間宮海峡の橋着工は2019年か
2013年11月20日
http://roshianow.jp/business/2013/11/20/2019_46111.html
サハリンとロシア本土を結ぶ橋の建設は、早ければ2019年にも始まるかもしれない。サハリン州のアレクサンドル・ホロシャビン知事は、関連書類の作成が2015年以前に始まった場合、これが可能になると考えている。
サハリンとロシア本土を結ぶ橋の建設は、早ければ2019年にも始まるかもしれない=PhotoXPress撮影
「国際科学・実践会議『日本-ロシア-EU鉄道直結』で、このような情報があった。この会議の出席者はロシア連邦政府機関、科学研究所、経済界の代表者や、日本から招かれたゲスト」とホロシャビン知事は19日に話した。
サハリン州と本土の間の間宮海峡に年中使用可能な輸送路を設け、日本との間の宗谷海峡に鉄道を建設することは、国家の最重要課題の一つであるとホロシャビン知事は考えている。このプロジェクトは島の経済の競争力を高め、移動を容易にし、生活の質を高める。
日本-ロシア-EU国際鉄道は実現するか
もっと読む:
「日本-ロシア-EUの国際鉄道が実現すれば、ロシアは大陸横断貨物輸送の市場を積極的に狙える。現在この市場は、ユーラシアの輸出入全体の4分の1を 占めているが、30~40日かかる船便が主流。日本まで鉄道が直結すれば、貨物の輸送期間を10日まで短縮可能で、輸送コストは3分の1に低減可能」。
輸送研究所コンソーシアムは今年、ハバロフスク地方セリヒノから間宮海峡を経由し、サハリン州ヌイシュまで鉄道を建設する場合の技術条件のプロジェクトを作成した。今年末までにウラジーミル・プーチン大統領がプロジェクトを公表する。
鉄道輸送プロジェクトが完全に実現すれば、サハリンを経由した貨物輸送は2030年までに約3300万トンになる。サハリンと本土の橋は毎年920万トンの輸送貨物をもたらす。
http://roshianow.jp/politics/2013/11/13/45991.html
サハリン州ユジノサハリンスク市で18日、国際科学・実践会議「日本-ロシア-EU鉄道直結」が行われる=タス通信撮影
100年以上遡る大構想
この大規模な構想は、かれこれ100年以上も、進取の気性に富んだ人々を刺激してきた。ユーラシア大陸と日本列島を行き来するには、本土とサハリンの間の7.5キロメートルの間宮海峡をつなげ、クリリオン岬(西能登呂岬)と北海道の間の42キロメートルの宗谷海峡をつなげるだけで十分だ。
サハリン州とロシア本土をつなげる構想は、19世紀の時点でも夢物語ではなかった。ロシア帝国では、これを極東の有名な研究者である、ゲンナジー・ネヴェリスコイ提督が推進していた。20世紀初めには、間宮海峡でダム、閘門(こうもん)、海港の建設に関する具体的な提案がなされていたが、1917年のロシア革命とその後の内戦で、このプロジェクトは検討されなかった。
サハリン州との運搬は長い期間、シベリア鉄道の終点である沿海地方の港を通して行われていた。独ソ戦争中に、間宮海峡の沿岸(ワニノ商業港が建設および拡張され始めていた)まで、鉄道が敷設された。
スターリン・プロジェクト
より現実的な試みがなされたのは1950年代初め。コムソモリスク・ナ・アムーレとサハリン州のポベジノ駅の間の鉄道建設が始まり、本土のラザレフ岬とサハリン州のポギビ岬の間、すなわち間宮海峡に海底トンネルができるはずだった。
本土ではアムール川右岸に沿ったセリヒノ駅からチョルヌイ・ムィス駅までの120キロメートルに鉄道の路盤が敷設され、ラザレフ岬ではシャフトの掘削が行われ、海峡では人工島の埋め立てが行われた。だがスターリンの死後、 建設は中止された。
1970年代初めにワニノとホルムスクの間でフェリーが運航されたが、現在は安定的な連絡を確保することができないでいる。
なぜ鉄道なのか
サハリン州と本土に年中運行可能な鉄道を設置することは、ロシア極東地域だけでなく、国全体の戦略的利益にかなう。太平洋岸は現在、シベリア鉄道およびバイカル・アムール鉄道と直結している、極東の主要な3港すなわちウラジオストク港、ナホトカ港、ワニノ港の可能性に限定されている。アジア太平洋諸国の貨物をヨーロッパに輸送することはできるが、これらの大きな港を刷新しても、輸送能力の不足が根本的に解決できるわけではない。
