上脇 博之
2014年01月22日
http://blog.livedoor.jp/nihonkokukenpou/archives/51757763.html
1)東京都知事選挙に立候補を表明した舛添要一氏が代表を務めていた2010年から2012年の「新党改革」が、2010年に2億5000万円を銀行から借入し、3年間で利息も含め、完済しているのですが、その返済に、税金が原資である政党交付金や立法事務費が実質充てられており、政党交付金については迂回による還流の手口で当てられていたことが、スクープ報道されました。
しんぶん赤旗2014年1月21日(火)
政党助成金で借金返済
舛添氏の「新党改革」
政党支部→資金団体と迂回
東京都知事選(23日告示、2月9日投開票)への立候補を表明している舛添要一元厚生労働相が結成した「新党改革」が、借金返済に使うことを禁じられている政党助成金や立法事務費で借金返済を行った疑いがあることが20日、本紙の調べで分かりました。舛添氏は、借金返済時の同党代表。猪瀬直樹前知事の「徳洲会」グループからの5000万円提供問題で「政治とカネ」の問題が争点となっている都知事選で、舛添氏の資格が問われます。
国民の税金が
新党改革の政治資金収支報告書(2010~12年分)によると、2010年に銀行から2億5000万円を借り入れ、10年に1億5000万円、11年に5200万円、12年に4800万円をそれぞれ返済し、完済しています。
同党の毎年の収入は平均1億5000万円ほど。この8割にあたる約1億2000万円が国民の税金である政党助成金です。
政党助成法では、政党助成金を借金の返済に使うことを禁じています。
立法事務費も
同党に、国会議員の数に応じて各会派に支給される「立法事務費」が毎年1560万円支給されています。立法事務費は「国会議員の立法に関する調査研究の推進に資するため必要な経費」としており、借金返済に充てることは目的外使用です。
政党助成金や立法事務費を除く同党の収入は、11年が2570万円ほど、12年が1500万円ほどにすぎません。3年間で2億5000万円の借金を返済するのは不可能です。(上図参照)
そのため、政党助成金を舛添氏と荒井広幸参院議員(現、同党代表)の資金管理団体に迂回(うかい)させた資金操作と立法事務費の目的外使用の疑惑が浮かびあがります。
11年分の同党の支出を見ると、舛添氏と荒井氏が支部長の政党支部に、それぞれ4100万円という多額の支部交付金を支給しています。この原資は、政党助成金です。
政党支部に支給された「交付金」は、両氏の資金管理団体である「グローバルネットワーク研究会」と「荒井広幸後援会」を経由、迂回させて、計1800万円が同党に還流する形となっています。(下図参照)
翌12年も政党支部と資金管理団体を経由した資金1575万円が同党に還流しています。
個人献金還流
また、舛添氏は1015万円(10~12年)、荒井氏は940万円(同)の個人献金を同党に行っていますが、両氏は同党から「組織対策費」として、12年にそれぞれ800万円を個人で受け取っています。党収入の8割が政党助成金であり、両氏の個人献金もほとんどが政党助成金を還流させたものといえます。
政党助成金を原資とした迂回献金が、借入金返済の不足分にあてられたのではないのか―。
本紙の取材に舛添氏の事務所から、期限までに回答がありませんでした。新党改革は「政治資金規正法に違反のないよう適切に対応しております」としています。
(2)総務省のホームページの「政治資金収支報告書及び政党交付金使途等報告書」とその要旨が掲載されている当時の「官報」で確認すると、上記報道が指摘するように、「新党改革」の借入金2億5000万円の返済が自己調達資金だけでは返済できないことがわかります。
以下、少し具体的に収支を確認して、問題点を指摘します(数字は端数を切り捨てて表記しますので、ご注意ください)。
(3)2010年には、参議院議員通常選挙が行われました。
同年6月24日公示、7月11日投票。
参議院は解散がないので、選挙時期はほぼ決まっていますので、「新党改革」は事前に選挙に備えて銀行から借入をしています。
5月14日、5000万円
6月4日、1億円、
計2億5000万円。
これを3年間で利息も含め完済しています。
(4)まず、2010年、「新党改革」(初めの頃は「改革クラブ」で後に「新党改革」)の収入をみると、
繰越金は6万円だけ。
本年収入は4億382万円。
そのうち、
借入金が2億5000万円(前述)、政党交付金が1億1998万円、立法事務費が1819万円、これらを控除した残りの収入は1565万円くらいしかありません。
それなのに、同年に計1億5000万円(8月3日に1億円、12月14日と同月27日に2500万円ずつ)を返還しているのです(残りの借金は1億円。利息は別)。
