2014年1月4日土曜日

温泉や工場の配管自体で発電できるようにする熱発電チューブ #DigInfo

温泉や工場の配管自体で発電できるようにする熱発電チューブ #DigInfo




公開日: 2012/12/27
パナソニックが世界で初めて開発した熱発電チューブ。長さ10cmで2.5Wの電力を­取り出すことが可能です。このチューブを温泉や工場の配管として利用する事で、これま­で無駄に失われていたエネルギーを回収することができます。
(http://jp.diginfo.tv/v/12-0224-r-jp.php)



第25回 温度差で発電するチューブ型の熱発電素子 [パナソニック]

http://j-net21.smrj.go.jp/develop/energy/company/2013011701.html

工場の排熱や温泉熱などの熱エネルギーを利用して発電する温度差発電。その要となる素子についてパナソニックは、2011年6月、独自構造の熱電変換素子を開発した。
これまで温度差発電で開発された熱電変換素子の形状は平板が一般的だったが、同社が開発した熱電変換素子は、金属と熱電変換材料が傾斜積層された独自の構造になっており、形状もチューブ型と従来とはまったく異なる素子となっている。この熱電変換素子はチューブの中に湯を通せば発電することから「熱発電チューブ」と呼ばれる。

平板からチューブに形状と構造を変える

温度差発電は、材料の両端に温度差を生じさせ、その際に発生する熱エネルギーを電力に換える。この発電原理は発見者の名前から「ゼーベック効果」と呼ばれる。
ゼーベック効果を利用した従来の熱電変換素子の基本構造は、2種類(P型、N型)の熱電変換材料を並べて接合した構造で、ギリシャ文字の「π」(パイ)の形状をしていることから「π構造」とも呼ばれる。実際の素子はこのπ型の熱電変換材料を並べて電気的に接合した平板になる。
ところが、デバイスの作製ではこの平板の熱電変換素子を配管の外側に貼り付けるため、デバイスの配線が複雑になり、また熱電変換素子に熱を取り込む際のロスも大きくなり、さらに大型化や信頼性などでクリアすべき課題がある。
それらの課題を解決するため、パナソニックの先端技術研究所では、熱伝導の大きい金属と熱伝導の小さい熱電変換材料を交互に傾斜積層させ、かつそれをチューブ状にした独自構造の熱電変換素子(熱発電チューブ)を開発した。
その特徴は以下の2つだ。
  1. 熱の流れにくい(熱伝導が小さい)熱電変換材料と熱の流れやすい(熱伝導が大きい)金属を熱の流れに対して交互に傾斜積層することで、素子内部に周期的な温度分布ができ、熱の流れに対して垂直方向に電気が流れる現象を独自に見出し、その現象を利用する熱電変換素子とした。
  2. 熱電変換材料にビスマステルルを用いるが、この材料は延ばしたり丸めたりする加工が困難なため、あらかじめ熱電変換材料と金属それぞれのカップを成形し、それらを交互に重ね合わせて接合することで、熱電変換材料層と金属層の密着度が高い傾斜積層構造を実現した。
熱発電チューブの構造(熱発電材料と金属が交互に積層された構造で、熱の流れに垂直方向に電流が流れる)
熱発電チューブの構造(熱発電材料と金属が交互に積層された構造で、熱の流れに垂直方向に電流が流れる)

成形精度を上げて発電性能もアップ

同研究所・エコマテリアル研究グループのグループマネージャー・山田由佳さんと主任研究員・菅野勉さんによれば、上述の傾斜積層構造を考え出したのが2007年、それをチューブ構造にしたのが2010年だった。
「当初のチューブ構造の製法は鋳造でしたが、どうしても形状がまちまちになったり、微小な鋳巣ができるなど、さらに製法を改善する必要がありました」(山田さん)
そこで2011年に新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業を受け、大阪大学接合科学研究所と共同で放電プラズマ焼結(SPS)を用いた新しい製造プロセスを考案し、新製法の熱発電チューブを2012年に開発した。
新製法のフローは以下のようだ。
  1. 急冷凝固によって熱電変換材料(ビスマステルル)と金属(ニッケル)の粉末を作製する
  2. 熱電変換材料の粉末、金属粉末をそれぞれ冷間圧縮によりカップ状に成形する
  3. それぞれのカップを交互に積層する
  4. 3の積層体を放電プラズマ焼結により加熱・圧縮を同時に行う
  5. 4の焼結体(長さ約35mm)を接合して100mmほどのチューブにする
熱電変換材料と金属のカップを積層して加熱・圧縮した熱発電チューブ(左)。断面は傾斜積層構造になっている(右)熱電変換材料と金属のカップを積層して加熱・圧縮した熱発電チューブ(左)。断面は傾斜積層構造になっている(右)
35mmほどの焼結体を接合した長さ約100mmの熱発電チューブ35mmほどの焼結体を接合した長さ約100mmの熱発電チューブ