輸送の問題を一挙に解決するには、サハリン州でロシアの新たな海門をつくるしかないのだ。サハリン州南部にはホルムスクとコルサコフという不凍港が2港 あり、ここまでは鉄道が敷かれている。しかしながら、本土の重要な輸送鉄道と断絶されていることから、活かしきれていない。
この問題の解決策となるのが、間宮海峡のトンネルあるいは橋を経由した、セリヒノ駅からサハリンのヌイシュ駅までの、長さ582キロメートルの鉄道の建設である。
プーチン大統領の鶴の一声
このプロジェクトの実現は、複数の重要な書類で定められている。その中には「2030年までの鉄道輸送発展戦略」、国家プログラム「極東及びバイカル地 域の社会・経済発展」、「ロシア運輸システム発展(2010~2015年)」がある。ロシア連邦運輸省の指示で、科学研究作業「ヨーロッパ-ロシア-日本間シベリア鉄道国際輸送回廊の競争力向上における科学的根拠のある提案の作成」が実施された。
サハリン州は世界的に重要な石油とガスの備蓄により、ロシアでもっとも投資に魅力的な地域の一つとなっている。そしてプロジェクトは、サハリンの港とヨーロッパの間の貨物輸送に、大きな可能性をもたらす。
「プロジェクトが実現した場合、鉄道はサハリンと本土をつなげる単なる”線”ではなく、真の”綱”になる。両方向への貨物輸送量が大きく増え、価格を著しく下げる」とサハリン州のアレクサンドル・ホロシャビン知事は考える。
ウラジーミル・プーチン大統領も同じ考えだ。サハリン州の社会・経済発展に関する会議が、7月16日にユジノサハリンスク市で行われた際、プーチン大統領は連邦政府に対し、本土とサハリンの橋を建設する際の技術条件を今年末までにまとめるよう指示した。
日本は成り行きを注視
この成り行きを注意深く見守っているのが日本だ。建設が始まれば、宗谷海峡を経由した日本の鉄道との直結プロジェクトは急務となる。実現すれば貨物の輸送量が数倍の年間3320万トンにはねあがると、ロシア運輸省の指示で試算した専門家は話す。
このシベリア鉄道の延長部分で、日本とヨーロッパの間の年間400~600万個のコンテナ(日本とヨーロッパの間の総コンテナ個数の15~20%)と、日本とロシアの輸出入貨物の大部分が輸送される可能性がある。
http://roshianow.jp/business/2013/09/06/44951.html
ロシア連邦運輸省は近日中に、サハリンと北海道の間に横断路を設置する構想について、日本と協議を行う =Getty Images/アドリアン・モザー撮影
「現在これについて研究中。マクシム・ソコロフ運輸相は近日中に訪日し、サハリンと北海道の間に横断路を設置する可能性について話し合う」。ホロシャビン知事によると、このプロジェクトはサハリン州だけでなく、ロシアにも大きな利益をもたらし得るという。
シベリア鉄道を北海道とつなぐ
「サハリン・ロシア本土」プロジェクトには、間宮海峡(7.5キロメートル)に鉄道・道路併用橋をかけて、シベリア鉄道をサハリンまで延長し(約580キロメートル)、さらにサハリンの鉄道システム(約850キロメートル)を刷新する計画が含まれている。
ここからさらにサハリンと北海道の間の宗谷海峡(約42キロメートル)に橋またはトンネルを建設し、プロジェクトを拡大しようとしているのだ。
ロシア政府の専門家が2002年に行った調査では、技術的に可能であること、また社会・経済的な効果をもたらすことが確認された。
総額1兆5000億円
宗谷海峡の横断路を除いたこのプロジェクトのコストは、45億ドル(約4500億円)と試算されていた。内訳は「サハリン・ロシア本土」の新たな支線と橋の建設費用が20億ドル(約2000億円)、サハリンの鉄道刷新費用が25億ドル(約2500億円)。
専門家の試算によると、宗谷海峡に横断路を設置した場合、80~100億ドル(約8000億~1兆円)ほどかかるという。したがって2002年の見積額 を合わせると、このプロジェクトへの投資額は120~150億ドル(約1兆2000億~1兆5000億円)になる。建設工事は7年ほどかかる見込み。
