2013年9月10日火曜日

ドイツ放射線防護協会、1kgあたり8ベクレル(Bq)以上のセシウム137を含む飲食物を摂取しないことを推奨

ドイツ放射線防護協会、1kgあたり8ベクレル(Bq)以上のセシウム137を含む飲食物を摂取しないことを推奨



http://bran7.net/archives/10141

未成年者は1kgあたり4ベクレル(Bq)以上、成人は1kgあたり8Bq 以上のセシウム137を含む飲食物を摂取しないことを推奨

ドイツ放射線防護協会が、福島原発事故の発生後の日本において、放射線核種(放射性物質)を含む食物の摂取による被ばくの危険性を最小限に抑えるため、チェルノブイリ原発事故の経験をもとに考察・算定を行い、以下の提言を行っている。
1‐放射性ヨウ素が現在多く検出されているため、日本国内に居住する者は当面、汚染の可能性のあるサラダ菜、葉物野菜、薬草・山菜類の摂取は断念することが推奨される。
2‐評価の根拠に不確実性があるため、乳児、子ども、青少年に対しては、1kgあたり4ベクレル(Bq)以上のセシウム137を含む飲食物を与えないよう推奨されるべきである。成人は、1kgあたり8Bq 以上のセシウム137を含む飲食物を摂取しないことが推奨されるべきである。
3‐日本での飲食物の管理および測定結果の公開のためには、市民団体および基金は、独立した放射線測定所を設けることが有益である。ヨーロッパでは、日本におけるそのようなイニシアチブをどのように支援できるか、検討すべきであろう。

飲食物を通じた放射性物質の摂取は、長期間にわたり、身体にもっとも深刻な影響を与え続ける経路となる

飲食物を通じた放射性物質の摂取は、原子力災害後、長期間にわたり、身体にもっとも深刻な影響を与え続ける経路となるとし、半減期2.06年のセシウム134、半減期30.2年のセシウム137、半減期28.9年ストロンチウム90、半減期2万4,400年プルトニウム239といった、長期間残存する放射性物質に対して、長期的に特に注意を要するとしている。

日本の野菜・穀物・肉類のセシウム規制値は500ベクレル(Bq)/kg

1

日本の野菜・穀物・肉類のセシウム規制値は500ベクレル(Bq)/kgとドイツの成人の約8ベクレル(Bq)/kgと比べて極めて高い基準である。日本で「直ちに影響はない」として流通している野菜等もドイツ基準では危険となる。

被ばくの程度が高いほど、がんによる死亡率は高くなる
ドイツの被ばく線量の限界値が年間0.3mSvなのに対し、日本では原発事故後に、1mSvから20mSvに引き上げられた。福島県放射線健康リスク管理アドバイザー・山下俊一長崎県大学教授に至っては、過去「100mSvまでは大丈夫」と発言していた。

国際放射線防護委員会(ICRP)は、被ばくを年間0.3mSv受けた場合、後年、10万人につき1~2 人が毎年がんで死亡すると算出している。しかし、ドイツ放射線防護協会が広島と長崎のデータを独自に解析した結果によれば、その10 倍以上の10万人のうち、およそ15人が毎年がんで死亡する可能性があるとし、被ばくの程度が高いほど、それに応じてがんによる死亡率は高くなると結論づけている。

pdfファイル:日本における放射線リスク最小化のための提言

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http://icbuw-hiroshima.org/wp-content/uploads/2011/04/322838a309529f3382702b3a6c5441a31.pdf

ドイツ放射線防護協会

www.strahlentelex.de

http://www.strahlentelex.de/

2011 年3 月20 日

日本における放射線リスク最小化のための提言

ドイツ放射線防護協会と情報サービス放射線テレックスは、福島原発事故の発生後の日本に
おいて、放射線核種[いわゆる放射性物質:訳者注]を含む食物の摂取による被ばくの危険性
を最小限に抑えるため、チェルノブイリ原発事故の経験をもとに下記の考察・算定を行い、以
下の提言を行う。

1.放射性ヨウ素が現在多く検出されているため、日本国内に居住する者は当面、
汚染の可能性のある*サラダ菜、葉物野菜、薬草・山菜類の摂取は断念すること
が推奨される。

2.評価の根拠に不確実性があるため、乳児、子ども、青少年に対しては、1kg
あたり4 ベクレル〔以下 Bq:訳者注〕以上のセシウム137 を含む飲食物を与え
ないよう推奨されるべきである。成人は、1kg あたり8Bq 以上のセシウム137 を
含む飲食物を摂取しないことが推奨される。

3.日本での飲食物の管理および測定結果の公開のためには、市民団体および基
金は、独立した放射線測定所を設けることが有益である。ヨーロッパでは、日本
におけるそのようなイニシアチブをどのように支援できるか、検討すべきであろ
う。

考察と算定
以下の算定は、現行のドイツ放射線防護令の規定に基づいている。
飲食物を通じた放射性物質の摂取は、原子力災害後、長期間にわたり、身体にもっとも深刻
な影響を与え続ける経路となる。日本では、ほうれん草1kg あたり54,000Bq のヨウ素131 が検
出されたが、こうしたほうれん草を100g(0.1 ㎏)摂取しただけで、甲状腺の器官線量は次の
とおりとなる(*1)。

乳児(1 歳未満):甲状腺線量20 ミリシーベルト〔以下 mSv:訳者注〕(*2)
幼児(1~2 歳未満):甲状腺線量19.4mSv(*3)
子ども(2~7 歳未満):甲状腺線量11.3mSv(*4)
子ども(7~12 歳未満):甲状腺線量5.4mSv(*5)
青少年(12~17 歳未満):甲状腺線量3.7mSv(*6)
大人(17 歳以上):甲状腺線量2.3mSv(*7)

2001 年のドイツ放射線防護令第47 条によれば、原子力発電所通常稼働時の甲状腺器官線量
の限界値は年間0.9mSV であるが、上に述べたような日本のほうれん草をわずか100g 摂取する
だけで、すでに何倍もこの限界値を超えることになる。原発事故の場合には、同第49 条によれ
ば、甲状腺線量は150mSv まで許容されるが、これはいわゆる実効線量7.5mSv に相当する(*8)。
それゆえ日本国内居住者は、当面、汚染の可能性のある*サラダ菜、葉物野菜、
薬草・山菜類の摂取を断念することが推奨される。

ヨウ素131 の半減期は8.06 日である。したがって、福島原発の燃焼と放射性物質の環境への
放出が止まった後も、ヨウ素131 が当初の量の1%以下にまで低減するにはあと7 半減期、つ
まり2 ヶ月弱かかることになる。54,000Bq のヨウ素131 は、2 ヵ月弱後なお約422Bq 残存して
おり、およそ16 半減期、つまり4.3 ヶ月(129 日)後に,ようやく1Bq 以下にまで低減する。

長期間残存する放射性核種
長期的に特に注意を要するのは、セシウム134(半減期2.06 年)、セシウム137(半減期
30.2 年)、ストロンチウム90(半減期28.9 年)、プルトニウム239(半減期2 万4,400 年)
といった、長期間残存する放射性物質である。

通常、2 年間の燃焼期間の後、長期間残存する放射性物質の燃料棒内の割合は、
セシウム137:セシウム134:ストロンチウム90:プルトニウム239=100:25:75:0.5
である。

しかしチェルノブイリの放射性降下物では、セシウム137 の割合がセシウム134 の2 倍にの
ぼるのが特徴的であった。これまでに公表された日本の測定結果によれば、放射性降下物中の
セシウム137 とセシウム134 の割合は、現在ほぼ同程度である。ストロンチウム90 およびプル
トニウム239 の含有量はまだ不明であり、十分な測定結果はそれほど早く入手できないと思わ
れる。福島第一原発の混合酸化物(MOX)燃料は、より多くのプルトニウムを含んでいるが、お
そらくそのすべてが放出されるわけではないだろう。ストロンチウムは、過去の原発事故にお
いては、放射性降下物とともに比較的早く地表に達し、そのため事故のおきた施設から離れる
につれて、たいていの場合濃度が低下した。したがって、今回の日本のケースに関する以下の
計算では、

