2013年2月10日日曜日

最後の被爆医師”が語る人体に与える内部被曝の脅威:肥田舜太郎

 http://nikkan-spa.jp/116116
2012.01.05 ニュース

― “最後の被爆医師”が語る人体に与える内部被曝の脅威 ―

【解説:内部被曝と外部被曝】
内部被曝と外部被曝では、被曝の仕方が全く異なる。内部被曝では、透過性の低いアルファ線、ベータ線のエネルギーがほとんど体外に逃げることなく、人体に影響を与える。これに対して、外部被曝では透過性の低い放射線は届かず、主に透過性の高いガンマ線で被曝する。体内に摂取した際に危険なのはアルファ線、ベータ線を出す核種である。

◆「年間何ミリシーベルト以下だから大丈夫です」というのは大きなウソ

放射線というのは、人間には見えません。色も臭いもない。見た目には認識できません。

肥田舜太郎
 
肥田舜太郎氏
私はこれまでずっと広島・長崎で被爆した患者を診続けてきました。原爆のときは、火傷をしたり全身の粘膜から血が噴き出したり、頭髪が抜けるなどの急性症状がありましたが、今回の福島原発の場合は、長期的な「内部被曝」の影響が心配されます。

よく年間何ミリシーベルトだとか、毎時何マイクロシーベルトまでなら大丈夫だとか言われていますが、これは外部被曝の場合のことです。内部被曝というのは外部被曝と違って、放射性物質を体内に取り込んでしまい、1日24時間ずっと被曝し続けるというものです。

その影響は、その人の年齢や健康状態、生活態度、免疫の状態にもよりますし、その症状がいつでてくるかも、誰にもわからないことだからです。医者である私にだってわかりません。個人差があるので「必ず危険」だとも限りませんが、その人が病気になったり死んだりする可能性をアップすることだけは確かです。

日本の政府や学者がついているいちばん大きなウソは、「(外部被曝線量が)年間何ミリシーベルトなら大丈夫です」ということ。内部被曝のことを全く考慮していません。体内に入る放射性物質は「それ以下なら大丈夫」ということはない。少しでも体内に入ったら、長期的に被曝し続ける。微量な被曝であれば大丈夫というのは間違いです。

専門家というのは、政府の責任を隠したり、業界の利益を守ったりするために、ときに意識的にウソをつくことがあります。中には知らなくて言っている人もいますが。正確には、「今は大丈夫です。でも先々は病気になる可能性もありますし、何とも言えません」と言うべきでしょう。

福島原発事故後の例で私が実際に報告を受けたもので言えば、多くは放射線に敏感な子どもに初期の被曝症状が現れています。

下痢が続いて止まらない、しばらくしたら口内炎が出るとか、のどが腫れて痛いとか。多くの母親が心配していたのは子どもの鼻血です。鼻血がずっと続いて止まらない。そのうちに、両親にもそんな症状が出てくる。これは福島に限りません。私のところには、東京や神奈川、静岡などからもこういった相談が寄せられました。

広島・長崎でも、爆心地近くにいて大量の放射線を浴びたわけではないのに、時間がたつにつれて被曝の症状が現れてくる人が数多くいました。こうした長期被曝患者に特徴的だったのは、猛烈な倦怠感があって動けなくなり、働けなくなるという症状を訴える人が多かったことです。集中力がなくなったり下痢が続いたり。本人もどうすればいいのかわからない。勤め先や家族の中でも信用されなくなり、社会的な存在価値を失ってしまう。医学的にはどこも悪くないので、医者にかかると「ノイローゼ」(当時は神経衰弱)と診断されてしまいます。私たちはこれを「原爆ぶらぶら病」と呼んでいますが、この人たちは生きていくのが本当につらかっただろうと思います。

被曝をできるだけ少なくするために、「原発からとにかく遠く逃げろ」とか「汚染されてない食べ物を食べろ」などと言われています。でも、そんなことは誰にでもできるわけではない。

家も仕事も地元の人間関係も放り投げて逃げられる人が、どれだけいるでしょうか。事故がおきて9か月以上経っています。これまで1日3食として800食以上、まったく汚染されていない食べ物を食べ続けている人は少ないでしょう。

遠くに逃げても生活できて、汚染されていない食べ物を調達できるというのはごく一部の人々です。ほとんどの人々は、放射能汚染されたこの日本で生きざるをえない状況になっています。

⇒内部被曝の恐怖【中編】に続く http://nikkan-spa.jp/119088
放射線に対抗する唯一の方法とは?

http://nikkan-spa.jp/119088

内部被曝の恐怖【中編】「放射線に対抗する唯一の方法は?」
「被曝をできるだけ少なくするために、『原発からとにかく遠く逃げろ』とか『汚染されてない食べ物を食べろ』などと言われています。でも、遠くに逃げても生活できて、汚染されていない食べ物を調達できるというのはごく一部の人々です。ほとんどの人々は、放射能汚染されたこの日本で生きざるをえない状況になっています」と語るのは、広島市への原爆投下により自身も被爆した医師・肥田舜太郎氏。それでは、今後どうやって放射能から身を守ればよいのだろうか? 肥田氏に聞いた。

*  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *

◆放射線に対抗する唯一の方法は、生まれつき持っている免疫力を弱めないこと

私は、「自分で自分の身体を守るしかない」とはっきり言います。特別な方法はありません。「放射線に対する免疫力を弱めないように、健康に生きる」という、この一点につきます。