「放電プラズマ焼結を主体とする製法に替えたことで、チューブの成形精度が確実に上がりました」(菅野さん)
その結果、従来の製法(鋳造)に比べて発電性能が2倍に上がった。例えば、95℃の温水と10℃の冷水による温度差熱を用いた発電では、従来の最大電力が1.3Wから2.5Wへと向上した。

熱発電チューブはそれ自体が発電機能をもち、熱の取込みロスを減らせるうえ複雑な配線も不要にできることから、応用できる範囲は広いと考えられる。例えば工場の排熱や地熱、温泉熱などこれまで利用されなかった熱エネルギーを電気に換える温度差発電に用いれば、用途はかなり多い。
「ただし、発電効率を考えるとタービン系には劣りますので小型システムでの用途が有利だと思います」(山田さん) 独自構造の熱発電チューブだが、開発者たちはパナソニック創業100周年の2018年に向けた実用化へと奮闘している。
掲載日:2013年1月17日



熱電発電

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%86%B1%E9%9B%BB%E7%99%BA%E9%9B%BB

熱電発電(ねつでんはつでん、英語: thermoelectric generation)とは、広義にはゼーベック効果による熱電素子、アルカリ金属熱電装置(AMTEC)、熱電子発電装置(TIC)、PETE素子などの熱電素子をもちいて熱エネルギーを電力エネルギーに変換する発電法である。狭義にはこの内、ゼーベック効果による熱電素子を用いた発電を意味する[1]。以下主に狭義の熱電発電について説明する。
熱電素子は可動部分が存在しないため、長寿命でかつ長期にわたって保守作業を必要としないという特長がある。これは人工衛星の電源として極めて重要な特性であるため、1960年代から米国と旧ソ連により宇宙探査衛星用電源目的のための研究が行われてきた。その結果、自発核分裂で生じたα線粒子の吸収によって発生する熱エネルギーを熱電素子によって電力に変換する原子力電池が実用化され、多くの人工衛星用電源として使用された。現在その用途の多くは太陽電池に置き換えられたが、太陽からの光エネルギーが少なく太陽電池が利用できない木星より外側を探査するパイオニア計画ボイジャー計画、火星で夜間も活動する火星探査機キュリオシティなどの衛星では現在でも使用されている。この人工衛星用に開発された原子力電池は送電線や他の機器を必要としないなどの利点から、かつて灯台など遠隔地での発電装置(放射性同位体熱電気転換器参照の事)として用いられた。また、ランプなどの熱を利用した熱電発電をラジオ用電源[2]として利用されることもあった。しかし、ディーゼルエンジンなどの発電機が故障も少なく安価で入手できるようになるとそれら用途の熱電発電を置き換え、現在地上での用途は一部の軍用目的[3]以外消滅した[1]
しかし、近年熱電発電は廃熱から電力エネルギーを直接回収する技術として世界的に注目が集まり、日本では新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の支援のもと、何度かのプロジェクトが組まれた[4]。現在、これらの成果をもとに民生及び産業の分野から発生する工場や自動車の排熱、地熱や温泉の熱などの未利用熱エネルギーを電気エネルギーとして利用するための手段として研究開発が進められている。

熱電発電はゼーベック効果ペルティエ効果の逆作用)を利用し、接合点の一方を高熱源、他方を低熱源に接触させて電位差を生じさせて熱エネルギーを電力エネルギーに変換する発電法である[5]
二種類の導体の組み合わせとして、使用される温度範囲によって
  1. 常温から500 Kまで:ビスマステルル系(Bi-Te系)
  2. 常温から800 Kまで:テルル系(Pb-Te系)
  3. 常温から1000 Kまで:シリコンゲルマニウム系(Si-Ge系)
などが使い分けられている。
これらは高温で酸化される、資源量が少ないなどの課題があるため、より資源量の多い物質や酸化物材料を用いた素子の研究も進められている。
また研究レベルでは酸化物材料や量子構造・超格子材料による熱電素子の研究開発が進められている[6]
尚、実際の発電では1個の熱電素子で得られる電圧が小さいため複数の熱電素子を電気的に直列につないで高電圧出力が得られるようにした熱電発電モジュールを用いる。


熱電素子の利点についてはNEDOの助成のもと平成14年度~平成18年度に行われた「高効率熱電変換システムの開発」の中間報告書[7]にまとめられている。それによると
可動部が無いため長寿命で信頼性が高い。
付帯設備は不要で省スペース。
小型軽量な電源とすることができる。
素子の形状を自由設計できる。
熱源温度変動に対し応答が速い。
可動部がなく振動や雑音発生しない。
小型でも大型設備と同じ変換効率が得られ、小型設備に有利。
高温、低温、大型、小型熱源などあらゆる熱源から電気を取り出すことが可能。
単位表面積あたりの発電量は太陽光発電の数倍から数十倍(熱電発電とアルカリ金属熱電発電(AMTEC)では約1 W/cm2 、熱電子発電では3~9 W/cm2 である。これは,太陽電池の0.01 W/cm2 よりも2桁以上も多い)[1]。