年間収益は約3000~4000億円と試算
宗谷海峡の横断路のプロジェクトが実現した場合、年間400~600万個のコンテナが日本とヨーロッパの間で輸送され(日本とヨーロッパの間の総コンテナ個数の15~20%)、さらに年間1800~2000万トンの貨物が日本とロシアの間で輸送される可能性があると、専門家は試算している。これらの輸送 から得られる年間収益は、30~40億ドル(約3000~4000億円)になる可能性があるという。
新しい輸送路が生まれると、輸送コストを削減でき、ロシア極東のシベリア鉄道およびバイカル・アムール鉄道沿線地域からの鉱物資源、木材、その他の自然の開発や輸出を活発化させることが可能になる。
http://roshianow.jp/business/2013/08/02/go_44353.html
http://roshianow.jp/business/2013/11/20/2019_46111.html
サハリンとロシア本土を結ぶ橋の建設は、早ければ2019年にも始まるかもしれない。サハリン州のアレクサンドル・ホロシャビン知事は、関連書類の作成が2015年以前に始まった場合、これが可能になると考えている。
サハリンとロシア本土を結ぶ橋の建設は、早ければ2019年にも始まるかもしれない=PhotoXPress撮影
「国際科学・実践会議『日本-ロシア-EU鉄道直結』で、このような情報があった。この会議の出席者はロシア連邦政府機関、科学研究所、経済界の代表者や、日本から招かれたゲスト」とホロシャビン知事は19日に話した。
サハリン州と本土の間の間宮海峡に年中使用可能な輸送路を設け、日本との間の宗谷海峡に鉄道を建設することは、国家の最重要課題の一つであるとホロシャビン知事は考えている。このプロジェクトは島の経済の競争力を高め、移動を容易にし、生活の質を高める。
日本-ロシア-EU国際鉄道は実現するか
もっと読む:
「日本-ロシア-EUの国際鉄道が実現すれば、ロシアは大陸横断貨物輸送の市場を積極的に狙える。現在この市場は、ユーラシアの輸出入全体の4分の1を 占めているが、30~40日かかる船便が主流。日本まで鉄道が直結すれば、貨物の輸送期間を10日まで短縮可能で、輸送コストは3分の1に低減可能」。
輸送研究所コンソーシアムは今年、ハバロフスク地方セリヒノから間宮海峡を経由し、サハリン州ヌイシュまで鉄道を建設する場合の技術条件のプロジェクトを作成した。今年末までにウラジーミル・プーチン大統領がプロジェクトを公表する。
鉄道輸送プロジェクトが完全に実現すれば、サハリンを経由した貨物輸送は2030年までに約3300万トンになる。サハリンと本土の橋は毎年920万トンの輸送貨物をもたらす。
http://roshianow.jp/politics/2013/11/13/45991.html
サハリン州ユジノサハリンスク市で18日、国際科学・実践会議「日本-ロシア-EU鉄道直結」が行われる=タス通信撮影
100年以上遡る大構想
この大規模な構想は、かれこれ100年以上も、進取の気性に富んだ人々を刺激してきた。ユーラシア大陸と日本列島を行き来するには、本土とサハリンの間の7.5キロメートルの間宮海峡をつなげ、クリリオン岬(西能登呂岬)と北海道の間の42キロメートルの宗谷海峡をつなげるだけで十分だ。
サハリン州とロシア本土をつなげる構想は、19世紀の時点でも夢物語ではなかった。ロシア帝国では、これを極東の有名な研究者である、ゲンナジー・ネヴェリスコイ提督が推進していた。20世紀初めには、間宮海峡でダム、閘門(こうもん)、海港の建設に関する具体的な提案がなされていたが、1917年のロシア革命とその後の内戦で、このプロジェクトは検討されなかった。
サハリン州との運搬は長い期間、シベリア鉄道の終点である沿海地方の港を通して行われていた。独ソ戦争中に、間宮海峡の沿岸(ワニノ商業港が建設および拡張され始めていた)まで、鉄道が敷設された。
スターリン・プロジェクト
より現実的な試みがなされたのは1950年代初め。コムソモリスク・ナ・アムーレとサハリン州のポベジノ駅の間の鉄道建設が始まり、本土のラザレフ岬とサハリン州のポギビ岬の間、すなわち間宮海峡に海底トンネルができるはずだった。