人間の祖先は40億年前にこの地球上に現れてから、紫外線と放射線でどんどん死んでいきました。奇形もどんどん生まれていった。しかし、長い年月を経て進化を続け、放射線に抵抗できる免疫をつくってきました。その結果、いま紫外線や放射線の影響を受けても、地球上で毎年生まれれる新生児10万人のうち、1人くらいの奇形が生まれるレベルにまで免疫を高められたんです。

ですから、放射線に対抗する手段は、これまでの「動物としての人間の生き方」に学ぶしかない。夜更かしして夜遅くまで遊び回るなんて、せいぜいここ数十年のもの。その前は太陽とともに寝起きしていました。いちばん大事なのは「早寝早起き」です。そうしないと、先祖から引き継いできた免疫力が低下してしまいます。

それから、食べ物の食べ方。日本人の主食はコメですが、よく噛まない人はその8割9割を便として排出してしまっています。これは、口の中で唾液中の酵素ジアスターゼとコメが十分交わらずに腸がうまく吸収できないためです。ですから「食事のときによく噛め」というのは、人間の免疫力を保持するための鉄則なんです。免疫という意味で言えば、味噌や梅干しなど、日本の伝統食品である発酵食品が放射線から守ってくれるというのも頷ける話です。

肥田舜太郎 

人間は6つのことしかできません。睡眠、食事、排泄、働く、遊ぶ、セックスです。この一つ一つに、健康に生きていくための法則がある。これは広島・長崎の被爆者を長生きさせるために、被爆者と一緒に研究し、実践してきたことで得た教訓です。誰にどんな影響がでるかわからないからこそ、免疫力を保持し、健康を守って生きるしかないのです。

多くの学者はそのことを言わない。「年間何ミリシーベルトまでなら安全です」と言うだけです。内部被曝を受けていれば、先々は安全かどうかなんて誰にもわからない。彼らは「わからない」ということを認めたくないのです。

⇒【後編】に続く http://nikkan-spa.jp/116117
日本の医学界が被曝の長期的な影響を無視してきた理由とは?

内部被曝の恐怖【後編】「日本の医学界が被曝の影響を無視してきた理由」
http://nikkan-spa.jp/119088
広島市への原爆投下により、自身も被爆した医師・肥田舜太郎氏。
原爆を投下された日本で、放射線被曝の研究が進まなかった理由をこう語った。

*  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *

◆原爆の長期的な影響は、米国の「軍事機密」として隠されてきた

肥田舜太郎
出征時の肥田氏。’44年に軍医となり広島陸軍病院に赴任、’45年に自らも被曝し、その後被曝者の救助にあたった
日本の医学界は、放射線被爆の長期的な影響をずっと無視してきました。なぜそうなったかと言えば、広島・長崎に原爆が落ちてすぐ、日本が降伏して米国の軍隊が占領し、総司令官が統治を始めました。そして「米国の軍事機密」だとして、原爆の影響について研究したり論文を書いた
り、学会で論議したりすることを禁じたからです。

その後、日米安保条約が結ばれ、米国の「核の傘」に守ってもらうために「被爆の実態は軍事機密」としておかなければならない時代がずっと続きました。ですから、日本人は広島・長崎の原爆による影響として、どんな症状が出て、何人死んだのかという長期的なデータを持たずにきたのです。

日本政府は米国が「してはいけない」と命令したから、何もしなかった。被爆者が苦しんでいるのに、政府はまったくおかまいなしでした。そして占領軍が帰って5年後の1950年に、原子爆弾被爆者の医療に関する法律をつくり、本人が申し出た場合だけ「被爆者手帳」を発行するようになりました。

でもこれは、年に1回無料の健康診断をするというだけのものでした。多くの人にとっては、結婚とか就職とか生命保険に入るときとか、いろいろな場面で被爆者として差別されるようになってしまった。長期被曝の影響を受けたと思われる人が、名乗り出づらい風潮ができてしまったのです。そのうち、日本人は誰も原爆の問題で騒がなくなりました。

ソ連でも、チェルノブイリの患者を精密に調べた医師(バンダジェフスキー博士)が、「放射線の影響で心筋梗塞になりやすい」ということを論文に出しました。すると、政府の「放射線は無害」という方針に反したとして、別の冤罪で捕まって逮捕されるというような時代がありました。ソ連も核兵器を持ち続ける必要があったからです。

福島原発の事故でも、長期的な被曝の影響が心配されます。私が広島・長崎で診てきた症状が、先々に出てくる恐れがあります。

きちんと治療と補償が行われるためにも、「軍事機密」として調査を行わなかったかつての過ちを繰り返してはならない。私たちは政府や東電に徹底した情報公開を求めたうえで、正しい知識と効果的な対処法を身につけていかなければならないと思います。


被爆者健康ハンドブック

被爆者に対して、わかりやすく解説された「被爆者健康ハンドブック」。保険や補償の話から、長生きするための日常生活の心得に至るまで、詳しく書かれている

【肥田舜太郎】
’17年広島生まれ。医師。広島市への原爆投下により自身が被爆、その後被爆者の救援・治療にあたる。臨床体験をふまえて「原爆ぶらぶら病」と呼ばれる症状や、内部被曝、低線量被曝の影響に関する研究にも携わった。

撮影/大西史恵 取材・文/北村土龍

この特集の記事一覧
内部被曝の恐怖【後編】「日本の医学界が被曝の影響を無視してきた理由」
内部被曝の恐怖【中編】「放射線に対抗する唯一の方法は?」
内部被曝の恐怖 「何ミリシーベルト以下なら大丈夫」はウソ

関連記事
【内部被曝検査】定期的受診が効果的
内部被曝検査後のスピリチュアル治療に注意!
肥田舜太郎「内部被曝に負けない体の作り方」
尿検査で放射性物質の有無を測定できる!
東大・早野龍五教授が考える「学校給食による内部被曝」

=================================================================

肥田舜太郎医師、内部被爆の真実・危険とどう向き合うか



公開日: 2012/04/16
Recorded on 12/03/31尾道しまなみ交流館、収録配信DreamCraft.jp

カテゴリ
非営利団体と社会活動

=================================================================

肥田舜太郎:隠された内部被曝〜シーベルト&ベクレルにだまされるな!