それ以外に
多くの場合廃熱を利用するため新規の熱源を必要としない[4]。
液化天然ガス、雪・氷などの冷熱源からも発電可能[4]。

等があげられている。

熱電素子の課題

熱電素子の課題は「高効率熱電変換システムの開発」の最終報告を受けた事後評価報告書に述べられている。それによると
原理的にカルノーサイクルを使用する熱機関と比べ変換効率が低い(hi-z講演資料[8]の(1)、(2)式参照。この式から明らかな様に、ZT値(熱電変換素子の項参照)が無限大の時、熱電素子の変換効率はカルノーサイクルと同じとなるが、現在知られている熱電素子のZT値は1~2程度で、ZT = 2 としてもカルノーサイクルの1/4程度の変換効率しか得られない)。
使用材料の多くが金属、半導体なので(宇宙空間では問題とならない)高熱下、酸素や水蒸気等により酸化劣化する。
多くの熱電素子が資源が少ない原料を使用するため素子を多量生産できない。
用途・使用温度によって材料が異なる熱電素子やモジュールが必要で、量産効果を期待できない。

その他として
火力発電、原子力発電、ディーゼル発電など既存技術と競合するため、競合のない太陽電池や燃料電池と比べ不利である[1]。
1素子当たりの出力電圧が低いため、多数の直列結合が必要で、構造が複雑である。
出力電圧が温度差に比例して変動するため、電圧を一定とする補助電気回路が必須である。
各物質の組み合わせた素子ともZTの値が温度に依存する、このため使用温度により異なる熱電素子が必要となる。
熱源と熱電素子間での熱エネルギー損失が大きい[1]。

等があげられる。

その他の熱電発電

アルカリ金属熱電発電
アルカリ金属熱電発電(Alkali Metal Thermoelectric Conversion、AMTEC)は、イオン伝導性があるβ‐アルミナなどの固体電界質膜の両側にイオン(Na+)の濃度差を与えて発電するセルである。両面に電極を取り付けたβ‐アルミナ板を真空密閉した二つの容器で挟み、高温側の容器に液体Naを入れて900~1300 Kに加熱し蒸発させ低温側は容器をNaガスが凝集する400~700 Kの温度とするとβ‐アルミナ板の高温側でNa原子がNaイオンと電子に解離し、イオンはβ‐アルミナ板を透過し低温側に移動する、ここで高温側と低温側の電極をつなぐと高温側から低温側に電子が流れ電力を得ることができる。電子は低温側でイオンと結合し、中性のNa原子となり、更にそれが冷やされて液体となる。この液化したNaは電磁ポンプで高温側容器に戻される[1]

熱電子発電
熱電子発電(Thermionic Conversion、TIC)は,高温度に加熱した電極からの熱電子放出を利用して熱エネルギーを電力に直接変換する方法である。1960年代から米国、旧ソ連で宇宙ステーション用の電源や人工衛星の電気推進用電源として研究開発が行われた。高温側熱源としては太陽炉や核燃料が用いられた。日本では東北大学産業技術総合研究所で研究がなされた。東北大の研究では熱源として太陽炉を用い高温側温度1400~2000 K、低温側600~1000 K で作動したとき、出力電圧0.7~1 V、出力電流密度1~10 A/cm2、出力密度1~10 W/cm2 が報告されている[1]

PETE
PETE (Photon Enhanced Thermionic Emission) は米国スタンフォード大学が開発した光電変換と熱電子発電を組み合わせた発電素子で光電効果と熱電子放出の相乗効果で理論上変換効率60%が得られる。太陽熱発電の一種ディッシュ式太陽熱発電では放物曲面状の鏡を用いて、太陽光を鏡の焦点に集光しそこに設置したスターリングエンジンで発電する装置であるが、このスターリングエンジンの替わりにPETE素子を用いた発電する装置を開発中で、予備的な試算では45%の変換効率になるとの結果が得られた[18]

最終更新 2013年8月6日 (火)


ゼーベック効果

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BC%E3%83%BC%E3%83%99%E3%83%83%E3%82%AF%E5%8A%B9%E6%9E%9C

ゼーベック効果(ゼーベックこうか、: Seebeck effect)は物体の温度差が電圧に直接変換される現象で、熱電効果の一種。逆に電圧を温度差に変換するペルティエ効果もある。類似の現象としてトムソン効果ジュール熱がある。ゼーベック効果を利用して温度を測定することができる(→熱電対)。ゼーベック効果、ペルティエ効果、トムソン効果は可逆であるが、ジュール熱はそうではない。
ゼーベック効果はエストニア物理学者トーマス・ゼーベックによって、1821年、偶然発見された。ゼーベックは金属棒の内部に温度勾配があるとき、両端間に電圧が発生することに気づいた。
また、2種類の金属からなるループの接点に温度差を設けると、近くに置いた方位磁針の針が振れることも発見した。これは2種類の金属が温度差に対して異なる反応をしたため、ループに電流が流れ、磁場を発生させたためである。

最終更新 2013年9月25日




参考
http://www.nedo.go.jp/content/100089469.pdf

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