バイオオイル製造技術,液化技術について紹介しました。
これらは主に熱処理と化学反応によって木材を分解することが特徴です。一方,木材の構成成分をできるだけ高分子の状態に保ちながら,加熱による軟化や,有機溶媒による可溶化などプラスチックと同様の性質に変換する技術があります。白石らは,木材の脂肪酸エステル化やエーテル化により加熱による軟化,熱流動を示す性質を付与できることを報告しました1)。これは木材の化学修飾による熱可塑化といわれ,生分解性プラスチック製造技術の一つとして注目されています。
ここでは化学修飾による木材のプラスチック化技術について紹介します。

プラスチック化木材の用途
 木材をプラスチック化すると一般のプラスチックと同様に金型を用いた成型が可能で,トレイ等の試作品製造例が報告されています2,3)。ベンジル化木材はスチレン系プラスチック材料に性質が近いとされることから,汎用プラスチック材料と置き換えることも可能と思われます。最近発泡化についての報告もあり,発泡スチロールの代替材料としての可能性もあります4)。
オリゴエステル化木材についても熱圧成型材料,射出成型材料,押し出し成型材料の試作例が報告されています5)。具体的には,コーヒーカップホルダー,ドアハンドル,テーブルトップ,粉体塗料,ボタン等が提案されています。

プラスチック化の概要
 木材構成成分の一つセルロースの OH 基をエーテル化,エステル化等の化学修飾により,別の形に変えることによって,プラスチック化は可能となります。化学修飾のみでプラスチック様の性質が得られなくても,あるいは無処理木粉でも,可塑剤や他のプラスチック材料と加熱しながら混練することによってプラスチック化が可能な場合もあります。木材のプラスチック化では下式のようにRもしくはR'の異なる薬剤を導入する様々な方法が提案されています。代表的なものにベンジル化,オリゴエステル化等があります。以後主にベンジル化木材について紹介します。

(エーテル化)
 Cell-OH + NaOH → Cel-ONa + H2O
 Cell-ONa + R-CH2-Cl → Cell-O-CH2-R + NaCl
(エステル化)
 Cell-OH + R'-COOH → Cell-OOCR' + H2O
 

ベンジル化木材の性質
 

 液化木材は黒褐色となりますが,ベンジル化木材は,黄または橙のような色になるようです。シートに成型すると透明になり,文字が透けて読める程度になります。
 ベンジル化木材は可塑剤の添加や他のプラスチック材料と混合することによって,硬さや伸びを制御でき,ポリエチレン,ポリスチレン等熱可塑性プラスチックと同様の性質を付与することができます。
 もし天然材料由来の可塑剤を使用できれば,プラスチック化木材の天然素材としての度合いが高くなります。一例として,可塑剤としてエポキシ化大豆油を用いたベンジル化木材との複合化による物性変化に関する報告6)があります。エポキシ化大豆油の含有率の上昇に伴い,軟化温度が下がる傾向がみられ,熱流動開始温度もおおむね下がる傾向がみられました。また引っ張
り強度試験では,引っ張り強度は低下する一方,破壊伸張度が伸びる傾向がみられました。ベンジル化木材自体はスチレン系プラスチック様の性質を持つとされますが,エポキシ化大豆油との複合化によりポリエチレン様の性質が付与できることが示されました。

 ベンジル化木材の生分解性
 このようにベンジル化木材が他のプラスチック材料と同等の性能を持つこと,他の天然素材との複合化も可能であることが示されました。それでは生分解性についてはどうでしょうか?生分解性プラスチックといえるのでしょうか?
 ベンジル化木材と生分解性プラスチックとされるポリカプロラクトンとの複合体の生分解性に関する報告7)例があり,光分解や活性汚泥中での分解試験結果などから生分解性を有するとしています。またベンジル化木材単体での報告例もあります。ベンジル化木材の発泡化および生分解試験に関する報告4)では,光分解,海中,土中,活性汚泥中での試験の結果,生分解性を有すると結論づけています。

 おわりに
 ベンジル化木材については物性試験だけでなく,毒性評価,生分解性試験等が多岐にわたって報告されています。またオリゴエステル化木材は民間企業が積極的に開発に取り組んでいます。製品化の試験も行われていることから,条件さえ整えば実用化されるものと思われます。
 これまでに紹介した木質材料を原料とした樹脂原料,プラスチック材料等は,既存の材料と比較して十分な性能を持ちますが,製造コストの問題から広く用いられるには至っておりません。しかし近年,地球温暖化防止,資源リサイクルといった環境保護の動きが急速に進展しています。したがって,こうした天然材料を原料とした新素材への期待はますます高まるものと思われます。

 参考資料
1)白石信夫:高分子加工,31,500-505(1982).
2)“木質新素材ハンドブック”木質新素材ハンドブ
  ック編集委員会編,技報堂出版,(1996).
3)“木質新素材技術研究成果報告書”,木質新素材
  技術研究組合編,1996年.
4)“機能性木質新素材技術研究成果報告書”,機能
  性木質新素材技術研究組合編,2000年.
5)上田実:第30回木材の化学加工研究会シンポジウ
  ム講演集,27-33(2000)
6)本間千晶ほか3名:Proceeding of PacificrimBio-based
  Composite Simposium,“Chemical Modification of
  Lignocellulosics”,140-146(1992).
7)吉岡まり子ほか3名:Proceeding of      
PacificrimBio-based Composite Simposium“Chemical
  Modification of Lignocellulosics”,155-162(1992).
(林産試験場 化学加工科)

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