アップロード日: 2012/02/08

2011年10月10日(月)に埼玉県深谷市で行なわれた被爆医師 肥田舜太郎先生(94歳)の講演会「ヒロシマ・ナガサキからフクシマへ〜内部被曝につ­いて〜」から第2弾「隠された内部被曝〜シーベルト&ベクレルにだまされるな!」(タ­イトル=投稿者).深谷シネマサポーターズクラブ主催.七ッ梅東蔵ホールで収録.

第1弾「フクシマ以後をどう生きぬくか?ー肥田舜太郎先生(94歳)の話」→http://www.youtube.com/watch?v=TNkTSN...
第3弾「肥田舜太郎:一人の生命は地球より重い〜国・東電は責任を果たせ!」→http://www.youtube.com/watch?v=7jwg2W...

カテゴリ
非営利団体と社会活動

=================================================================

内部被曝問題研究会の設立記者会見から肥田舜太郎(被曝医師)さん証言 


アップロード日: 2012/01/26
なぜ日本では、広島、長崎での放射線治療の経験が福島で生かされないのか。
広島、長崎ですら被曝手帳をもらえずにいる内部被曝にさらされた人たちは、現在でもい­るのです。
戦後、軍事機密として放射線のことを記録、研究、発表を禁止されてきました。
どこにも正確には学ぶ資料がないのです。
変わっていませんね。
国の原発事故対策本部で議事録を取らなかったのも、今後の放射線被害について、原発と­の因果関係を認めないための方策も。
残念ながら現在の医療界では今後出てくる患者さんに、戦後の「ぶらぶら病」を再現する­つもりなのでしょうか。
日本は福島の悲劇だけで終わるわけがない。非常に危険な状態であることを知ってくださ­い。

内部被曝に重点を置いた放射線被曝の研究を市民と科学者が協力して行なうための組織と­して「市民と科学者の内部被曝問題研究会(内部被曝研)」が設立されます。

[日時]2012年1月27日(金)
[会見者]肥田舜太郎(被曝医師)     澤田昭二(素粒子物理学、被爆者)     松井英介(医師、放射線医学、呼吸器病学)     矢ヶ崎克馬(物性物理学)     生井兵治(遺伝・育種学)     岩田渉(市民放射能測定所・理事)
[会場]麹町報道会見場

カテゴリ    
ニュースと政治

=================================================================

肥田舜太郎: "内部ヒバク"から問い直す核/原子力体制


アップロード日: 2011/08/15
日 時: 8月 6日(土)13:30 〜16:00
場 所:広島市まちづくり市民交流プラザ     (北棟6階マルチメディア・スタジオ)

提 題:
・「ヒバク問題を考える」
振津かつみ(医師、チェルノブイル・ヒバクシャ救援関西、ICBUW運営委員)
・「 福島現地からの報告」
佐藤和良(いわき市議、脱原発福島ネットワーク)
・「残留放射能と今」
丸屋 博(被爆者、医師)
・「原爆と原発のマジックを解く」
アーサー・ビナード(詩人、翻訳家)
・「ヒロシマ・ナガサキ・フクシマ:核被害者世界大会開催を考える」
田中利幸(広島市立大学広島平和研究所教授、HANWA運営委員)
司会:嘉指信雄(ICBUWヒロシマ・オフィス代表、神戸大学教授)

共 催:核兵器廃絶をめざすヒロシマの会(HANWA)
:ウラン兵器禁止を求める国際連合-ジャパン(ICBUW-Japan):原発・核兵­器なしで暮らしたい人々:ECRR市民研究会‐広島

カテゴリ
非営利団体と社会活動

=================================================================

http://www.uplink.co.jp/kakunokizu/

映画『核の傷:肥田舜太郎医師と内部被曝』予告編 


アップロード日: 2012/02/29
2012年4月7日(土)渋谷アップリンクほか全国順次公開
http://www.uplink.co.jp/kakunokizu/

監督・脚本・撮影・録音:マーク・プティジャン
助監督・編集:瀬戸桃子/製作:オンライン・プロダクションズ
日本版ナレーション:染谷将太
 
 =================================================================

 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%82%A5%E7%94%B0%E8%88%9C%E5%A4%AA%E9%83%8E

肥田舜太郎

肥田 舜太郎(ひだ しゅんたろう、1917年 - )は、日本医師、医学博士広島市への原子爆弾投下により自身が被爆しつつ、直後から被爆者救援・治療にあたった。以来被爆者の診察を続け、被爆の実相を語りつつ核兵器廃絶を訴えている。