本土ではアムール川右岸に沿ったセリヒノ駅からチョルヌイ・ムィス駅までの120キロメートルに鉄道の路盤が敷設され、ラザレフ岬ではシャフトの掘削が行われ、海峡では人工島の埋め立てが行われた。だがスターリンの死後、 建設は中止された。
1970年代初めにワニノとホルムスクの間でフェリーが運航されたが、現在は安定的な連絡を確保することができないでいる。
なぜ鉄道なのか
サハリン州と本土に年中運行可能な鉄道を設置することは、ロシア極東地域だけでなく、国全体の戦略的利益にかなう。太平洋岸は現在、シベリア鉄道およびバイカル・アムール鉄道と直結している、極東の主要な3港すなわちウラジオストク港、ナホトカ港、ワニノ港の可能性に限定されている。アジア太平洋諸国の貨物をヨーロッパに輸送することはできるが、これらの大きな港を刷新しても、輸送能力の不足が根本的に解決できるわけではない。
輸送の問題を一挙に解決するには、サハリン州でロシアの新たな海門をつくるしかないのだ。サハリン州南部にはホルムスクとコルサコフという不凍港が2港 あり、ここまでは鉄道が敷かれている。しかしながら、本土の重要な輸送鉄道と断絶されていることから、活かしきれていない。
この問題の解決策となるのが、間宮海峡のトンネルあるいは橋を経由した、セリヒノ駅からサハリンのヌイシュ駅までの、長さ582キロメートルの鉄道の建設である。
プーチン大統領の鶴の一声
このプロジェクトの実現は、複数の重要な書類で定められている。その中には「2030年までの鉄道輸送発展戦略」、国家プログラム「極東及びバイカル地 域の社会・経済発展」、「ロシア運輸システム発展(2010~2015年)」がある。ロシア連邦運輸省の指示で、科学研究作業「ヨーロッパ-ロシア-日本間シベリア鉄道国際輸送回廊の競争力向上における科学的根拠のある提案の作成」が実施された。
サハリン州は世界的に重要な石油とガスの備蓄により、ロシアでもっとも投資に魅力的な地域の一つとなっている。そしてプロジェクトは、サハリンの港とヨーロッパの間の貨物輸送に、大きな可能性をもたらす。
「プロジェクトが実現した場合、鉄道はサハリンと本土をつなげる単なる”線”ではなく、真の”綱”になる。両方向への貨物輸送量が大きく増え、価格を著しく下げる」とサハリン州のアレクサンドル・ホロシャビン知事は考える。
ウラジーミル・プーチン大統領も同じ考えだ。サハリン州の社会・経済発展に関する会議が、7月16日にユジノサハリンスク市で行われた際、プーチン大統領は連邦政府に対し、本土とサハリンの橋を建設する際の技術条件を今年末までにまとめるよう指示した。
日本は成り行きを注視
この成り行きを注意深く見守っているのが日本だ。建設が始まれば、宗谷海峡を経由した日本の鉄道との直結プロジェクトは急務となる。実現すれば貨物の輸送量が数倍の年間3320万トンにはねあがると、ロシア運輸省の指示で試算した専門家は話す。
このシベリア鉄道の延長部分で、日本とヨーロッパの間の年間400~600万個のコンテナ(日本とヨーロッパの間の総コンテナ個数の15~20%)と、日本とロシアの輸出入貨物の大部分が輸送される可能性がある。
http://roshianow.jp/business/2013/09/06/44951.html
北海道とサハリンをつなげよう
2013年9月6日
ロシア連邦運輸省は近日中に、サハリンと北海道の間に横断路を設置する構想について、日本と協議を行う。サハリン州のアレクサンドル・ホロシャビン知事が、サハリン州南部のコルサコフ地区の住民と対話をした際に明らかにした。
ロシア連邦運輸省は近日中に、サハリンと北海道の間に横断路を設置する構想について、日本と協議を行う =Getty Images/アドリアン・モザー撮影
「現在これについて研究中。マクシム・ソコロフ運輸相は近日中に訪日し、サハリンと北海道の間に横断路を設置する可能性について話し合う」。ホロシャビン知事によると、このプロジェクトはサハリン州だけでなく、ロシアにも大きな利益をもたらし得るという。
シベリア鉄道を北海道とつなぐ