セシウム137: セシウム134: ストロンチウム90: プルトニウム239 の割合は、
100:100:50:0.5
としている。

したがって、2001 年版ドイツ放射線防護令の付属文書Ⅶ表1 にもとづく平均的な摂取比率と
して、1kg につき同量それぞれ100Bq のセシウム137(Cs-137)とセシウム134(Cs-134)、お
よびそれぞれ50Bq のストロンチウム90(Sr-90)と0.5Bq のプルトニウム239(Pu-239)に汚染
された飲食物を摂取した場合、以下のような年間実効線量となる̶̶
乳児(1 歳未満):実効線量6mSv/年(*9)
幼児(1~2 歳未満):実効線量2.8mSv/年(*10)
子ども(2~7 歳未満):実効線量2.6mSv/年(*11)
子ども(7~12 歳未満):実効線量3.6mSv/年(*12)
青少年(12~17 歳未満):実効線量5.3mSv/年(*13)
成人(17 歳以上):実効線量3.9mSv/年(*14)

現行のドイツ放射線防護令第47 条によれば、原子力発電所の通常稼働時の空気あるいは水の
排出による住民1人あたりの被ばく線量の限界値は年間0.3mSv である。この限界値は、1kg あ
たり100Bq のセシウム137 を含む固形食物および飲料を摂取するだけですでに超過するため、
年間0.3mSv の限界値以内にするためには、次の量まで減らさなければならない。

乳児(1 歳未満):セシウム137 5.0Bq/kg
幼児(1~2 歳未満):セシウム137 10.7Bq/kg
子ども(2~7 歳未満):セシウム137 11.5Bq/kg
子ども(7~12 歳未満):セシウム137 8.3Bq/kg
青少年(12~17 歳未満):セシウム137 5.7Bq/kg
成人(17 歳以上):セシウム137 7.7Bq/kg

評価の根拠に不確実性があるため、乳児、子ども、青少年に対しては、1kg あ
たり4Bq 以上の基準核種セシウム137 を含む飲食物を与えないよう推奨される
べきである。

成人は、1kg あたり8Bq 以上の基準核種セシウム137 を含む飲食物を摂取しない
ことが推奨される。

国際放射線防護委員会(ICRP)は、そのような被ばくを年間0.3mSv 受けた場合、後年、10
万人につき1~2 人が毎年がんで死亡すると算出している。しかし、広島と長崎のデータを独自
に解析した結果によれば(*15)、その10 倍以上、すなわち0.3mSv の被ばくを受けた10 万人のう
ち、およそ15 人が毎年がんで死亡する可能性がある。被ばくの程度が高いほど、それに応じて
がんによる死亡率は高くなる。

(注)
*1   摂取量(kg)x 放射能濃度(Bq/kg)x 線量係数(Sv/Bq)(2001 年7 月23 日のドイツ連邦
環境省によるSV/Bq の確定値に基づく)=被ばく線量(Sv)。1Sv=1,000mSv。たとえば
E-6 とは、正しい数学的表記である10-6(0.000001)の、ドイツ放射線防護令で用いられて
いる行政上の表記である。

*2    0.1 kg x 54,000 Bq/kg x 3.7E-6 Sv/Bq = 20mSv
*3    0.1 kg x 54,000 Bq/kg x 3.6E-6 Sv/Bq = 19.4mSv
*4  0.1 kg x 54,000 Bq/kg x 2.1E-6 Sv/Bq = 11.3mSv
*5  0.1 kg x 54,000 Bq/kg x 1.0E-6 Sv/Bq = 5.4mSv
*6  0.1 kg x 54,000 Bq/kg x 6.8E-7 Sv/Bq = 3.7mSv
*7  0.1 kg x 54,000 Bq/kg x 4.3E-7 Sv/Bq = 2.3mSv
*8  ドイツの放射線防護令の付属文書ⅥのC 部2 によれば、甲状腺は重要度わずか5%とされ
ている。甲状腺の重要度がこのように低く評価されているのは、甲状腺がんは非常に手術
しやすいという理由によるものである。
*9  325.5 kg/年 x [100 Bq/kg x (2.1E-8 Sv/Bq Cs-137 + 2.6E-8 Sv/Bq Cs-134) + 50 Bq/kg
x 2.3E-7 Sv/Bq Sr-90 + 0.5 Bq/kg x 4.2E-6 Sv/Bq Pu-239] = 6mSv/年
*10  414 kg/年 x [100 Bq/kg x (1.2E-8 Sv/Bq Cs-137 + 1.6E-8 Sv/Bq Cs-134) + 50 Bq/kg
x 7.3E-8 Sv/Bq Sr-90 + 0.5 Bq/kg x 4.2E-7 Sv/Bq Pu-239] = 2.8mSv/年
*11  540 kg/年 x [100 Bq/kg x (9.6E-9 Sv/Bq Cs-137 + 1.3E-8 Sv/Bq Cs-134) + 50 Bq/kg
x 4.7E-8 Sv/Bq Sr-90 + 0.5 Bq/kg x 3.3E-7 Sv/Bq Pu-239] = 2.6mSv/年
*12  648.5 kg/ 年 x [100 Bq/kg x (1.0E-8 Sv/Bq Cs-137 + 1.4E-8 Sv/Bq Cs-134) + 50
Bq/kg x 6.0E-8 Sv/Bq Sr-90 + 0.5 Bq/kg x 2.7E-7 Sv/Bq Pu-239] = 3.6mSV/年
*13  726 kg/年 x [100 Bq/kg x (1.3E-8 Sv/Bq Cs-137 + 1.9E-8 Sv/Bq Cs-134) + 50 Bq/kg
x 8.0E-8 Sv/Bq Sr-90 + 0.5 Bq/kg x 2.4E-7 Sv/Bq Pu-239] = 5.3mSv/年
*14  830.5 kg/ 年 x [100 Bq/kg x (1.3E-8 Sv/Bq Cs-137 + 1.9E-8 Sv/Bq Cs-134) + 50
Bq/kg x 2.8E-8 Sv/Bq Sr-90 + 0.5 Bq/kg x 2.5E-7 Sv/Bq Pu-239] = 3.9mSv/年
*15  Nussbaum, Belsey, Köhnlein 1990; 1990 年10 月4 日付Strahlentelex 90-91 を参照。

[付記:チェルノブイリ原発事故後の経験に基づいてなされた本提言の厳しい内容と比べると、日本政府によって出されて来ている様々な指針・見解は、いかに放射線リスクを過小評価したものかが際立ちます。本提言は、3 月20 日の時点で出されたものであり、また、日本での地域的な違いが考慮されていないなどの制約があるかと思いますが、内部被曝を含めた放射線リスクの見直しの一助となることを心より願います。なお、*イタリック部分は、原文の意図を表現するため、ドイツ側関係者の了承のもと訳者が追加したものです。

この日本語訳は、呼びかけに直ちに応じてくださった以下の方々のご協力で完成したものです。心よりお礼申し上げます。ただし、翻訳の最終的責任は松井(英)と嘉指にあります。

(敬称略・順不同)内橋華英、斎藤めいこ、佐藤温子、杉内有介、高雄綾子、中山智香子、本田宏、松井伸、山本堪、brucaniro、他二名。
松井英介(岐阜環境医学研究所所長)
嘉指信雄(NO DU ヒロシマ・プロジェクト代表)]

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Empfehlungen zur Minimierung des Strahlenrisikos in Japan

http://icbuw-hiroshima.org/wp-content/uploads/2011/04/Risikokalkulation_Japan_032011_dt.pdf

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http://www.niph.go.jp/soshiki/suido/pdf/h24whogdwq/WHOgdwq4thJPweb_all_20130423.pdf

飲料水水質ガイドライン

pdf 603p

以下抜粋:

第4版
(日本語版)