経歴
広島市生まれ。中津川肥田氏の肥田帯刀17代目にあたる。
1943年日本大学専門部医学科卒業。1944年陸軍軍医学校を卒業、軍医少尉として広島陸軍病院に赴任。1945年8月6日、原爆に被爆、直後から被爆者救援・治療にあたる。広島陸軍病院の山口県熊毛郡伊保庄村への移転にかかわり、1945年12月の厚生省への所管替えに伴って国立柳井病院(現独立行政法人国立病院機構柳井病院)に所属。
1940年代終わり頃、広島に検査だけして治療はしない病院(原爆傷害調査委員会:ABCC)がつくられるとの噂から、依頼を受けて、治療もするようにと厚生大臣連合国軍総司令部と交渉。結局断られ、理不尽な占領軍の傲慢さに憤って、アメリカの無法と闘うため占領権力に真正面から立ち向っていた日本共産党に入ろう、と決心し入党した。この頃、東京都杉並区、のち埼玉県行田市で、労働者や貧しい人のための診療所をつくる運動に参加。[1]
1953年全日本民主医療機関連合会(全日本民医連)創立に参加。1956年、行田市議会議員選挙に日本共産党から立候補、3位で当選[1]。全日本民医連理事、埼玉民医連会長、埼玉協同病院院長、日本原水爆被害者団体協議会原爆被爆者中央相談所理事長などを歴任。1975年以降、欧米を中心に計三十数カ国を海外遊説、被爆医師として被爆の実相を語り、核兵器廃絶を訴えた。2005年、イギリスBBC製作のドキュメンタリー"en:Hiroshima: BBC History of World War II"に、また、2006年、ドキュメンタリー映画『ヒロシマナガサキ』(アメリカ合衆国、2007年公開)に出演して、インタビューに答えた。
被爆患者の臨床をふまえて、「原爆ぶらぶら病」とよばれる症状や、内部被曝、微量放射線・低線量被曝の健康影響について研究し、その危険性について述べた。のべ64年間、6000人を超える被爆者の診察を続け、2009年、医業から引退。[2]現在、全日本民医連顧問。「九条の会」傘下の「九条の会・さいたま」呼びかけ人[3]
2011年3月の福島第一原発事故後、放射線の健康影響について発言している。

著作

脚注

外部リンク

最終更新 2013年1月19日 (土) 14:06

=================================================================

=================================================================

参考リンク:

東京で被曝対策をして生きるということ

http://hibakutokyo.com/for-taking-measures/2-2/

内部被曝の恐怖

なぜ内部被曝が危険なのか(年間1mSvの欺瞞)

身体の外にある放射性物質から放射線の放射を受けるのが外部被曝です。一方、 小さな埃や粉塵等に付着した放射性物質そのものを食べ物とともに体内に取り込んだり、呼吸とともに肺から吸い込み、体内に入った放射性物質から放射線を受けるのが内部被曝です。
 
外部被曝と異なり、内部被曝では体内に取り込まれた放射性物質により、それが体外に排出されるまでの間、至近距離から局所的に強い放射線を長い期間継続的に浴び続けるため、低線量でも危険性が高く、繰り返し放射線を受け続けた臓器に癌が発生しやすいとされています。
外部被曝は殆ど到達距離が長いガンマ線から受けるものです。(加えて若干ながらベータ線による外部被曝もあります)

一方、内部被曝は放射性物質の粒子を吸い込んだり食べたりするわけですから、アルファ線、ベータ線、ガンマ線ともに受けます。

ガンマ線を発する物質を取り込んでも、先述したように到達距離が長いのでエネルギーの殆どが体外に出てしまうので、受けるダメージは限定的です。一方、問題なのはアルファ線とベータ線の内部被曝です。アルファ線とベータ線はガンマ線に比べて飛距離は短く、体外であれば簡単に遮断できますが、その短い距離内で放射するエネルギーはガンマ線より遥かに大きい(正確に言うと、アルファ線は電離作用が強い)ため、アルファ線核種やベータ線核種から受ける内部被曝の影響は非常に大きくなります。

プルトニウム239はアルファ線、ストロンチウム90はベータ線、セシウム137はガンマ線を出すので、プルトニウムやストロンチウムは危険だ、と言われることが多いですが、若干正確性に欠けます。正確にはセシウム137は崩壊の過程でベータ線もガンマ線も放出します。詳しくは下記のサイトをご覧下さい。

[source:「放射線の発生 」兵頭俊夫のホームページ(サイエンス ・ 教育 ・ 社会)]
アルファ線やベータ線は電離作用が強いために透過力は小さく、正確に測定することは困難です。そのため、測定が容易なガンマ線を検出する(対策を考える上で > これからの生活と必需品(ガイガー等) 参照)ことで、汚染の度合を測定しています。つまり、ガンマ線による汚染を測定することで、間接的にベータ線による汚染を測定しているということです。このあたりは若干専門的になりますので、・アルファ線やベータ線による内部被曝が健康への影響では深刻、・ガンマ線しか正確に測定できないために代替的にガンマ線を測定して汚染度を判断する、という2点のみ頭に入れておいていただければ十分です。

我が国では2012年4月より食品に含まれる放射性物質の規制値である暫定基準値が引き下げられることとなりましたが、それでもなお内部被曝の影響を軽視しており諸外国に比べて極めて甘い基準値となっているため、後述する内部被曝対策が重要となっております。




 
[source: 松井英介監修・NPO 法人セイピースプロジェクト「放射線被ばくから子どもを守るために」]
内部被曝の危険性非常にわかりやすく説明されている冊子です。PDFファイルですので、印刷して親御さん等に配布するのにおすすめです。また、食品等の基準値の国際比較がわかりやすく記載されています。

至近距離から強力な放射線を集中的に一か所に受けるという点で、同じ実効で線量で比較すると内部被曝は外部被曝の600倍から1,000倍ほどの危険性 があると言われています。
つまり、外部被曝の1mSVと内部被曝の1mSVとは人体に与える影響は全く異なり、ICRP(国際放射線防護委員会)や日本政府が唱える1mSvまでは安全というのはあくまで外部被曝のみを考慮したに過ぎないということに注意が必要です。