「サハリン・ロシア本土」プロジェクトには、間宮海峡(7.5キロメートル)に鉄道・道路併用橋をかけて、シベリア鉄道をサハリンまで延長し(約580キロメートル)、さらにサハリンの鉄道システム(約850キロメートル)を刷新する計画が含まれている。
ここからさらにサハリンと北海道の間の宗谷海峡(約42キロメートル)に橋またはトンネルを建設し、プロジェクトを拡大しようとしているのだ。
ロシア政府の専門家が2002年に行った調査では、技術的に可能であること、また社会・経済的な効果をもたらすことが確認された。
総額1兆5000億円
宗谷海峡の横断路を除いたこのプロジェクトのコストは、45億ドル(約4500億円)と試算されていた。内訳は「サハリン・ロシア本土」の新たな支線と橋の建設費用が20億ドル(約2000億円)、サハリンの鉄道刷新費用が25億ドル(約2500億円)。
専門家の試算によると、宗谷海峡に横断路を設置した場合、80~100億ドル(約8000億~1兆円)ほどかかるという。したがって2002年の見積額 を合わせると、このプロジェクトへの投資額は120~150億ドル(約1兆2000億~1兆5000億円)になる。建設工事は7年ほどかかる見込み。
年間収益は約3000~4000億円と試算
宗谷海峡の横断路のプロジェクトが実現した場合、年間400~600万個のコンテナが日本とヨーロッパの間で輸送され(日本とヨーロッパの間の総コンテナ個数の15~20%)、さらに年間1800~2000万トンの貨物が日本とロシアの間で輸送される可能性があると、専門家は試算している。これらの輸送 から得られる年間収益は、30~40億ドル(約3000~4000億円)になる可能性があるという。
新しい輸送路が生まれると、輸送コストを削減でき、ロシア極東のシベリア鉄道およびバイカル・アムール鉄道沿線地域からの鉱物資源、木材、その他の自然の開発や輸出を活発化させることが可能になる。
http://roshianow.jp/business/2013/08/02/go_44353.html
プーチンが極東の交通インフラ整備にGO
2013年8月2日
シベリア鉄道とバイカル・アムール鉄道の改修工事が行われる。ロシア政府は5620億ルーブル(約1兆6860億円)を投じる決定を行った。プロジェクトは来年から実施される。
ウラジオストク駅 =コメルサント紙撮影
年金生活者の資金の一部を鉄道改修に
2路線の改修工事にかかる費用のうち、3020億ルーブル(約9060億円)はロシアの国営会社「ロシア鉄道」の自社資金。1100億ルーブル(約 3300億円)は、コメルサント紙の報道によると、直接予算投資として「ロシア鉄道」の授権資本金に計上される。残りの1500億ルーブル(約4500億 円)は、「ロシア鉄道」が2014年から2016年にかけて、国民福祉基金から借り入れる。国民福祉基金は2008年、年金基金の予算収支確保のために設 立された。このようにして、未来の年金生活者の資金が一部使われることとなる。
民営化で返済する見通し
ガゼータ・ル紙によると、財政融資の返済のメカニズムや規模は完全には決められていないという。ロシア鉄道の25%を2016年以降に民営化し、株式を売 却して、国民福祉基金への返済にあてる可能性が高い。プロジェクトの回収期間は30年もしくは50年もあり得る。建設規模(シベリア鉄道は世界最長の 9298キロメートル、バイカル・アムール鉄道は4287キロメートル)を考えると、この回収期間は現実的だ。ロシア鉄道のウラジーミル・ヤクーニン社長 も、ウラジーミル・プーチン大統領も、改修工事の必要性を感じている。
5年で極東の港向けの貨物が55%増
プーチン大統領は7月26日、ノヴォ・オガリョヴォで政府関係者らと面会し、次のように述べた。「ここ5年でロシア極東の港行きの鉄道貨物だけでも、 55%増加している。年間約1億1000万トン。これはこの地域としては記録的な数字だ」。ヤクーニン社長も「貨物が10倍に増えた」と話した。
プロジェクトは両鉄道の改修工事にとどまらない可能性がある。ヴィクトル・イシャエフ極東発展相は昨年5月、ウラジオストクの会議に出席し、新たなバイカル・アムール鉄道2の建設構想について触れた。こちらも来年着手することを、タス通信が伝えている。