国立保健医療科学院

本書は、2011年世界保健機関(WHO)による出版物である。
原文タイトル:Guidelines for drinking-water quality – 4th ed.
©WHO 2011
WHOの事務総長は、日本語版の翻訳および出版権を国立保健医療科学院に許可する。
国立保健医療科学院は日本語版のみに責任を負う。
飲料水水質ガイドライン 第4版(日本語版)
発行所 国立保健医療科学院
発行日 2012年12月25日 (翻訳ver.2.1・Web版)
ISBN 978-4-903997-06-3
© 国立保健医療科学院 2012
「飲料水水質ガイドライン 第4版」は、WHO の許諾を得て翻訳を行った。翻訳にあたっ
ては、できるだけ注意を払ったが、不十分な点があれば、原文を参照のこと。誤訳等の
不備については、発行所、訳者が責任を負っている。翻訳利用上の留意点については、
国立保健医療科学院のホームページ「翻訳にあたって」を参照のこと。

WHO ライブラリ出版物目録データ(Cataloguing-in-Publication)
飲料水水質ガイドライン 第4版
1. 飲用水-基準 2. 水-基準 3.水質-基準 4.ガイドラインI. WHO
ISBN 978 92 4 154815 1 (NLM classification: WA 675)
©WHO 2011
無断転載を禁ず。WHOの出版物はWHOウェブサイト(http://www.who.int)にて入手可能、また
は下記にて購入可能である。
WHO Press, World Health Organization, 20Avenue Appia 1211 Geneva 27, Switzerland
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くはその官署の法的地位に関して、またはその境界地域もしくは境界線の決定に関して、WHOと
してのいかなる見解をも表明するものではない。地図上の破線は、未だ全面的な合意に達してい
ない可能性のある境界線の概略を示したものである。
個別の企業または特定の製品について言及されている場合、それらに対して、言及されていな
い同業他社または同種製品に優先して、WHOが承認または推奨を与えるものではない。誤字・
脱字を除き、登録商標名は頭文字を大文字にすることにより区別した。
本出版物に含まれる情報を確認するために、WHOはあらゆる適切な注意を払ってきた。しかし、
本出版物は、明示または暗示を問わず、いかなる種類の保証を伴うものではない。本出版物の解
釈および利用の責任は読者が負うものとする。WHOは、その利用により生じたいかなる損害につ
いても責任を負うものではない。
(以上 原文の記載事項)

第9 章 放射線学的観点



9.1.1 飲料水の摂取を通じた放射線被ばく
水源には、自然および人為起源(すなわち、人工)の放射性核種が含まれる可能性がある。
• カリウム-40や、トリウム崩壊系列およびウラン崩壊系列の核種、特にラジウム-226、ラジウム
-228、ウラン-234、ウラン-238、鉛-210をはじめとする自然放射性核種は、自然作用(土壌か
らの吸収など)または自然起源の放射性物質を伴う技術的処理(例えば、鉱物砂の採掘およ
び加工またはリン肥料の製造)の結果として、水中に存在することがある。
• 人工放射性核種は、以下のようないくつかの発生源により、水中に存在することがある。
- 核燃料サイクル施設から排出された放射性核種
- 通常のまたは偶発的な放出の結果として飲料水供給中に混入する、製造された放射
性核種(医療または産業用に非密封型で製造され使用されるもの)
- 飲料水源を含む環境中に過去に放出された放射性核種

線源別の電離放射線の一人当たり年間世界平均線量(mSv)



飲料水水質ガイドライン
– 210 –
スクリーニングレベルおよびガイダンスレベルは保守的
であり、義務として守るべき限度と解釈するべきではな
い。ガイダンスレベルの超過は追加的な調査の契機と捉
えるべきであり、必ずしもその飲料水が安全ではないとい
うことを示すものではない。
表9.1 自然線源からの平均的な放射線量
線源 世界の平均年間実効線量
(mSv)
代表的な平均年間実効線量の範囲
(mSv)
外部被ばく
宇宙線 0.39 0.3~1a
地殻放射線(室外および室
内)
0.48 0.3~1b
内部被ばく
吸入(主にラドン) 1.26 0.2~10c
摂取(食物および飲料水) 0.29 0.2~1d
総計 2.4 1~13
a 海面高度から高台までの範囲
b 土壌および建材中の放射性核種の組成に依存する
c ラドンガスの室内蓄積に依存する
d 食物および飲料水中の放射性核種の組成に依存する
出典:UNSCEAR(2008)より引用




表9.1 自然線源からの平均的な放射線量


9.1.2 飲料水を通じた放射線による健康影響
放射線防護は、放射能によるいかなる被ばくも、何らかのレベルのリスクを伴うという仮説に基
づいている。長期被ばくについては、放射性核種を含む飲料水の長期にわたる摂取の場合もそ
うであるが、100 mSv を超える線量でヒトの発がんリスクが増加するという根拠が得られている
(Brenner ら, 2003)。 これ以下の線量では、リスクの増加は疫学調査による確認はなされていない。
それ以下ではリスクがないという閾値はなく、被ばくとリスクの間に直線関係があると推定されてい
る。0.1 mSv/年という個人線量基準(IDC)は、検出可能ないかなる健康への悪影響も生じないと
想定される非常に低いリスクレベルを表している。
9.2 スクリーニングレベルおよびガイダンスレベルの理論的根拠
本ガイドラインは、ICRPにより提案された、一般大衆が長期放射線被ばく状況下にあるときのア
プローチに基づいている。ICRPによると、計画被ばく状況(囲み記事9.2参照)では、個人線量の
長期成分を年間0.1 mSvに制限することは賢明である(ICRP, 2000)。飲料水中の放射性核種に
よる被ばくは、計画被ばく状況の結果と
認識されているが、むしろ現存被ばく状
況によるものであろう。放射性核種が自
然起源か人工的であるかによって異なる
アプローチを採用するのではなく、放射
性核種の由来にかかわらず、1年間の飲
料水の摂取によるIDCを0.1 mSvにする実用的で保守的なアプローチを採用した(囲み記事9.3

248p
飲料水水質ガイドライン


図9.2 飲料水中の放射線核種に対するスクリーニングレベルおよびガイダンスレベルの適用

本ガイドラインの第2版で、IDCを0.1 mSv/年とすることは、全α放射能および全β放射能のスク
リーニングレベルがそれぞれ0.1 Bq/Lおよび1 Bq/Lであることに基づくものであった。このIDCは、
自然起源の放射能に起因する年間平均線量の5%未満を意味する(9.1参照)。 実際に、その後
経験的に全α放射能が0.5 Bq/L以下の場合、年間線量が通常は0.1 mSvを超えないことが示さ
れた。このため、本ガイドラインの第3版では、IDCは全α放射能で0.5 Bq/L、全β放射能で1
Bq/Lのスクリーニングレベルを元にした。この変更は、本ガイドラインの最新版に引き継がれた。
9.3 溶存放射性核種の監視と評価
飲料水からの放射性核種の健康リスクを制御するための推奨される評価方法を図9.2に示し、
囲み記事9.4に要約する。

囲み記事 9.4 推奨される評価方法
飲料水による放射性核種の健康リスクを制御するための推奨される評価方法には4つの段階がある。
1. 1年間の飲料水の摂取によるIDC1 として0.1 mSvを採用する。
2. 全α放射能と全β放射能の両者について初期スクリーニングを行う。測定された放射能濃度が、全α放射能に
ついて0.5 Bq/L、全β放射能について1 Bq/Lのスクリーニングレベルのいずれをも下回る場合、さらに対策を講
じる必要はない。
3. いずれかのスクリーニングレベルを超過した場合、個々の放射性核種の濃度を測定し、ガイダンスレベルと比
較しなければならない(表9.2参照)。
4. 3の追加的な評価の結果により、対策が不要であることや、線量を低減するための措置が必要であるか決定す
る前にさらに追加的な評価が必要であることが示されることがある。