外部被曝と内部被曝の違いについて語るとキリがありません。しかし、人体に与える影響が桁違いであることは明らかです。もし、その差がないのであれば、日常的に高高度で放射線を浴び続けているパイロットや乗務員の癌の発生率が有意に高くなるはずです。しかし、実際にはパイロットや乗務員の多くが癌で亡くなっているということはなく、一方、原発作業員の方々の多くが白血病や骨髄腫にて命を落としている(労災の適用事例もあります)というのがその証左です。原発作業員は外部被曝の線量は厳しく管理されており、多くが年間5mSv程度に過ぎません。日本より高緯度地域にある欧米諸国の国際線パイロットは、年間5~6mSvほどの被曝量となることがわかっていますが、航空機内で浴びる宇宙から受ける放射線の影響は外部被曝のみである一方、原発作業の場合は放射性廃棄物等を扱うため必ず内部被曝を伴います。(尚、我が国の場合、文部科学省が2006年4月「航空機乗務員の宇宙線被曝管理に関するガイドライン」を示し、乗務員の被曝量は年間5mSvの管理目標値を設定しています。)

加えて、内部被曝を語る際にもう一つ重要なことがあります。それは自然放射線核種人工放射線核種の違いです。自然放射線核種の代表的なものは放射性カリウム40で、人体に100ベクレル/kg程度存在します。放射線自体は自然放射線と人口放射線に全く違いはありません

地球誕生のときに生まれた放射性核種であるカリウム40は、多くは放射線を出して安定な元素に移行したものの、半減期が12.7億年と非常に長いため、今現在も存在して放射線を出しています。このようにカリウム40は太古の昔より地球上に存在するため、我々人類は進化の過程において体内に過剰に蓄積しないよう適応してきました(カリウム40を適度に排出することで、濃縮せずに体内濃度を一定に保つことができます)。

[source: 原子力資料情報室(CNIC) 放射能ミニ知識 「カリウム-40(40K)」]
<抜粋> 天然に存在する代表的な放射能で、太陽系がつくられた時から存在している。カリウムはナトリウムと似た性質をもち、化合物は水に溶けやすい。体内に入ると、全身に広く分布する。カリウムは必須元素の一つである。成人の体内にある量は140g(放射能強度、4,000ベクレル)で、1日の摂取量は3.3gである。生物学的半減期は30日とされている。

一方、放射性セシウム137といった物質は原子力発電所が稼働し始めてから、ここ数十年程度で初めてこの世に産まれた物質であり、我々生物が体内に溜め込まないような防御反応を示すことができないのは当然のことです。人工放射線核種は体内に蓄積してしまう、という点で自然放射線核種とは危険性が全く異なります。つまり自然放射線と人工放射線で放射線事態には全く違いはありませんが、自然放射線核種と人工放射線核種では体内における挙動が全く異なるということです。このことを理解していないと、「人間はもともとカリウム40からの放射線被曝を日常的にしているのだから、セシウム137等を気にし過ぎる必要はない」という被曝の害を軽視する原発推進側の学者に言いくるめられてしまうことになります。

[source: 原子力資料情報室(CNIC) 放射能ミニ知識 「セシウム-137(137Cs)」]
<抜粋> 半減期30.1年。ベータ線を放出してバリウム-137(137Ba)となるが、94.4%はバリウム-137m(137mBa)を経由する。バリウム-137mからガンマ線が放出される。セシウムの化学的性質と体内摂取後の挙動は、生物にとって重要な元素であるカリウムと似ている。体内に入ると全身に分布し、約10%はすみやかに排泄され、残りは100日以上滞留する。成人の体内にあるセシウムの量は1.5㎎で、カリウムの140gの約10万分の1である。旧ソ連原発事故では、広い地域が1m2あたり50万ベクレル(5.0×105Bq)以上のセシウム-137で汚染された。そのような場所では、セシウム-137のみから1年間に1ミリシーベルト以上の外部被曝を受ける。事故直後は、短寿命放射能の存在と内部被曝の寄与で年間10ミリシーベルトをはるかに超える被曝を受けていた。ふつうの人は、そこに住むことはできない。


最後に一番重要なこと、それは放射線被曝による健康被害はガンに限らないということです。甲状腺ガン、白血病、骨髄腫に関しては比較的被曝との因果関係が証明しやすいため、チェルノブイリ原発事故においてIAEAが甲状腺ガン被害を認め、国内での原発作業員の方々の白血病の労災認定(認定基準値:年間5mSv)が存在します。しかし、チェルノブイリの研究によれば、ガンよりも早期にそして幅広く被害が生じるのが放射性セシウムが心筋に蓄積することによる心疾患、放射線おょび増加した活性酸素により細胞が攻撃されることによる免疫不全障害、そして脳へのダメージによる知的障害です。特に子どもの知的障害は深刻で、チェルノブイリ原発事故が起きた後に産まれたベラルーシの子供たちの高等学校の卒業率は著しく低くなったという統計もあります。
一方、急性被曝症状の一部と見られる下痢、鼻血、嘔吐やその他の症状について、福島原発事故以降に東北・関東地域を中心に増加しているという報告が多数上がっていますが、低線量被曝により急性被曝症状に類する被害が生じるか否かということでは医師の間でも非常に意見が分かれているということです。この点については、もう少し情報を整理した上で述べていきたいと思います。(現時点では医師であっても断定的な判断ができないのが実情です。)