バイカル・アムール鉄道2を、橋を通してサハリン島までつなげ、さらにその支線を朝鮮と中国まで伸ばす可能性がある。これによって、アフリカ周辺を通過 する航路から、ロシアを経由してアジアからヨーロッパにトランジット貨物(通過貨物)を輸送する陸路に流れを変えることができる。この計画が発表された会 議では、ドミトリー・メドベージェフ首相が議長を務めた。
資金回収、返済、採算性などで慎重論も
巨額な投資を必要とする、極東の交通インフラの整備プロジェクトについて、この分野の専門家は異なる意見を持っている。
「ロシア政府はこの投資資金の流れを管理しきれない。特別な管理組織が必要だ」と、高等経済学院のエヴゲニー・ヤーシン科学顧問は話す。国民福祉基金の事務局は、ロシア政府とその決定から独立すべきということだ。
証券会社「オトクルィチエ」市場分析部のコンスタンチン・ブシュエフ部長は、インフラへの投資が経済成長の刺激には重要だとしながらも、このプロジェク トの長期的影響を事前にしっかりと考える必要があると話す。「『停滞の時代』にソ連政府がこれらの鉄道に投じた資金や人材は、ほとんどが無駄になった」。
「経済成長の牽引車になる」
投資運用会社「カピタル」のアナリスト、アンドレイ・ヴェルホランツェフ氏は、それほど悲観的にとらえていない。交通インフラに国家資金が投じられれば、経済成長が起きる可能性があるという。
ロシアの投資会社「ツェリフ・キャピタル・マネージメント」の上級アナリスト、オレグ・ドゥシン氏はこう話す。「シベリア鉄道の改修には、経済的だけで なく、政治的な理由がある。環太平洋地域におけるロシアの立ち位置を維持するために、シベリア鉄道は重要だ。発表された総投資額には、国民福祉基金の資金 や改修の規模との相関関係がしっかりとある」。
*ガゼータ・ル、コメルサント紙、タス通信の記事を参照。
http://www.blogger.com/blogger.g?blogID=4183788015120103681#editor/target=post;postID=5395794918312483368
2路線の改修工事にかかる費用のうち、3020億ルーブル(約9060億円)はロシアの国営会社「ロシア鉄道」の自社資金。1100億ルーブル(約 3300億円)は、コメルサント紙の報道によると、直接予算投資として「ロシア鉄道」の授権資本金に計上される。残りの1500億ルーブル(約4500億 円)は、「ロシア鉄道」が2014年から2016年にかけて、国民福祉基金から借り入れる。国民福祉基金は2008年、年金基金の予算収支確保のために設 立された。このようにして、未来の年金生活者の資金が一部使われることとなる。
民営化で返済する見通し
ガゼータ・ル紙によると、財政融資の返済のメカニズムや規模は完全には決められていないという。ロシア鉄道の25%を2016年以降に民営化し、株式を売 却して、国民福祉基金への返済にあてる可能性が高い。プロジェクトの回収期間は30年もしくは50年もあり得る。建設規模(シベリア鉄道は世界最長の 9298キロメートル、バイカル・アムール鉄道は4287キロメートル)を考えると、この回収期間は現実的だ。ロシア鉄道のウラジーミル・ヤクーニン社長 も、ウラジーミル・プーチン大統領も、改修工事の必要性を感じている。
5年で極東の港向けの貨物が55%増
プーチン大統領は7月26日、ノヴォ・オガリョヴォで政府関係者らと面会し、次のように述べた。「ここ5年でロシア極東の港行きの鉄道貨物だけでも、 55%増加している。年間約1億1000万トン。これはこの地域としては記録的な数字だ」。ヤクーニン社長も「貨物が10倍に増えた」と話した。
プロジェクトは両鉄道の改修工事にとどまらない可能性がある。ヴィクトル・イシャエフ極東発展相は昨年5月、ウラジオストクの会議に出席し、新たなバイカル・アムール鉄道2の建設構想について触れた。こちらも来年着手することを、タス通信が伝えている。