もっとも、借入金2億5000万円の一部を使わないまま1億5000万円の返済に充てれば、上記返済は政党交付金や立法事務費を充てなくても可能ですから、実際の個々の収支を確認する必要がありそうです。
とはいえ、現行法では、政治資金収支報告を見ても、支出のうちの経常経費については個々の支出の日付(年月日)は記載されていませんし、収入については日付(年月日)の記載されないものがありますし、支出のうちの政治活動費についても日付(年月日)の記載されない「その他の支出」があるため、個々の収支を確認するといっても、限界があります。
そこで、この投稿では、2010年につき、これ以上立ち入らないで、次に2011年と2012年を見てみましょう。
(5)では、2011年。
、
繰越金1344万円、
本年収入1億7393万円
そのうち、
政党交付金は1億1941万円、立法事務費は1560万円、残りは1308万円(訂正:3892万円です)しかありません。
それなのに、計5200万円を(1月から12月まで13回にわたって)返済しています(利息も。借金は残り4800万円)。
繰越金1344万円と1308万円(訂正:3892万円です)を合計しても、5200万円には2500万円余り(訂正:36万円です)足りません(補足、ほかに利息分もありますので、それにも足りません)(なお、訂正と補足は2014年1月24日午後2時34分に行いました)。
ということは、政党交付金と立法事務費を使って返済するしかありません。
(6)立法事務費については、現行法では、使途報告が義務付けられていませんので、政治資金収支報告上はあれこれ小細工する必要はなかったでしょう。
しかし、政党交付金については、現行法により、使途報告する義務がありますが、政党交付金が借金の返済に使われたとの報告はありません。
実は、現行法によると、後述するように政党交付金は借金の返済に使用することを禁止しています。
そこで、「新党改革」は、全記法動画指摘するように、本部のカネを迂回させ、本部に還流させマネーロンダリング(資金洗浄)して、政党交付金を返済に充てたのです。
巧妙で悪質な手口です。
(7)最後に、2012年。
繰越金は4214万円(これは実質税金です)
本年収入は1億5772万円、
そのうち、
政党交付金は1億1961万円、立法事務費は1560万円、残りは2250万円。
それなのに、計4800万円を(1月から5月まで6回にわたって)返済しています(利息も)。
ということは、2012年も2011年の手口を使ったわけです。
(8)しかし、政党助成法は政党交付金を借金の返済に使うことを禁止しています。
使えば違法です。
政党助成法
(政党交付金による支出の定義等)
第十四条 この章において「政党交付金による支出」とは、政党のする支出(政治資金規正法第四条第五項 に規定する支出をいう。以下同じ。)のうち、政党交付金を充て又は政党基金(特定の目的のために政党交付金の一部を積み立てた積立金をいい、これに係る果実を含む。以下同じ。)を取り崩して充てるもの(借入金の返済及び貸付金の貸付けを除く。)をいい、支部政党交付金の支給を含み、支部政党交付金による支出を含まないものとする。
2 ・・・。
3 この章において「支部政党交付金による支出」とは、政党の支部のする支出のうち、支部政党交付金を充て又は支部基金を取り崩して充てるもの(借入金の返済及び貸付金の貸付けを除く。)をいい、支部政党交付金の支給を含むものとする。
また、「会派」に交付される立法事務費も税金なので「政党」の借金返済に使うのは目的外支出で違法です。
(9)政党交付金については、基金を作って返済を合法的に免れない限り、残金は国庫に返還しなければなりません。
借金返済に充てた分は、結果的には、違法に政党交付金の返還逃れをしたことにもなります。
(10)さて、以上の問題について、総務大臣や衆参各院は、どう対応するのでしょうか?
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http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%8A%E8%84%87%E5%8D%9A%E4%B9%8B
上脇 博之(かみわき ひろし、1958年7月25日 - )は、日本の法学者(憲法学・政党国家論・国民代表論・政治資金問題)。学位は博士(法学)(神戸大学・2000年)。神戸学院大学大学院実務法学研究科教授。
北九州大学法学部助教授、北九州市立大学法学部教授などを歴任した。
最終更新 2014年1月19日
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