これら内部被曝の危険性については非常に重要な事項ですので、より深く学びたい方のために下記のサイトをご紹介いたします。

[source: 大江希望氏サイト「『内部被曝』について(その7)低線量被曝」]
<一部抜粋>・内部被曝は、単に、体内に線源が入ったというだけではない。アルファ線やベータ線が、生体内のきわめて狭い範囲の細胞に集中的にヒットし続けるという点で、生体へのダメージのあり方が外部被曝とはまったく異なる。場所的に集中しているだけでなく、時間的にも継続してヒットされる。「細胞周期」の数時間~十数時間がとくに“敏感”にダメージが生じるとされる。
・内部被曝はスポット的に効くので、それがガン化を誘発する可能性が高い。しかも、ある程度強い放射能の粒子であればその細胞を殺してしまうのだが(ガン化さえなされない)、非常に弱い放射能を持つ場合に細胞の遺伝子を損傷するが細胞を殺さないというガン化に都合のいい状態が出現する。その細胞が増殖する機会があれば、ガンが発現するのである。

[source: ECRR(欧州放射線リスク委員会)「2010年勧告」日本語訳]
<一部抜粋>低レベルの内部被ばくとガンや白血病とを結びつける証拠の全てが、放射線以外の 原因が(それらがどんなにあり得そうにないものであったとしても)その影響を引き起 こしたのかもしれないという問題に悩まされている。キンレン(Kinlen)らの(上で議 論した)人口混合説は、これの好例である。低レベル放射線に関しては、最初におこる 遺伝的損傷と、組織病理学的な確認が可能なガンという最終的な臨床的表現との遅れ時 間によって、原因と結果とが分断されており、そのような時間的隔たりの間に他の可能 性のある要因が見つかるかも知れないという問題もある。しかしながらここ数年の間に、 技術の発達や、チェルノブイリ事故後に被ばくした十分に定義された集団の存在が、ガ ン発生率や死亡率についての小規模なデータの利用に関する状況が多少緩和されたこと とあいまって、ICRP モデルの誤りとそれが内部被ばくに関係していることについて明白 17 な証拠を示す2つの研究を可能にした。リスク係数の誤りについての議論の余地のなく 明白な証拠を与えるその2つの研究を表11.9に示している。

<表11.9> ICRP モデルの誤りについての明白な証拠を示すために本委員会が取り上 げる最近の研究。< 1. チェルノブイリ後のミニサ テライトDNA 突然変異>: チェルノブイリ事故後に生まれた子どもの客観的科学的尺 度は事故前に生まれた兄弟姉妹と比べ、突然変異に関して7 倍増加していることを示している。ICRP モデルの誤りはこ のエンド・ポイントで700 倍~2000 倍。 <2. 5カ国での小児白血病>: 胎児の時に体内の放射能によって被ばくした子どもらにお ける小児白血病の増加は、ICRP モデルのリスク係数の誤り がこのエンド・ポイントで100 倍~2000 倍であることを明ら かにしている。

[source: 矢ヶ﨑 克馬 (琉球大学理学部 名誉教授)「内部被曝についての考察 」(PDF)]
<一部抜粋>高密度被曝の場合は再結合するときに相手を間違え、DNAの間違った組み 合わせをもたらします。これが一発一発のアルファ線で引き起こされるもので すから、疎らにイオン化されたばあいと比較にならない危険度があります。人 間は2重3重の発がんに対する防御機構を持っているといわれますが、多数の α線による内部被曝でできた異常DNAの活動のすべてを防御できるはずがあ りません。 多数のがん患者発生の充分な根拠になります。ウランが発がんを 誘発する根拠は充分すぎるほどあります。 図4は、はアルファ線の飛ぶ距離と細胞の大きさのイメージ化です。細胞核に はDNAが詰まっています。α線が細胞核をヒットした場合、DNAに高密度 被曝・イオン化を与えます。DNAが過って再結合して、もしそれが増殖等の 活動を開始したらがんや腫瘍の発生と結びつきます。

Copyright(c) hibakutokyo.com .All Rights Reserved.

=================================================================

参考リンク
http://raizen.seesaa.net/category/10775960-1.html

内部被曝についての考察

琉球大学 矢ヶ崎克馬

(1)国際放射線防護委員会(ICRP)1990年勧告は内部被曝について評価する資格が無い

《国際放射線防護委員会勧告》
以下は、国際放射線防護委員会の基準です。

--------------------------------------------------------------------------------
吸収線量の考え方
吸収線量は、ある一点で規定することができる言い方で定義されている。
しかし、この報告書では、特に断らないかぎり、1つの組織・臓器の平均線量を意味する。

(2.2  基本的な線量計測量)

放射線防護上関心のあるのは、一点に於ける吸収線量でなく組織・臓器にわたって平均し、線質について加重した吸収線量である。

(2.2.2 等価線量)
--------------------------------------------------------------------------------

国際放射線防護委員会の基準では吸収線量を、被曝した微小領域で本来規定すべきであるが、臓器当たりの平均量で評価することを規準とすると宣言しています。この方法は内部被曝を科学的に評価できるものでは無く、恐ろしく過小評価するものです。

これを具体的に説明します。

《内部被曝と外部被曝の違い》

図1に示すように、放射能が身体の外部にある場合と内部にある場合は、被曝の状況が根本的に異なります。

(外部被曝)
放射性物質(放射能)が体外にある場合は、飛程の短いアルファ線やベータ線は放射線物質がすぐ近くにある場合を除いて、あまり体には届きません。

届いても皮膚近くでとまってしまいます。

ガンマ線だけが体を貫きます。

この場合は、身体全体に当たると仮定して良い状況で、国際放射線防護委員会(ICRP)モデルが適用できます。

すなわち、身体で受けとめたエネルギー量を体重で割ったものが線量と評価できます。

また、身体との相互作用が希薄であるため、どこに、あるいはどれだけ密集してイオン化がなされるかかということも確率的となり、遺伝子や染色体の損傷も線量に比例していると考えるのが妥当です。