9.3.1 飲料水供給のスクリーニング
飲料水中の個々の放射性核種を同定し、その濃度を測定する工程は、時間と費用を要する。
ほとんどの状況においては低濃度であるため、通常は、このような詳細な分析は、日常的な監視
では正当化されるものではない。より実際的なアプローチは、特定の放射性核種を同定すること
は考えずに、まずはα線およびβ線の形で存在する放射能の総量を測定するスクリーニング手
順を用いることである。
これらの測定は、放射性同位体に特有の追加的な分析が必要かどうか決定するための予備的
なスクリーニング手順として適している。 また、飲料水源の放射線学的特性の変化を検出するた
めのみならず、飲料水中の放射性核種の含有量の空間的・時間的な傾向を明らかにするために
も用いることができる。
それ以下であればさらに対策を講じる必要がない飲料水のスクリーニングレベルは、全α放射
能は0.5 Bq/L、全β放射能は1 Bq/Lである。いずれの値も超過していない場合は、0.1 mSv/年の
IDCもまた超過することはない。これらのスクリーニングレベルの使用は、飲料水の放射性核種の
含有量の評価に関して信頼性と費用対効果の双方が最大になるため、推奨されるものである。
トリチウムなどの低エネルギーのβ放射能を放出する放射性核種や、ヨウ素などの気体または
揮発性の放射性核種は、標準的な全放射能測定では検出されない。これらの放射性核種に対し
ては、日常的な分析は必要ではないが、存在する可能性があると考えられる何らかの理由がある
場合には、放射性核種に特有の試料採取と測定の技術を用いるべきである。2
全β放射能測定にはカリウム-40の寄与も含まれ、β放出体はカリウムの安定同位体に対して
一定の割合で自然界に存在する。カリウムはヒトの必須元素であり、主に摂取した食物から吸収さ
れる。全βのスクリーニングレベル1 Bq/Lを超過する場合、全カリウムを別途測定し、カリウム-40
のβ放射能に対する寄与を差し引くべきである。カリウム-40のβ放射能は、安定同位体のカリウ
ム1gに対し27.9 Bqであり、これはカリウム-40によるβ放射能を計算するために用いるべき係数で
ある。

9.3.2 スクリーニングレベルを超えた場合の飲料水の評価方法
もしいずれかのスクリーニングレベルを超過するようなことがあれば、放射性核種を同定して、
個々の放射能濃度を測定するべきである。これにより、各放射性核種によるIDCへの寄与を計算
することができる。次式が満たされれば、さらに対策を講じる必要はない。

式:pdf添付不可;省略

ここに、
Ci = 放射性核種iについて測定された放射能濃度
GL = 1年間毎日2 Lずつ1摂取した場合の実効線量が0.1 mSv/年となる放射性核種
iのガイダンスレベル(表9.2および付録6のA6.1参照)
いずれかのガイダンスレベルを超過する場合、 この合計は1を超過することになる。個々のガ
イダンスレベルを超過しない場合でも、合計が1を超過することがある。単一試料についてこの合
計が1を超過する場合、同じ測定濃度の被ばくが丸一年間続く場合に限って、0.1 mSv/年のIDC
を超過することになる。したがって、そのような結果は、それ自体で、その水が飲用不適であること
を意味するわけではない。

9.3.3 ガイダンスレベルを超えた場合の飲料水の評価方法
0.1 mSvという年間線量は、個人が受ける平均的な放射線量の中ではわずかな割合である。ス
クリーニングレベルおよびガイダンスレベルはともに、各国政府が、追加的な検討なしで放射線学
観点から飲料水が消費に適しているかどうかを決定できるように、非常に保守的な値になってい
る。各国での経験上、大多数の水供給がこれらの基準を満たすことが示されている。
時折、特定の放射性核種が単独または複数の組合せで継続的にガイダンスレベルを超過する
状況が発生することがある。その場合、各国政府は、防除手段を実施するまたは飲用目的での水
供給の継続的な使用に何らかの制限を設ける必要性について決断を下す必要がある。
放射線学的観点から考慮するべき重要な点の1つに、どのくらいガイダンスレベルを超過する
かということがある。電離放射線に対する防護と放射線源の安全のための国際基本安全基準で
は、現存被ばく状況に関する章で飲料水について扱っており、飲料水の摂取から受ける最大の
年間個人線量が約1 mSvを超過しないという必要条件が含まれている。1 これは「許容可能な」線
量または線量限度としてみなすべきものではなく、線量を最小にするためにあらゆる合理的な努
力をするべきである。 個々の状況は異なり、 また治療費や他の飲料水供給の利用可能性など
の放射線以外の要因を、最終決定に至る際に考慮する必要があるだろう。各国政府はまたウラン
などの放射性核種に化学的毒性があることを認識するべきであり、また飲料水中の許容濃度は、
その放射能の特性よりもむしろ放射性同位体の毒性により決定されることがある(12章参照)。

9.3.4 試料採取の頻度
飲料水の放射能汚染を監視する基準は、利用可能な資源および放射線リスクの可能性を考慮
して策定するべきである。 微生物および化学物質のリスクの十分な評価および管理を損なうべき
ではない。新規の水供給については、試料を採取し、適合性を判定するべきである。一方、既存
の供給については、時折監視が必要であろう。水供給の特性を十分に理解することができ、測定
濃度が一貫してスクリーニングレベルより低い場合には、試料採取の頻度は減らすべきである。
しかしながら、周辺に放射性核種の潜在的な汚染源が存在しまたは汚染源が時間とともに急に
変化すると見込まれる場合は、より頻繁に試料を採取するべきである。濃度がスクリーニングレベ
ルに近づいている、または、個々の放射性核種のガイダンスレベルに対する実測濃度の割合の
合計が1に近づく場合には、試料採取の頻度は維持するか増やすべきである(下記参照) 。試料
採取の頻度の段階的なアプローチは、 汚染の程度や供給源(すなわち、地表水または地下水)、
給水人口の規模、予想される放射性核種濃度の変動、過去の監視記録の入手可能性や結果に
応じて策定するべきである。放射線に関する水質の評価については、試料採取の手順(例えば、
試料の保存や取扱い方法) や計画をはじめとして、国際基準が利用可能である(Standards
Australia & Standards New Zealand, 1998; ISO, 2003, 2006a,b, 2009a)。

9.4 飲料水中で一般的に検出される放射性核種のガイダンスレベル
過去の原子力緊急事態に起因する長期被ばく状況に関連する可能性のある人工放射性核種
のみならず、飲料水供給で最も一般的に検出される自然起源および人工の放射性核種につい
て定められたガイダンスレベルを表9.2に示す。それぞれの成人の線量換算係数も同様に示す
(IAEA, 1996; ICRP, 1996)。
表9.2の各放射性核種のガイダンスレベルは、摂取される飲料水中に年間を通じて存在する場
合に、個人線量が0.1 mSvになる濃度を表している。

表9.2 一般大衆に対する一般的なa自然および人工放射性核種のガイダンスレベル

表9.2 : pdf添付不可;省略

a 本リストは包括的ではない。ある特定の状況では、他の放射性核種を調査するべきである(付録6参照)。
b ガイダンスレベルは、その桁数に丸められている
c 放射能(すなわち、Bq/Lで表される)の観点から個々のウランの放射性同位体に対してガイダンスレベルを個別に定めている。
飲料水中のウランの総量の暫定ガイドライン値は、その化学物質としての毒性に基づいて30 μg/Lであり、それは放射線学的毒性に比べて優勢である(第12章参照)。
d これらの放射性核種は、通常の状況では飲料水中に存在しないか、存在しても公衆衛生に対して重要となるレベルよりも極めて低い線量である。したがって、スクリーニングレベル超過後の調査の優先度は低い。
e ヨウ素とトリチウムは標準的な全放射能測定では検出されず、これらの放射性核種の日常的な分析は必要ではないが、これらが存在する可能性があると考えられる何らかの理由がある場合、放射性核種に特有の試料採取と測定の技術を用いるべきである。本表にこれらが含まれているのはこのことによる。

ガイダンスレベルは成人の線量換算係数を用いて計算された。異なる年齢集団に別々にガイ
ダンスレベルを導入する根拠は不十分である。幼児または小児が摂取する飲水量は平均的に少
ないものの、小児の年齢依存線量換算係数は成人よりも大きく、取込量がより多いことまたは代謝
率が高いことを意味する。水源が長期的に汚染された場合には、幼児や小児への線量の評価を
考慮しても差し支えない。
ガイダンスレベルは、既存または新規の飲料水供給における日常の(「正常な」)運転条件に適
用される。これは、環境中に放射性核種が放出されているような、緊急時被ばく状況の間に適用
されるものではない。しかしながら、一度担当官署が緊急時被ばく状況の終息を宣言すると、ガイ
ダンスレベルは再び適用される。追加の手引きは6.7やいくつかの文献(IAEA, 2002; IAEAおよ
びWHO, 2005, 2010; ICRP, 2009a)に示されている。

飲料水中の放射性核種のガイダンスレベルは、次式により計算した。

式:pdf添付不可;省略

ここに、
GL: 飲料水中の放射性核種のガイダンスレベル(Bq/L)
IDC: 個人線量基準、この計算では0.1 mSv/年
hing: 成人による摂取の線量換算係数(mSv/Bq)
q: 飲料水の年摂取量、730 L/年と仮定(標準的な世界保健機関の飲料水摂
取率である2 L/日に相当)

9.5 分析法
9.5.1 全αおよび全β放射能濃度の測定
飲料水の全αおよび全β放射能(ラドンを除く)を分析するための最も一般的なアプローチは、
既知量の試料水を蒸発乾固させ、残渣の放射能を測定する方法である。α放射線は固体の表
層内に容易に吸収されてしまうので、溶解性物質(TDS)の含有量の高い試料では、この全α測
定法の信頼性と感度が低下するおそれがある。全αおよび全β放射能濃度の測定には、可能な
限り標準化された方法を用いるべきである。分析法の手順を表9.3に示す。
蒸発法による全β放射能の測定では、カリウム-40の寄与が含まれる。したがって、全βスクリー
ニングレベルを超過する場合には、全カリウムにつき追加分析が必要である。
共沈法(APHA他, 2005)ではカリウム-40の寄与は排除されるので、全カリウムの測定は不要で
ある。この方法は、セシウム-137など、特定の核分裂生成物を含む試料水の評価に用いることは
できない。しかしながら、通常の状況の下では、飲料水供給における核分裂生成物の濃度は極
めて低い。

9.5.2 特定の放射性核種の測定
全αおよび全βスクリーニングレベルのいずれかを超過する場合、具体的な放射性核種を同
定し、その個々の放射能濃度を測定するべきである。

表9-3 飲料水中の全αおよび全β放射能の分析法

表9-3  : pdf添付不可;省略

特定の放射性核種の分析法についての参考文献を付録6に示す。水中のラドン濃度の測定に
関する情報を9.7.4に示す。

9.6 防除手段
0.1 mSv/年のIDCを超過する場合には、その後線量を低減するために規制担当官署に与えら
れた選択肢が試されるべきである。防除手段につき考慮する場合、それがどのような方法であっ
ても、まずその正当性を(それが正味の便益をもたらすという意味において)確認するべきである。
このことは、現存被ばくを低減することにより、それに起因する不利益を相殺するのに十分な個人
または社会の便益がもたらされることを意図したものである(ICRP, 2008)。
ひとたび防除措置の正当性が認められれば、その後ICRP勧告(2008)に従って、防護を最適
化するべきである。防護の最適化の原則では、被ばくする可能性、被ばくする人の数および個人
線量の大きさは、経済的および社会的要因を考慮して、しっかりと合理的に達成可能な限り低く
維持されるべきものであるとしている。
水源が許容できないほど高濃度の放射性核種を含む場合、制御の選択肢には、代替的な供
給の使用、管理下での他の水源との混合または追加的な水処理が含まれる。凝集沈澱および砂
ろ過の工程を組み合わせた浄水施設は、水道原水中に存在する懸濁態の放射能を最大100%ま
で除去可能であろう。石灰ソーダ灰軟化施設もまた、微粒子に付随する放射性核種や放射能の
割合次第であるが、ほぼ全ての懸濁態の放射能を除去し得る。
浄水処理工程による溶存放射性核種の除去に関する包括的なレビューが行われている
(Brown, HammondおよびWilkins, 2008)。その報告でまとめられた結果を表9.4に転載する。放
射性核種に特有の処理技術に関する参考文献を付録6に示す。

表9.4 一般的な放射性核種の処理性能a

表9.4 :pdf添付不可;省略

9.7 ラドン
9.7.1 空気中および水中のラドン
ウランやラジウム、ラドンは水に溶解する。湖や河川などの地表水中に存在するラドンは、岩石
や土壌を通り過ぎる際の撹拌により外気に容易に放出される。井戸からの地下水は通常地表水
よりも高濃度のラドンを含有している。極端な状況では極めて高濃度のラドンがこの水源による飲
料水供給から検出されることがある(囲み記事9.5参照)。
ラドンは水に溶解し、その溶解度は温度の上昇に伴い速やかに低下する。蛇口やシャワーを
開けると、溶解したラドンの一部が室内空気中に放出される。これが他の発生源由来のラドンに
加わり、吸入時の放射線量の元となる。
国際的な研究資料の評価では、飲料水中のラドンに起因し得る線量のうち、平均で90%が摂
取よりむしろ吸入によるものであると結論付けている(UNSCEAR, 2000)。したがって、摂取経路よ
りも吸入経路を制御することが、飲料水中のラドンからの線量を制御するために最も有効な方法
である。
室内空気中に放出される飲料水中のラドンの割合は、家屋内での水の総消費量、家屋の容積
や換気率などの地域の実情次第であり、極めて変動しやすい。蛇口やシャワーから放出される飲
料水中のラドン濃度が1,000 Bq/Lの場合、室内空気中のラドン濃度が平均で100 Bq/m3増加する
と推定されている(NAS, 1999; European Commission, 2001; Health Canada, 2009)。この寄与は、
水が蛇口やシャワーから放出されているときに限り生ずるため、一定ではない。空気中のラドンは、他の発生源、特に基礎の土壌から家屋内に入り込むラドンからも生ずる。


囲み記事9.5 飲料水中のラドン
• 地下水供給の中には高濃度のラドンを含むものがある。地表水の飲料水供給では高濃度のラドンはほとんど見られない。
• 飲料水中に溶解したラドンは室内空気中に放出されることがある。通常、ラドンとラドン娘核種の摂取と比較して、それらの吸入からより高いラドンの線量を受ける。
• 飲料水から放出されるラドンだけが室内空気中のラドンの発生源ではない。高濃度の室内ラドンが存在する場合、通常は、飲料水中よりもむしろ基礎の土壌と建材が主たる発生源である。
• 飲料水供給中のラドン濃度を低減する簡単で効果的な技術が存在する。
• 飲料水供給中のラドン濃度を低減する処置を講じるかどうかを決定する際に、その他のラドンの発生源による総放射線量への寄与を考慮することが重要である。いかなる対策も正当性が認められ、最適化されるべきであり、また、地域の実情を考慮するべきである。

9.7.2 ラドンによる健康リスク
疫学的な研究により、室内空気中の高濃度のラドンへの長期間の被ばくが肺がんのリスクを高
めることが明らかになっている(WHO, 2009)。飲料水で摂取されるラドンにより胃壁に放射線量が
もたらされることになる。科学研究では、ラドンを含む飲料水の摂取と胃がんのリスクの増加との間
に明確な関連は示されていない(Yeら, 1998; Auvinenら, 2005; WHO, 2009)。
9.7.3 飲料水供給におけるラドンに関する手引き
飲料水中のラドンからの線量は、通常、摂取よりもむしろ吸入によるものであるため、飲料水中
ではなく空気中のラドン濃度を測定することがより適切である。
世界保健機関による室内空気中のラドン濃度の参照レベルは住居内では100 Bq/m3である。
優先するべき各国固有の条件の下でこのレベルが達成できない場合であっても、約10 mSvの年
間線量に相当する300 Bq/m3を超過するべきではない(WHO, 2009)。この勧告は国際基本安全
基準1およびICRPの最新の勧告と一致している(ICRP, 2009b)。
水中のラドンのスクリーニングレベルは、大気中のラドンに関するその国の参照レベルおよび国
の住宅ストックでのラドンの分布に基づいて定められるべきである。室内空気中に高濃度のラドン
が同定される場合、これは飲料水供給からの脱気によるものというよりも、たいてい土壌からのラド
ンの混入によるものである。それにもかかわらず、高濃度のラドンが飲料水中に存在すると想定さ
れる状況ではラドンを測定し、高濃度であると確認されれば、存在する濃度を低減する措置が正
当であるか検討するのが賢明である。
地下水供給におけるラドン濃度は相当に変化することがある。したがって、高濃度のラドンが同
定されている、または、疑わしい状況では、主に線量に寄与している可能性のあるラドンの娘核種
(特にポロニウム-210)の存在を時々刻々と評価し、監視できるように、全αおよび全β放射能の
測定の頻度を増やす必要があるだろう。