バイカル・アムール鉄道2を、橋を通してサハリン島までつなげ、さらにその支線を朝鮮と中国まで伸ばす可能性がある。これによって、アフリカ周辺を通過 する航路から、ロシアを経由してアジアからヨーロッパにトランジット貨物(通過貨物)を輸送する陸路に流れを変えることができる。この計画が発表された会 議では、ドミトリー・メドベージェフ首相が議長を務めた。
資金回収、返済、採算性などで慎重論も
巨額な投資を必要とする、極東の交通インフラの整備プロジェクトについて、この分野の専門家は異なる意見を持っている。
「ロシア政府はこの投資資金の流れを管理しきれない。特別な管理組織が必要だ」と、高等経済学院のエヴゲニー・ヤーシン科学顧問は話す。国民福祉基金の事務局は、ロシア政府とその決定から独立すべきということだ。
証券会社「オトクルィチエ」市場分析部のコンスタンチン・ブシュエフ部長は、インフラへの投資が経済成長の刺激には重要だとしながらも、このプロジェク トの長期的影響を事前にしっかりと考える必要があると話す。「『停滞の時代』にソ連政府がこれらの鉄道に投じた資金や人材は、ほとんどが無駄になった」。
「経済成長の牽引車になる」
投資運用会社「カピタル」のアナリスト、アンドレイ・ヴェルホランツェフ氏は、それほど悲観的にとらえていない。交通インフラに国家資金が投じられれば、経済成長が起きる可能性があるという。
ロシアの投資会社「ツェリフ・キャピタル・マネージメント」の上級アナリスト、オレグ・ドゥシン氏はこう話す。「シベリア鉄道の改修には、経済的だけで なく、政治的な理由がある。環太平洋地域におけるロシアの立ち位置を維持するために、シベリア鉄道は重要だ。発表された総投資額には、国民福祉基金の資金 や改修の規模との相関関係がしっかりとある」。
*ガゼータ・ル、コメルサント紙、タス通信の記事を参照。
http://www.blogger.com/blogger.g?blogID=4183788015120103681#editor/target=post;postID=5395794918312483368
貨物の輸送はロシア経由で
2012年8月9日
アジア太平洋経済協力(APEC)交通大臣会合がサンクトペテルブルクで開催され、ロシアのマクシム・ソコロフ運輸相が、現在APEC諸国とEU諸国の間で取引されている貨物の10%を、スエズ運河の代替ルートとしてロシアを経由させ、遅延を低減したいとの意向を発表した。これに対しAPEC参加国は、ロシアが極東の輸送インフラを徹底的に改善する必要があると述べた。
=タス通信撮影
21カ国の交通大臣が参加した8月3日の会合は、9月のAPEC首脳会議に向けた行事の一つだ。ウラジオストクで受け入れ準備が完了するまでに、多くのAPEC関連会合がサンクトペテルブルクなどのより設備の整った街で開催される。信頼性の高い物流網の確立は、APECの4つの優先課題のうちの一つとしてロシアが提案した。
輸送路の多様化で時間もコストも節約
ソコロフ運輸相によると、最も重要なロシアの提案は、アジア太平洋地域からヨーロッパへの商品の輸送を中心とした物流で、コースを多様化することだという。プレゼンテーションではプロジェクターが使用され、商品がアジアからスエズ運河を経由してヨーロッパに輸送される現在の様子と、シベリア鉄道、バイカル・アムール鉄道、ロシアの太平洋港を現代化した場合のロシア経由の輸送が映し出された。
「輸送ルートの多様化は、輸送遅延や取引遅延を低減させるし、それによってエンド・ユーザーの購入価格も安くなるという経済効果をもたらすことは間違いない」と、運輸省関係者はスエズ運河を通る不便さとソマリア海賊のリスクを強調しつつ、効果を強調した。また、ロシアがアジアからヨーロッパに輸送される商品の10%が、数年後にはロシア経由となっていることも希望として述べた。
各国の大臣は好意的に受け取り、特に韓国代表は、ロシア経由の新たなルートの発展を、アジア地域全体の優先課題とした。
投資、インフラ整備が必要との意見
昼食の際、関係者はこの大規模な計画の見通しについて、ビジネスの代表者らと語り合った。提案は支持されたものの、実現するための問題点について多く語られた。
国営企業「ロシア鉄道」のアレクサンドル・サルタノフ副社長は、鉄道を韓国から北朝鮮を通じてシベリア鉄道につなげる、またはウィーンまで鉄道を建設するなどのプロジェクトで、ヨーロッパへの貨物の通過輸送を発展させるには、多額の投資が必要となると語った。
13日間通関待ち
今年、APECビジネス諮問委員会(ABAC)の議長を務めているジヤブジン・マゴメドフ氏(「スムマ」グループ会長)は、運行管理や通関の改善、最新技術の導入などが優先課題であるとし、次のように述べた。
「ウラジオストクからモスクワまでのコンテナ輸送には28日かかり、うち10日は鉄道を走る期間で、13日は通関待ちの期間だ。シンガポールなら、コンテナの通関は1日以内で終わる」。
この他に、ロシアはAPEC参加国に対し、コンテナ貨物の情報がRFID(電波式識別)に記録され、それを特別なスキャナーで読みとれるような統一基準を採用することを提案した。RFIDが通関書類の代わりとして採用されれば、貨物の処理が4倍から6倍早くなるという。
市場独占に関する意見
会議の終盤には、ロシア輸送ルートの実現に「ロシア鉄道」の独占状態が障壁となっていないか、また効率を上げるために「ロシア鉄道」を私有化すべきではないかといった質問が行われた。
「私有化で必ずしも効率が上がるとは限らない。そのような変化は極めて慎重に行われなければならない。ドイツ鉄道のような成功している国営企業もあるのだから、それを見本にすべきだ」とサルタノフ副社長は答えた。
輸送路の多様化で時間もコストも節約
ソコロフ運輸相によると、最も重要なロシアの提案は、アジア太平洋地域からヨーロッパへの商品の輸送を中心とした物流で、コースを多様化することだという。プレゼンテーションではプロジェクターが使用され、商品がアジアからスエズ運河を経由してヨーロッパに輸送される現在の様子と、シベリア鉄道、バイカル・アムール鉄道、ロシアの太平洋港を現代化した場合のロシア経由の輸送が映し出された。
「輸送ルートの多様化は、輸送遅延や取引遅延を低減させるし、それによってエンド・ユーザーの購入価格も安くなるという経済効果をもたらすことは間違いない」と、運輸省関係者はスエズ運河を通る不便さとソマリア海賊のリスクを強調しつつ、効果を強調した。また、ロシアがアジアからヨーロッパに輸送される商品の10%が、数年後にはロシア経由となっていることも希望として述べた。
各国の大臣は好意的に受け取り、特に韓国代表は、ロシア経由の新たなルートの発展を、アジア地域全体の優先課題とした。
投資、インフラ整備が必要との意見
昼食の際、関係者はこの大規模な計画の見通しについて、ビジネスの代表者らと語り合った。提案は支持されたものの、実現するための問題点について多く語られた。
国営企業「ロシア鉄道」のアレクサンドル・サルタノフ副社長は、鉄道を韓国から北朝鮮を通じてシベリア鉄道につなげる、またはウィーンまで鉄道を建設するなどのプロジェクトで、ヨーロッパへの貨物の通過輸送を発展させるには、多額の投資が必要となると語った。
13日間通関待ち
今年、APECビジネス諮問委員会(ABAC)の議長を務めているジヤブジン・マゴメドフ氏(「スムマ」グループ会長)は、運行管理や通関の改善、最新技術の導入などが優先課題であるとし、次のように述べた。
「ウラジオストクからモスクワまでのコンテナ輸送には28日かかり、うち10日は鉄道を走る期間で、13日は通関待ちの期間だ。シンガポールなら、コンテナの通関は1日以内で終わる」。
この他に、ロシアはAPEC参加国に対し、コンテナ貨物の情報がRFID(電波式識別)に記録され、それを特別なスキャナーで読みとれるような統一基準を採用することを提案した。RFIDが通関書類の代わりとして採用されれば、貨物の処理が4倍から6倍早くなるという。
市場独占に関する意見
会議の終盤には、ロシア輸送ルートの実現に「ロシア鉄道」の独占状態が障壁となっていないか、また効率を上げるために「ロシア鉄道」を私有化すべきではないかといった質問が行われた。
「私有化で必ずしも効率が上がるとは限らない。そのような変化は極めて慎重に行われなければならない。ドイツ鉄道のような成功している国営企業もあるのだから、それを見本にすべきだ」とサルタノフ副社長は答えた。
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