図1  外部被曝と内部被曝の被曝状況の違い


(内部被曝と高密度イオン化)
しかし、内部被曝の場合は事情が一変します。
飛程の短いアルファ線とベータ線は身体の中で止まってしまうので、持っている全てのエネルギーが細胞組織原子のイオン化等に費やされます。

図2に示しますが、特にアルファ線は飛程が40 マイクロメートルで、その間に420 万電子ボルトを失います(電子ボルトはエネルギーの単位:電子を1 ボルトの電位差で加速して得られる運動エネルギーに等しい)。

平均イオン化エネルギーは32.5 電子ボルト程度なので、たった40 マイクロメートルの間にほぼ10 万個(≒4,200,000/32.5)のイオン化がなされます。

イオン化とは、マイナスの電気量を持った電子が原子から吹き飛ばされ、原子がプラスの電気量を持つイオン(中性でなくなった原子や分子をイオンと呼びます)となることです。

その時、結合していた原子同士が切断されます。遺伝子や染色体が損傷を受けるのです。

図2  集中したイオン化とICRPモデル
―ICRP モデルでは内部被曝の評価はできない―

《被曝の評価》―こんなにも過小評価がなされている―

ウランの場合はα線放射です。

この場合、イオン化は隣り合う原子すべてをイオン化する密度です。

ものすごく高密度のイオン化がなされます。

図2の右図に示すように、もしこの10万個を例えば1キログラムの臓器全体にばらまけば、イオン化はすべて孤立した状態でばらまかれることになり、γ線の低線量被曝の状態と一致します(右図にはγ線被曝の状況を描いています)。

この場合は文字通り低線量被曝となります。

それぞれを質量当たりの吸収エネルギーに計算すると10の9乗倍の差があります。

国際放射線防護委員会の規準は、第2図の左図に示されるような被曝状況が右図に示される被曝状況に置き換えられて評価されるのです。

隣り合う原子がすべてイオン化されているような緊迫したイオン化状況はなにも見えてきません。

繰り返しになりますが、国際放射線防護委員会の規準ではアルファ線およびベータ線の内部被曝の評価は決してできません。

大きさの程度として10億倍も線量評価が違うのです。

γ線に照射される場合、すべてのγ線が一時にやってくるとは限りません。

イオン化する場所も体のあちこちです。

γ線の場合は時間的にも場所的にも、イオン化は疎らなのです。

それに対し、α線の内部被曝は同時に10万個というイオン化をおなじ場所(40マイクロメーター内)に行うのです。

線量評価を、科学的に状況を正しく捕らえた規準でないICRP「規準」で行うと、「劣化ウランは放射能兵器ではない」、「広島原爆でも誰もウラン235を(放射能として)問題にしたことはない」と、まるでアメリカ政府の代弁者のような言い方になるのです。


(2)高密度イオン化と低レベル放射能
―発がん率上昇をもたらす原因―

《異常再結合は高密度イオン化から》

イオン化が高密度であることは、単に打撃が集中しているだけのことではありません。

生物学的にも(物理的に見ても)切られたものは元に戻ろうとします。

集中してイオン化を受けた場合は元の相手と一緒になれないのです。

図3に、ちょん切られた原子同士が再結合するときの、イオン化が疎らである場合と高密度の場合の違いを示します。

図3 再結合―イオン化が疎らなときと密なときの違い―

高密度被曝の場合は再結合するときに相手を間違え、DNAの間違った組み合わせをもたらします。

これが一発一発のアルファ線で引き起こされるものですから、疎らにイオン化されたばあいと比較にならない危険度があります。

人間は2重3重の発がんに対する防御機構を持っているといわれますが、多数のα線による内部被曝でできた異常DNAの活動のすべてを防御できるはずがありません。

多数のがん患者発生の充分な根拠になります。ウランが発がんを誘発する根拠は充分すぎるほどあります。

図4は、アルファ線の飛ぶ距離と細胞の大きさのイメージ化です。

細胞核にはDNAが詰まっています。α線が細胞核をヒットした場合、DNAに高密度被曝・イオン化を与えます。

DNAが過って再結合して、もしそれが増殖等の活動を開始したらがんや腫瘍の発生と結びつきます。


《低レベル放射能の危険》

もしα線がウラン微粒子から(1秒当たりに)ものすごくたくさん打ち出されるならば、切られた原子同士が再結合しようとする暇無く、切られっぱなしとなります。

その場合には細胞等が死んでしまうと考えられます。

それに対し、ウランからのα線は“低レベル”といわれるように時間当たりにして少数のα線が打ち出されます。

計算すると5マイクロメーター(ミクロン)直径のウラン微粒子の場合に打ち出されるα線は1日当たり1個程度となります。直径がそれ以下だと充分再結合の時間があります。

劣化ウランは低レベル放射能だからこそ、発がんの危険がより大きいといえます。

図4 α線の放射と細胞、DNA


《原爆と内部被曝》

原爆の場合の直接浴びた一次放射線はガンマ線、中性子線です。

中性子線は電子を吹き飛ばしてイオン化させるのではなく、原子核にぶつかり原子を放射能化します。

この場合主としてベータ崩壊の放射能となります。

核分裂してできた原子はいずれも半減期の短いベータ崩壊放射能です。

黒い雨などに含まれる放射能の大部分は半減期の短いベータ崩壊です。

被爆直後はものすごい放射線の強さがありますが、半減期が短いものが圧倒的に多いので、時間とともに減衰し、やがて収まりました。

ベータ線(電子線)はα線のばあいと同じように考察できます。

α線放射もベータ線放射もγ線の放射が伴いますので、黒い雨に打たれた人や、被爆後入域した人は内部被曝だけでなく、外部(残留放射能)からのγ線による被曝もともに健康を害したことと思います。