9.7.4 飲料水中のラドンの測定
取り扱い中にラドンが水中から容易に放出されるため、飲料水中のラドンの放射能濃度を得る
のは困難である。水の攪拌や別の容器への移し換えにより、溶解性のラドンが放出される。水を
放置することによりラドンの放射能が減少し、煮沸することによってもラドンが完全に水から空気中
に放出される。水中のラドンを測定するために、高感度で広く用いられている方法である液体シン
チレーション計数法をはじめとして、様々な方法が用いられる(WHO, 2009)。
9.7.5 飲料水中のラドン濃度の減少
曝気により飲料水中のラドン濃度を減少させるために、かなり簡単な方法が利用可能である。
高性能の曝気は地下水供給におけるラドンの除去に効果的な方法であり、99.9%までの除去率
が達成できる。しかしながら、これらの方法によって大気中のラドンの大規模な発生源が作り出さ
れることがある。イオン交換の有無に関わらず粒状活性炭への吸着によっても高いラドン除去効
果を達成できるが、効率が悪く大量の粒状活性炭が必要になる。

9.8.1 結果の報告
各試料についての分析結果には、以下の情報が含まれるべきである。
• 試料識別コード
• 試料採取日時
• 用いた標準分析法または標準分析法でない場合にはその簡単な説明
• 放射性核種の同定または放射能の種類および測定した放射能の総量
• 各放射性核種につき適切なブランクを用いて計算した、実測に基づく濃度または放射能の値
• 計数上の不確実性の推定値
• 分析した放射性核種またはパラメータごとの検出限界濃度
• 分析法における全てのパラメータ(すなわち、計数ならびにその他のランダムおよび系統的な
不確実性または誤差)による寄与を含む、報告結果についての予測される不確実性の推定値

9.8.2 リスクの伝達
放射線リスクを明確かつ効果的に伝達するには、伝達対象となる相手(例えば、一般大衆や政
策担当者、意思決定者)を特定することや伝達内容を聞き手に合わせることなどがある(WHO,
2002)。リスクは人により持つ意味は異なるが、一般に、リスクコミュニケーションには健康を害する
おそれとその重篤度の説明が必要である。
一般大衆に対するリスクコミュニケーションでは、平易な言葉を用いるべきである。放射線防護
の専門用語は、専門家以外には容易には理解しがたい(Picano, 2008)。状況によっては、比較

することで放射線リスクを説明するために役立つことがある(例えば、飲料水の摂取により生じ得る
健康リスクを、世界の様々な地域での自然放射線への被ばくに伴うリスクという文脈の中に据える
こと)。ガイダンスレベルを義務として守るべき限度と解釈するべきではないこと、また、ガイダンス
レベルの超過は追加的な調査の契機と捉えるべきであり、必ずしもその飲料水が安全でないとい
うことを示すものではないことを明確に説明するべきである。
リスクコミュニケーションの責任者は、対人コミュニケーションに長けており、共感を伝えることが
でき、優れた聴き手であり、また、人々の関心事を尊重するべきである。彼らは取り扱っている話
題の領域に精通し、現在と将来起こり得るリスクに関する基本的な質問に答えられるべきである。
放射線のリスクコミュニケーションに関する手引きは、他で示されている(USEPA, 2007; WHO,
2009)。


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http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=11-03-06-01

<大項目> 原子力安全規制
<中項目> 安全審査指針等

<小項目> 原子力防災に関する安全規制
<タイトル>
原子力施設等の防災対策について(防災指針) (11-03-06-01)

<概要>
昭和54年(1979年)3月のTMI事故を契機として、原子力安全委員会の原子力発電所等周辺防災対策専門部会において原子力災害特有の事象に着目し、原子力発電所等の周辺における防災活動がより円滑に実施されるように技術的、専門的事項について検討がなされた。この結果を翌昭和55年(1980年)6月に原子力安全委員会が「防災指針」として決定した。平成11年(1999年)9月30日にウラン加工施設において、日本で初めて周辺住民の避難等が必要となるような臨界事故が発生した。この事故対応の反省を踏まえて、原子力災害対策特別措置法が制定され、防災の対象施設が原子力施設一般に広がり、また、原子力事業者の責務が明確化されたことから、防災指針の表題を「原子力発電所等周辺の防災対策について」から「原子力施設等の防災対策について」に変更するとともに、防災対策の内容をより実効性のあるものとなるよう、必要な修正を行った。
防災指針は、防災対策一般(放射性物質の放出の態様、異常事態の把握、情報提供、教育訓練、オフサイトセンターの整備、諸設備・防災資機材整備等)、防災対策を重点的に充実すべき地域の範囲(EPZ)、緊急時環境放射線モニタリング、災害応急対策実施指針、緊急時医療等の防災対策について実効性のある内容を示したものである。

(注)東北地方太平洋沖地震(2011年3月11日)に伴う福島第一原発事故を契機に原子力安全規制の体制が抜本的に改革され、新たな規制行政組織として原子力規制委員会が2012年9月19日に発足した。福島第一原発事故の経験を踏まえ、本データに記載されている「原子力施設等の防災対策」については、原子力規制委員会によって抜本的な見直しが行われつつある。なお、原子力安全委員会は上記の規制組織改革に伴って廃止された。

<更新年月>
2011年08月   

<本文>
「原子力施設等の防災対策について」(1980年6月30日原子力安全委員会決定)(防災指針)は、2010年8月までに14回の部分改定が行われている。表1に、これまでの改定状況を示す。防災指針の概要は次のとおりである。
1.はじめに
1979年3月に発生した米国スリーマイルアイランド(TMI)原子力発電所の事故を契機に、原子力安全委員会は、原子力災害特有の事象に着目し原子力発電所等の周辺における防災活動をより円滑に実施できるよう技術的、専門的事項について検討した結果をとりまとめ、1980年6月に、「原子力発電所等周辺の防災対策について」(以下「防災指針」という。)を決定した。
1999年9月30日にウラン加工施設において、日本で初めて周辺住民の避難等が必要となるような臨界事故が発生した。この事故対応の反省を踏まえて、初期対応の迅速化、国及び地方公共団体の連携強化、国の対応機能の強化や原子力事業者の責務の明確化等を柱とする原子力災害対策特別措置法が制定され、関係機関において新しい仕組みによる原子力防災対策の充実強化に向け、各種計画等の策定、改訂作業が進められることとなった。
このため、原子力防災対策の技術的、専門的事項を扱う防災指針についても、臨界事故対応での教訓や「原子力災害対策特別措置法」との整合性等を踏まえ、改訂することとした。改訂に当たって、特に留意した事項は以下のとおり。(1)新しい原子力災害対策特別措置法の仕組みに対応できること。(2)従来の原子力発電所、再処理施設等に加え、対象施設として研究炉、核燃料関連施設にも対応できること。(3)従来の希ガス及びヨウ素対策に加え、核燃料物質の放出や臨界事故にも対応できること。
2.防災対策一般
2.1 原子力防災対策の特殊性等
放射線による被ばくが五感に感じられない、被ばくの程度が自ら判断できないこと等がある。
2.2 放射性物質又は放射線の放出形態、被ばくの形態及び被ばく低減化措置
原子炉施設等からの放出形態は、希ガス及びヨウ素が主である。核燃料施設からの放出形態は、火災、爆発による場合はウラン又はプルトニウム等のエアロゾルが考えられる。臨界事故による場合は、核分裂生成物の放出に加え中性子線及びガンマ線が放出される。放射線被ばくの形態は、体外から放射線を受ける外部被ばく及び吸入、経口摂取等によって体内に取り込んだ放射性物質による内部被ばくである。放射線被ばくの低減化措置は、気密性の高い場所へ移動する、退避する、放出源から遠ざかる、摂取制限対策を講じる、等である。
2.3 原子力施設における防災対策及び異常事態の把握
原子力事業者は、原子力災害の発生やその拡大の防止活動について責任をもって実行するため、原子力災害予防対策、緊急事態応急対策及び事後対策についての防災業務計画を策定する。原子力事業者から迅速かつ正確に国、地方公共団体等関係機関に報告されるべき異常事態の情報は、(1)放射性物質の放出状況(量、組成、継続時間等)及び敷地境界等における空間放射線量、(2)主要な地点における予測線量と事態の今後の見通し、(3)施設の状況に関する情報である。
2.4 周辺住民等への情報提供
平常時に原子力防災に関して、周辺住民等へ、例えば(1)放射性物質及び放射線の特性、(2)原子力事業所の概要、(3)原子力災害とその特殊性、(4)原子力災害発生時における防災対策の内容等についての情報提供を行う必要がある。また、緊急時においては、オフサイトセンター(緊急事態応急対策拠点施設)で情報の集約や整理を行い、周辺住民、報道関係者等に的確に情報を提供することが必要である。
2.5 原子力防災業務関係者等の教育及び訓練
国、都道府県、市町村等において、種々の災害応急対策を実施する防災業務関係者に、原子力防災対策に関する教育を行うことが必要となる。教育の内容及び程度は、原子力に関する基礎的な知識のほかに、原子力防災に関する内容が必要である。
2.6 諸設備の整備
緊急時の情報伝達網、情報連絡設備、防災業務関係者の防護資機材、緊急時モニタリング設備機器、緊急時予測支援システム(SPEEDIネットワークシステム、ERSS)、緊急時医療設備等の整備が必要である。
2.7 防災対策資料の整備
国、地方公共団体、原子力事業者等の関係機関及びオフサイトセンターにおいては、(1)組織及び体制に関する資料、(2)社会環境に関する資料、(3)放射性物質又は放射線による影響推定に関する資料を常備しておくことが必要である。
2.8 オフサイトセンターの整備
原子力緊急事態が発生した場合に、現地において、国の原子力災害現地対策本部や都道府県及び市町村の災害対策本部などが、原子力災害合同対策協議会を組織し情報を共有しながら、連携のとれた応急対策を講じていくための拠点となるものであり、関係者が参集しやすい場所にあること、情報通信機器が整備されていること、一定以上の広さを有していること等が重要である。
2.9 核燃料物質等の輸送時の防災対策
核燃料物質等の輸送時の事故は、事故の際に対応すべき範囲が極めて狭い範囲に限定されること、輸送が行われる都度に経路が特定され、原子力施設のように事故発生場所があらかじめ特定されないこと等の輸送の特殊性を鑑みれば、原子力事業者と国が主体的に防災対策を行うことが実効的であると考えられる。
3.原子力防災対策を重点的に充実すべき地域の範囲
限られた時間を有効に活用し、周辺住民等の被ばくを低減するための防護措置を短期間に効率良く行うためには、あらかじめ異常事態の発生を仮定し、施設の特性等を踏まえて、その影響の及ぶ可能性のある範囲を技術的見地から十分な余裕を持たせつつ「防災対策を重点的に充実すべき地域の範囲」(以下「EPZ:Emergency Planning Zone」という)を定めておき、そこに重点を置いて原子力防災に特有な対策を講じておくことが重要である。EPZのめやすとして、表2に示す各原子力事業所の種類に応じたEPZのめやすを用いることを提案する。
4.緊急時環境放射線モニタリング
原子力施設において、放射性物質又は放射線の異常な放出あるいはそのおそれがある場合に、周辺環境の放射性物質又は放射線に関する情報を得るために特別に計画された環境モニタリングを「緊急時モニタリング」といい、原子力緊急事態の発生時に、迅速に行う第1段階のモニタリングと周辺環境に対する全般的影響を評価する第2段階のモニタリングからなる。
4.1 第1段階のモニタリング
(1)事故が発生した直後から開始する。(2)予測線量の推定に用いられる。(3)モニタリングの主要な対象となる放射性物質又は放射線は、原子力施設又は事故の形態に応じて、大気中における放射性の希ガス、ヨウ素、エアロゾル状態のウラン・プルトニウム、中性子線及びガンマ線である。主要核種は放射性のヨウ素及び希ガスである。(4)迅速さが要求される。
4.2 第2段階のモニタリング
(1)第1段階よりさらに広い範囲で実施する。(2)放射性物質又は放射線の周辺環境に対する全般的影響を評価、確認する。(3)積算線量並びに環境中に放出された人体への被ばく評価に必要となる放射性物質が対象となる。
5.災害応急対策の実施のための指針
5.1 異常事態発生の際の通報基準及び緊急事態判断基準
「原子力災害対策特別措置法」において、原子力施設の特性、防護活動との関係等を踏まえ、すべての原子力施設に適用できるように原子力防災活動の準備や開始に関する下記の基準を設定している。
(1)関係者への通報基準:(イ)原子力事業所の境界付近において、空間放射線量率について1地点で10分以上5μSv/h以上又は2地点以上で同時に5μSv/h以上(ガンマ線が1μSv/h以上の場合は中性子線も測定し、それらの合計が5μSv/h以上)、(ロ)排気筒等の通常放出部分で、拡散した後の放射能水準が、原子力事業所の境界付近において5μSv/h以上に相当するような放射性物質の放出等、(ハ)火災、爆発等が生じ、管理区域外の場所で、50μSv/h以上の空間放射線量率又は5μSv/h以上に相当するような放射性物質の放出等、(ニ)原子力事業所外運搬中に事故が生じ、輸送容器から1m離れた地点で100μSv/h以上の空間放射線量率又は放射性物質の漏えい等、(ホ)臨界事故の発生又はそのおそれがある状態、(ヘ)原子力施設の特性を踏まえた個別の事象であって、軽水型原子力発電所において制御棒の挿入による原子炉の停止ができないこと等。
(2)原子力緊急事態の判断基準:(イ)原子力事業所の境界付近において、空間放射線量率について1地点で10分以上、500μSv/h以上又は2地点以上で同時に500μSv/h以上(ガンマ線が5μSv/h以上の場合は中性子線も測定し、それらの合計が500μSv/h以上)、(ロ)排気筒等の通常放出部分で、拡散した後の放射能水準が、原子力事業所の境界付近において500μSv/h以上に相当するような放射性物質の放出等、(ハ)火災、爆発等が生じ、管理区域外の場所で、5mSv/h以上の空間放射線量率又は500μSv/h以上に相当するような放射性物質の放出等、(ニ)原子力事業所外運搬中に事故が生じ、輸送容器から1m離れた地点で10mSv/h以上の空間放射線量率又は放射性物質の漏えい等、(ホ)臨界事故の発生、(ヘ)原子力施設の特性を踏まえた個別の事象であって、軽水型原子力発電所においてホウ酸水を注入する等の操作によっても原子炉の停止ができないこと等。
5.2 防護対策
防護対策には、屋内退避、コンクリート屋内退避、避難、食物摂取制限等が考えられる。
5.3 防護対策のための指標
屋内退避及び避難等に関する指標を表3に、飲食物摂取制限に関する指標を表4に示す。
6.緊急被ばく医療
緊急被ばく医療の基本理念は、「いつでも、どこでも、誰でも最善の医療を受けられる」という命の視点に立った救急医療と「最大多数に最大利益を」という災害医療の原則に立脚する。具体的には、原子力施設の従事者と周辺住民とを分け隔てなく、被ばく患者を平等に治療しなければならないという共通認識から出発し、緊急被ばく医療に携わる関係者が適切な研修、訓練を受けることにより、円滑かつ迅速に被ばく患者を診療できる体制を構築する必要がある。また、原子力緊急事態以外にも被ばく患者が発生する場合があり、これらにも対応できる体制を構築する必要がある。このため、「緊急被ばく医療のあり方について(2001年6月、2008年10月一部改定、原子力安全委員会原子力発電所等防災専門部会)の策定以来、整備が進められている緊急被ばく医療体制と一般の救急医療体制、災害医療体制との整合を図り、原子力緊急事態を含めた異常事態の発生時には、救急医療体制に加え、必要に応じ、広域的な災害医療体制にも組み込まれて機能し、実効性を向上させる。このような基本的考え方に基づき、1)原子力災害合同対策協議会の医療班、2)地方公共団体の災害対策本部の医療グループ、3)緊急被ばく医療派遣チーム、4)緊急被ばく医療機関等、の体制を整備する。図1に原子力緊急事態発生時における緊急被ばく医療体制を示す。(参考文献5)
これらの緊急被ばく医療とは別に、周辺住民、原子力施設従事者及び防災業務関係者等の健康不安への中期的な対策としてメンタルヘルスに関する対策を実施することが重要である。(参考文献6)
(前回更新:2003年9月)

<図/表>
表1 防災指針のこれまでの改定状況
表2 各原子力施設の種類ごとのEPZのめやす
表3 屋内退避及び避難等に関する指標
表4 飲食物摂取制限に関する指標
図1 原子力緊急事態の発生時における緊急被ばく医療体制

・図表を一括してダウンロードする場合は ここをクリックして下さい。

<関連タイトル>
日本における原子力防災対策の基本的考え方 (10-06-01-01)
原子力防災対策のための国および地方公共団体の活動 (10-06-01-04)
緊急時の医療活動 (10-06-01-07)
原子力防災のための訓練 (10-06-01-08)
オフサイトセンター(緊急事態応急対策拠点施設) (10-06-01-09)
日本における防災のための計算機システム (10-06-03-03)
原子力災害対策特別措置法(原災法) (10-07-01-09)
緊急時環境放射線モニタリング指針 (11-03-06-02)

<参考文献>
(1)内閣総理大臣官房原子力安全室(監修):改訂10版 原子力安全委員会安全審査指針集、大成出版社(2000年11月)
(2)内閣府原子力安全委員会事務局(監修):原子力安全委員会指針集、大成出版社(2003年3月)
(3)原子力委員会:原子力施設の防災対策について、
http://www.nsc.go.jp/anzen/sonota/houkoku/bousai220823.pdf
(4)原子力安全委員会指針集(改定13版)、大成出版社(2011年3月)
(5)原子力安全委員会原子力施設等防災専門部会、緊急被ばく医療のあり方について(平成2001年6月、一部改定2008年10月)、http://www.nsc.go.jp/shinsashishin/pdf/3/ho3029-2.pdf
(6)原子力安全委員会原子力施設等防災専門部会、原子力災害時におけるメンタルヘルス対策のあり方について(2002年10月)
http://www.nsc.go.jp/shinsashishin/pdf/3/ho3033.pdf
 
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http://www.waterworks.metro.tokyo.jp/press/h22/img/press110317-01-1.pdf

【解説】

わが国では、放射能に関する水道水質基準等は定められていません。
ただし、放射性物質漏洩事故等が発生した場合、緊急時モニタリングが実施されるエリア
(今回の場合は福島県)については、関係地方公共団体の原子力防災担当部局が中心となって
緊急時モニタリングが実施されます。原子力安全委員会により示された指標値を超える飲食
物が見つかった場合は、政府の原子力災害対策本部が摂取制限の実施等を検討する仕組みに
なっています。
一方、当局が放射能に関して水道水の安全性の評価の根拠としているWHO 飲料水水質ガ
イドラインは、世界保健機関(WHO)が定めたもので、一生涯にわたって水道水を飲み続
けても健康影響が生じないレベルを示しており、各国の水質基準等の参考にされています。
本ガイドラインは、福島県のような緊急時には適用されるものではなく、当局の水道施設
など、平常時として浄水処理を実施している日常の運転条件に適用するものとされています。
ガイドラインでは、まず、全放射能(全α及び全β放射能)を繰り返して測定し、その値
が、全α放射能では0.5Bq/L 、全β放射能では1 Bq/L を超える場合に限って、個々の放射
性核種について分析を行うべきであるとされています(下図参照)。



【用語解説】
ベクレル(Bq)
「ベクレル」とは、放射性物質が放射線を出す能力を表す単位である。
放射線は、不安定な放射性物質が壊れることによって放出されるが、「ベクレル」は、1
秒間に放射性物質が壊れる数(崩壊数)を表す。
例えば、1 秒間に1 回、放射性物質が壊れる場合は「1 ベクレルの放射能がある」という。
水中の放射能は、水1 L 中の放射性物質が放射線を出す能力(Bq/L)で表わされる。
シーベルト(Sv)
「シーベルト」とは、放射線によって人体に与えられたエネルギー量を表す単位である。
放射線によって、物質1 kg につき1 J(ジュール)のエネルギーを与える量を1 Gy(グ
レイ)と表す。
人体への影響は、放射線の種類や受けた箇所によって異なるため、「シーベルト」は、こ
の量(Gy 値)に種類・箇所ごとに定められた係数を乗じて求める。
全α放射能及び全β放射能
放射線には、α(アルファ)線、β(ベータ)線などがある。
放射性物質による汚染のレベルを捉えるには、放射性核種の個別測定ではなく、まず、総
量としての放射能を測定する。
この総量としての放射能を、α線では「全α放射能」、β線では「全β放射能」という。
放射性核種
放射性核種とは、陽子と中性子の数により決定される原子核の種類、例えば、ヨウ素-131、
セシウム-134、セシウム-137 などをいう。

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http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001558e-img/2r9852000001559v.pdf

平成23年3月17日

放射能汚染された食品の取り扱いについて

厚生労働省医薬食品局食品安全部長

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詐欺師・ウソつき・安倍 Abe

http://mainichi.jp/sports/news/20130908k0000m050093000c.html

20年五輪:IOC総会プレゼン 首相の発言要旨

毎日新聞 2013年09月08日 00時29分(最終更新 09月08日 01時58分)
最終プレゼンテーション後の記者会見で質問に答える安倍晋三首相=ブエノスアイレスで2013年9月7日午後0時9分、梅村直承撮影
最終プレゼンテーション後の記者会見で質問に答える安倍晋三首相=ブエノスアイレスで2013年9月7日午後0時9分、梅村直承撮影



【ブエノスアイレス松尾良】国際オリンピック委員会(IOC)総会での安倍晋三首相の発言要旨は次の通り。


【演説】
東京は世界で最も安全な都市の一つだ。それは今でも、2020年でも一緒だ。懸念を持つ人もいるだろうが、東京電力福島第1原発について私は皆さんに約束する。状況はコントロールされている。決して東京にダメージを与えない。オリンピックが安全に行われることを保証する。財政的にも整っている。

開催地に東京を選べばオリンピックムーブメントに新たな強い息吹を吹き込むことになる。IOCと力を合わせ、世界をよりよい場所にしていこうと思っている。


【質疑】
(汚染水問題は)結論から言って全く問題ない。事実を見てほしい。汚染水による影響は福島第1原発の港湾内の0.3平方キロメートルの範囲内で完全にブロックされている。
近海でモニタリングしているが、数値は最大でも世界保健機関(WHO)の飲料水の水質ガイドラインの500分の1だ。日本の食品や水の安全基準は世界で最も厳しい。健康問題については、今までも現在も将来も全く問題ないと約束する。
さらに完全に問題のないものにするため抜本解決に向けたプログラムを決定し、着手している。日本の首相として(子どもたちの)安全と未来に責任を持っている。日本に来るアスリートにも責任を持っている。その責任を完全に果たす。

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飲料水供給システムの主要な受益者として、コミュニティー構成員は意思決定に参加する権利を有する。

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