しかし、内部被曝の影響の科学的評価がきちんとなされていたならば、今日の原爆症認定の非人間的な国家基準はもっと形を変えていたかもしれません。

原爆症認定のプロセスにおいても、低線量・低レベル放射能の内部被曝がキーポイントとなります。


《WHOの見解》

WHOの劣化ウランに対する考え方は、国際放射線防護委員会の規準そのものを言い換えたにすぎず、結果として非科学的な評価をしています。

--------------------------------------------------------------------------------
WHO (World Health Organization)
Depleted Uranium (劣化ウラン)
Fact Sheet No. 257 2003 年1月

..しかしながら、DU はほんの弱い放射能だから、大量の(数グラムの程度の)DU の埃を吸い込まないならば、被曝したグループで、検出できるだけの肺癌の危険は高まらないだろう。
他の放射線誘起の白血病を含むがんの危険は、肺がんの危険より非常に少ないと考えられる。
--------------------------------------------------------------------------------

WHOは昨年1月の劣化ウランと題する見解表明(ファクトシート257)で、現場の発がん率10倍化を知りつつ、発がん率の上昇は劣化ウランとは考えられない(低線量被曝は発がんの根拠にならない)、としています。

その根拠の1つは、国際放射線防護委員会の規準にあります。

根拠の2つ目は放射線科学の実験事実を根拠にしていると思います。

すなわち“低線量で内部被曝をさせても発がん率の上昇にはならない”と。

これについては、研究室で行う実験の限界を謙虚に評価すると、現実に起こっている規模の大きいが比率は小さ
い事象を代弁できないことに気がつくはずです。

発がん率が10年間で10倍化していても10万人当たりの比率にしてみれば10人程度だったものが100人程度に増加したもので、百分比で言えば、0.01%0.1%に増加したものです。

このような低率のしかも長期間かかって発現することがどれだけ実験により捕らえられるでしょうか。

実験室で何万匹の実験動物を何年間飼育したというのでしょうか。

実験でとらえられないことが100万単位の人の中での発がんを否定する根拠には決してなりません。

また、WHOは“水溶性劣化ウラン酸化物は体内に入っても短時間で排出されるので、放射線被害はとるに足りない”としています。

しかし、イラクの汚染地区の人々が、毎日、毎日劣化ウラン微粉末を体内に取り込んでいるならば、いつでも体内に劣化ウランを蓄えていることになります。

たった一回投与して排出された場合の楽観的物の見方で、現場の評価はできません。


《アメリカにおける原子力発電による低線量被曝》

昨年10 月にハンブルグおいて行われた劣化ウランシンポジウムで、LEUREN MORET 氏が提供した資料の一部を紹介します。

ICRP規準では問題とされない原子力発電所から放出される低レベル放射能と小児の白血病等との関わりについてのデータであり、The Radiation and Public Health Project(放射線と市民の健康プロジェクト)が行ったデータ収集です。

劣化ウランの事象ではありませんが、内部被曝という関わりで重大な関連がありますので紹介致します。

図5にはアメリカにおける小児の歯中のストロンチウムー90含有量と原子力発電年間稼働率の関係を示したものです。

ストロンチウムー90含有量は原子力発電の稼働率上昇とともに直線的に増加しています。

図6には、ニューヨーク、サフォルク群における小児がんと歯中のストロンチウムー90の関係を示したものです。

両者の増減は良く一致しています。体内に取り込まれた放射能が、小児がんを誘発していることが示されています。

図5  小児の歯中のストロンチウムー90含有量と原子力発電年間稼働率の関係



図6 ニューヨーク、サフォルク群における小児がんと歯中のストロンチウムー90の関係



図7には、新生児甲状腺機能低下症と原子力発電による発電量の関わりを示したものです。

両者の関係は全く1つのカーブで表すことができ、完璧な相関があります。

さらに、図8にはカリフォルニアにおける自閉症の小児と原子力発電による発電量との関わりを示しています。

自閉症小児数は2年ほどの遅れはありますが、発電量に強く依存しています。

図7 新生児甲状腺機能低下症と原子力発電



原子核分裂の生成原子のうち、ストロンチウムー90は、通常のウランー235による核分裂の場合は約7%生成されるといいます。

半減期は28.8年で核分裂生成原子としては半減期の長い方に属します。

原子力発電所からの排気に含まれる放射能は「低レベル」「自然放射能以下」等と言われ、問題にされないのが、アメリカや日本の「規準」です。

しかし、この「低レベル放射能」によって、小児がん等の疾病はこれらのグラフで示されるように明瞭に誘発されています。

体内に取り込まれ、骨に(歯に)沈着していることでその量が推定されます。

低レベル放射能は、内部被曝により歴然とした被害を露わにしているのです。

図8 カリフォルニアにおける自閉症児と原子力発電の発電量の関係


まとめ
1.α線とβ線は遺伝子をチョン切る。
2.低線量であるがために切られた遺伝子が再結合する時間が生まれる。
3.相手を間違えた再結合をもたらす。
4.もしそれが増殖等の活動を開始したらがんや腫瘍の発生と結びつく。

これらのことは、5マイクロメーター(ミクロン)直径以下という小さなウラン微粒子で起こる。

一般的に放射能の粒子は1マイクロメーター(ミクロン)以下といわれている。

また、参考までにスギ花粉は30~40マイクロメーター(ミクロン)だ。

体内に入り込んだ放射能が全て蓄積・濃縮されるわけではないが、少しでもリスクを低減すべきであろう。





0 件のコメント: