以下抜粋:
遺伝学部
放射線により誘発される直せないDNA 損傷
放射線被曝の影響は体組織であれ生殖組織であれ、組織細胞に起こる傷害が原因となる。この傷害とは、ゲノムDNA(遺伝子)が直らない傷(修復不能なDNA 損傷)を被ることにより起こると考えるべきであろう。今回、ヒトの正常細胞を用いた解析により、この修復不能な損傷が被曝後いつまで経っても細胞内に留まり続けることが明らかとなった(1 年以上の継続観察)。動物実験でも被曝後かなりの時間が経っても組織に修復不能なゲノム損傷が残ることを観察した。修復可能な損傷(通常、1 日以内に修復されてなくなる)と修復不能な損傷(永遠になくならない)を生化学的に識別できれば、将来は被爆者保存組織を用いて、当時の被爆の痕跡をゲノム内に検出できるようになるだろう。
疫 学 部
原爆被爆者の健康リスク
寿命調査(LSS)集団で、原爆放射線による総固形がん死亡リスクは、30 歳で1 Gy 被曝後の70 歳時に、非被曝に比べて直線的に42%増加し、被爆時年齢が若いほどリスクは高かった。放射線による尿路がん死亡リスクは1 Gy 当たり約100%の直線的増加を示したが、肺がんで見られたような喫煙と放射線との相乗作用は認められなかった。また、LSS 集団内での放射線による尿路がん死亡リスクに対して、喫煙などの生活習慣による交絡は認められなかった。放射線による骨肉腫の死亡リスクは、0.85 Gy の閾値以上の線量域で1 Gy 当たり約750%の直線的増加が認められた(香港大学との共同研究)。慢性腎機能不全による死亡リスクが放射線によって1 Gy で9%増加することが認められ、放射線による心血管系死亡リスク増加の一因となっている可能性が示唆された(米国ロチェスター大学との共同研究)。非がん性呼吸器疾患および消化器疾患と放射
線との関連については、因果関係に関する更なる検討が必要である。
統 計 部
放射線リスク評価と線量推定
リスク評価の分野では、統計部研究員は造血器悪性腫瘍リスクに関する新しい論文を完成させ、米国国立がん研究所の研究者と協力して甲状腺がんの長期リスクに関する論文を発表し、白内障手術に関する新しいリスク解析および組織型別の肺がんの発生原因における喫煙と放射線の相互作用に関する研究において重要な役割を果たした。また、ドイツのヘルムホルツセンター・ミュンヘンの研究者と共同で、複数モデルによる推測に関する研究を継続した。死亡率に対する体重増減の影響に放射線が関連しているかどうかを究明することを目指した臨床研究部の新しい研究計画書(比例ハザード回帰における関数共変量の使用に関連した統計研究での久留米大学との協力を含む)に貢献した。統計部研究員はまた、既存の統計方法を用いたリスク評価に関するその他の幾つかの論文の作成にも寄与した。
線量推定の分野においては、統計部研究員は、爆弾投下以前の両市の航空写真地図に基づき特別に作成されたモザイク画像上での被爆者の遮蔽歴近隣図の正確な位置確定により推定された新しい被爆位置における被爆者の地形による遮蔽計算の改善のための方法をはじめとして、特に被爆者の位置推定の改善における線量委員会の活動を引き続き支援した。統計部研究員は、残留放射線源(爆心地付近の中性子放射化土壌および局所放射性降下物)について外部の研究者から提起された問題に対処するための線量委員会の努力を支援するために地理空間解析およびその他の解析を開始し、線量誤差、生物線量推定および中性子線量荷重係数について外部の研究者と共同研究を継続した。
2011-2012 年報
プロジェクト別研究の概要
心臓血管疾患調査
原爆放射線被曝が心臓血管疾患を引き起こすか否かについては現在関係者の大きな注目を集めており、国連原子放射線影響科学委員会の2006 年報告(UNSCEAR、2008 年)の附属書B でも、放影研のこれまでの研究結果が大きく取り上げられている。
放影研ではこのテーマに疫学研究、臨床研究、更には基礎医学研究を含めて総合的に取り組むこととし、研究担当理事、主席研究員、各部の部長ならびに研究員から構成された「心臓血管疾患調査ワーキング・グループ」を立ち上げ、2008 年からプロジェクトチームとして取り組んできた。昨年度までに、①放影研で行われてきたこれまでの研究結果のまとめ、ならびに検証すべき仮説の整理、②臨床研究部における動脈硬化に関する研究や動物実験など、今後新たに実施すべき研究についての検討、③ 2009 年度末に開催された専門評議員会での、脳卒中、慢性腎臓病、動脈硬化指標、弁膜症、関連するバイオマーカーと免疫機能など計画中の研究についての報告、④ 2010 年度の自然高血圧発症ラットを用いた動物実験ならびにサイトカインの関与を更に詳しく検討する臨床研究の開始、など着実に成果を上げてきた。
2011 年度には、上記④の研究を継続するとともに、心エコー検査を用いた放射線被曝と心臓弁膜症についての新研究計画を完成させた。これについては所内審査の段階に入っている。
プロジェクト別研究の概要
被爆二世調査
親の原爆放射線被曝が子どもの成人期に発症する多因子疾患の有病率に及ぼす影響を検討するために、2002 年から2006年にかけて被爆二世臨床健診調査が実施され、その結果は2008 年に論文発表された。しかしながら前回の調査では、受診した被爆二世の平均年齢が49 歳と若く、病気好発年齢に差し掛かったばかりであること、横断調査に伴うバイアスの存在が否定できないことから、被爆二世健康影響調査科学・倫理合同委員会、専門評議員会ならびに上級委員会から縦断調査を行うよう勧告を受けた。これらの勧告に基づき、研究担当理事、業務執行理事、主席研究員、各部の部長ならびに研究員で構成された「被爆二世臨床調査ワーキング・グループ」は検討を重ね、2009 年度には新たな研究計画書案が完成した。本研究計画は、2010 年7 月に行われた第1 回被爆二世臨床調査科学倫理委員会で承認され、疫学部、情報技術部など各部の協力を得て、2010 年11 月に縦断調査を開始するに至った。
2012 年1 月に行われた第2 回被爆二世臨床調査科学倫理委員会では、縦断調査開始後1 年の進捗状況の報告と健診時に使用する検査、生物学的試料の保存/使用に関する同意書および説明文の改訂案について説明を行い、審議の結果、改訂案は承認された。また、前回の有病率調査のデータを用いて多因子疾患を個別解析した結果、親の放射線被曝に関連したそれぞ
れの疾患リスクの増加を示す証拠は見られなかったとする報告を行った。
線量評価
放影研における原爆被爆者の被曝線量推定には、爆心地や被爆者位置を示す座標系として米国陸軍が戦争直後に作成した地図が用いられてきたが、従来からこの地図のゆがみが指摘されてきた。このほか、寿命調査集団のうち約7,000 人の遮蔽状態がDS02 適用規準外のために線量不明扱いになっているなど、線量推定上の問題点を改善するために線量委員会が設置された。
昨年度には、被爆直前の航空写真を、撮影角度・高度・レンズ収差および被写体の標高を修正して、全域を1 枚の平面図に統合した正射化航空写真を作成し、標準座標系の位置を確定することができた。そして、地図と米軍地図との共通目標点に基づき、両市全域の米軍地図から航空写真への座標変換式を作成し、更に、遮蔽歴の近隣図が参照できる近距離被爆者について、この正射化された航空写真上で、地理情報システム(GIS)ソフトを用いて被爆位置の再確認を行う作業方式を確立した。
今年度は以上に加えて、被爆位置の高度による影響や地形による遮蔽の影響も加味した作業方式を確立し、被爆地点の個別同定作業を開始した。
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放射線影響研究所
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寿命調査(LSS)報告書シリーズ |
寿命調査(LSS) 報告書の表題一覧を以下に示しました。これらの報告書の要約を読むためには、下の表題を選んでください。(1992年以前では、論文タイトル中のレポート番号が、寿命調査報告書とそれに対応する雑誌掲載論文とで異なっています。掲載雑誌の情報はそれぞれの論文の下の「編集者注」をご覧ください。) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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業績報告書(TR)寿命調査報告書とそれに対応する学術雑誌掲載論文のタイトル |
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放影研について > 組 織 > 評議員会
評議員会 |
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2012年7月現在
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2012年7月現在
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Copyright(c)2007 Radiation Effects Research Foundation
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http://www.biomedics-japan.com/company.html
会社名 | バイオメディクス株式会社(BioMedics Japan Inc.) |
本 社 | 〒104-0055 東京都中央区豊海町4-18 |
TEL | 03-6240-4685 |
FAX | 03-6240-4686 |
設 立 | 2003年10月1日 |
資本金 | 4億9980万円(2010年5月1日現在) |
従業員数 | 13名 |
事業内容 | 抗体医薬品の研究開発 |
代表取締役
代表取締役 伊藤 歩 | 元株式会社住友銀行 元三和澱粉工業株式会社 取締役経営企画室長 三和澱粉工業株式会社 代表取締役社長 |
copyright© BioMedics Japan Inc. All Rights Reserved
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http://www.rerf.or.jp/library/rr/rr1104.pdf
以下抜粋:
放影研報告書
原爆被爆者の死亡率に関する研究
第 14 報 1950–2003 年:がんおよびがん以外の疾患の概要
§ Studies of the Mortality of Atomic Bomb Survivors, Report 14, 1950–2003: An Overview of Cancer and Noncancer Diseases
小笹晃太郎 清水由紀子 陶山昭彦 笠置文善 早田みどり Eric J Grant
坂田 律 杉山裕美 児玉和紀
要 約
本報は、放射線影響研究所が原爆放射線の健康後影響を明らかにするために行ってきた、原爆被爆者の集団である寿命調査集団(LSS コホート)での死亡状況に関して定期的に行ってきた総合的報告の第14 報である。LSS コホート構成者でDS02 での線量推定が行われている86,611人のうち58%が、1950–2003 年の期間に死亡した。追跡期間を前報から6 年間延長したことにより、放射線被曝後の長期間の死亡状況に関する実質的に多くの情報が得られ(がん死亡の17%増加)、特に被爆時年齢10 歳未満の群で増加した(58%増加)。放射線関連リスク、線量反応関係の形、および性、被爆時年齢、到達年齢による効果修飾作用の大きさを明らかにするために、ポアソン回帰を用いた。全死亡のリスクは、放射線量と関連して有意に増加した。重要な点は、固形がんに関する付加的な放射線リスク(すなわち、104 人年/Gy 当たりの過剰がん症例数)は、線形の線量反応関係を示し、生涯を通して増加を続けていることである。全固形がんについて、線形モデルに基づく男女平均の1 Gy 当たりの過剰相対危険度は、30 歳で被爆した人が70 歳になった時点で0.42(95%信頼区間[CI]:0.32, 0.53)であった。そのリスクは、被爆時年齢が10 歳若くなると約29%増加した(95% CI:17%, 41%)。全固形がんについて過剰相対危険度が有意となる最小推定線量範囲は0–0.2 Gy であり、定型的な線量閾値解析(線量反応に関する近似直線モデル)では閾値は示されず、ゼロ線量が最良の閾値推定値であった。主要部位のがん死亡リスクは、胃、肺、肝臓、結腸、乳房、胆嚢、食道、膀胱、および卵巣で有意に増加した一方、直腸、膵臓、子宮、前立腺、および腎実質では有意な増加は認められなかった。非腫瘍性疾患では、循環器、呼吸器、および消化器系疾患でリスクの増加が示されたが、因果関係については今後の研究が必要である。
感染症および外因死には放射線の影響を示す根拠は見られなかった。
§本報告書はRadiat Res 2012 (March); 177(3):229–43 に掲載されたものであり、その正文は同掲載論文のテキスト(英文)である。この日本語要約は、日本の読者の便宜のために放影研が作成したが、本報告書を引用し、またはその他の方法で使用するときは、同掲載論文のテキスト(英文)によるべきである。
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http://www.rerf.or.jp/library/rr_e/rr1104.pdf
PDF 1~15:
Studies of the Mortality of Atomic Bomb Survivors, Report 14, 1950–2003:
An Overview of Cancer and Noncancer Diseases
Kotaro Ozasa,a,1 Yukiko Shimizu,a Akihiko Suyama,a Fumiyoshi Kasagi,a,b Midori Soda,a Eric J. Grant,a Ritsu
Sakata,a Hiromi Sugiyamaa and Kazunori Kodamac
a Department of Epidemiology and cChief Scientist, Radiation Effects Research Foundation, 5-2 Hijiyama-koen, Minami-ku, Hiroshima, 732-0815,
Japan; and b Institute of Radiation Epidemiology, Radiation Effects Association 1-9-16, Kaji-cho, Chiyoda-ku, Tokyo, 101-0044, Japan
Ozasa, K., Shimizu, Y., Suyama, A., Kasagi, F., Soda, M.,
Grant, E. J., Sakata, R., Sugiyama, H. and Kodama, K.
Studies of the Mortality of Atomic Bomb Survivors, Report
14, 1950–2003: An Overview of Cancer and Noncancer
Diseases. Radiat. Res. 177, 229–243 (2012).
This is the 14th report in a series of periodic general reports on mortality in the Life Span Study (LSS) cohort of atomic bomb survivors followed by the Radiation Effects Research Foundation to investigate the late health effects of the radiation from the atomic bombs. During the period 1950–2003, 58% of the 86,611 LSS cohort members with DS02 dose estimates have died. The 6 years of additional follow-up since the previous report provide substantially more information at longer periods after radiation exposure (17% more cancer deaths), especially among those under age 10 at exposure (58% more deaths). Poisson regression methods were used to investigate the agnitude of the radiation-associated risks, the shape of the dose response, and effect modification by gender, age at exposure, and attained age. The risk of all causes of death was positively associated with radiation dose. Importantly, for solid cancers the additive radiation risk (i.e., excess cancer cases per 104 person-years per Gy) continues to increase throughout life with a linear dose–response relationship. The sex-averaged excess relative risk per Gy was 0.42 [95% confidence interval (CI): 0.32, 0.53] for all solid cancer at age 70 years after exposure at age 30 based on a linear model.
The risk increased by about 29% per decade decrease in age at exposure (95% CI: 17%, 41%). The estimated lowest dose range with a significant ERR for all solid cancer was 0 to 0.20 Gy, and a formal dose-threshold analysis indicated no threshold; i.e., zero dose was the best estimate of the threshold. The risk of cancer mortality increased significantly for most major sites, including stomach, lung, liver, colon,breast, gallbladder, esophagus, bladder and ovary, whereas rectum, pancreas, uterus, prostate and kidney parenchyma did not have significantly increased risks. An increased risk of non-neoplastic diseases including the circulatory, respiratory and digestive systems was observed, but whether these are causal relationships requires further investigation. There was no evidence of a radiation effect for infectious or external causes of death. 2012 by Radiation Research Society
INTRODUCTION
The Radiation Effects Research Foundation (RERF), and its predecessor the Atomic Bomb Casualty Commission (ABCC), has conducted a mortality study since 1950 on a fixed population [Life Span Study (LSS) cohort] of about 120,000 subjects including atomic bomb survivors and residents of Hiroshima and Nagasaki who were not in either city at the time of the bombing to determine the late health effects of ionizing radiation derived from the atomic bombs in Hiroshima and Nagasaki. Periodic analyses of the LSS mortality data have resulted in a series of LSS Reports (1,2). This is the 14th report in the series, which covers the period 1950–2003, including an additional 6 years of follow-up since the last comprehensive report (2). The impact of changing to the DS02 dosimetry system (3) from the earlier DS86 system on radiation risk estimates has been reported for mortality from all solid cancer and leukemia through 2000 (4). The risk of radiation for solid cancer incidence through 1998 was also reported (5). However, this is the first time the DS02 dosimetry system has been used while examining mortality from a wide range of causes of death.
TABLE 1
Number of LSS Cohort Members by DS02 Dose, City and Sex
Subjects with known DS02 dosea [weighted colon dose (Gy)]
Total ,0.005 0.005 0.1 0.2 0.5 1.0 2.0þ Unknownb NICc Total
Total 86,611 38,509 29,961 5,974 6,356 3,424 1,763 624 7,058 26,529 120,321
Hiroshima 58,494 21,697 22,733 5,037 5,067 2,373 1,152 435 3,442 20,179 82,214
Nagasaki 28,117 16,812 7,228 937 1,289 1,051 611 189 3,616 6,350 38,107
Male 35,687 15,951 12,342 2,382 2,482 1,414 813 303 3,287 11,143 50,175
Female 50,924 22,558 17,619 3,592 3,874 2,010 950 321 3,771 15,386 70,146
Note. Among the total of 120,321subjects, 123 were unavailable for the study because of misidentification or insufficient information.
a These numbers exclude the NIC and unknown-dose groups. This group was used for estimating radiation effects.
b Those with unknown doses had insufficient location information or were in complex shielding situations where dose could not be estimated
reliably.
c NIC: Not in the cities of Hiroshima or Nagasaki at the time of bombing.
The most important finding regarding the late effects of A-bomb radiation exposure on mortality is an increased risk of cancer mortality throughout life (2). The rates of excess solid cancer deaths have continued to increase in approximate proportion to radiation dose as the cohort ages.
Significant radiation-associated increases in risk have been seen for most sites of solid cancer. The dose–response relationship for these sites has tended to show an approximately linear increase with radiation dose. The relative risks for many cancer sites were higher in those exposed as children. The relative risks declined with increasing attained age of the subjects as well as the number of years after the bombing, although the excess absolute rates continued to increase with attained age. In contrast, the risk of leukemia increased in the early period after the bombing and then decreased, and the dose–response relationship for leukemia showed a linearquadratic association (6, 7). Those different onset and dose–response patterns imply a different pathogenesis between leukemia and solid cancer.
This report provides an overview of the updated results and characterizes the risk of radiation based on the DS02 dosimetry system for total deaths and major causes of death including solid cancer, leukemia and various types of noncancer disease. Due to the elongation of the follow-up period compared to the previous reports and the consequent increased number of outcomes, new findings have emerged for the risks of radiation for cancer and noncancer disease mortality.
The purpose of this report is to (1) compare the mortality from a wide range of causes of death using a common model as an overview, (2) conduct more detailed analyses on dose–response relationships and effect modification by age at exposure and attained age, and (3) describe changes in the shape of the dose response for solid cancer and noncancer diseases over the long observation period.
A discussion on the effects at low exposure levels such as dose and dose-rate effectiveness factor (DDREF) was also included. For leukemia, since detailed analyses have recently been reported for mortality over the period 1950–2000 based on the DS02 dosimetry system (7), further detailed analyses were not conducted.
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参考リンク:
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%94%BE%E5%B0%84%E7%B7%9A%E3%83%9B%E3%83%AB%E3%83%9F%E3%82%B7%E3%82%B9
放射線ホルミシス
放射線ホルミシス(Radiation hormesis)とは、大きな量(高線量)では有害な電離放射線が小さな量(低線量)では生物活性を刺激したり、あるいは以後の高線量照射に対しての抵抗性をもたらす適応応答を起こすことである[1]。電離放射線による被曝が慢性・急性のどちらの場合でも確認されている[2]。
「ホルミシス」とは、何らかの有害性を持つ要因について、有害となる量に達しない量を用いることで有益な刺激がもたらされることであり、その要因は物理的、化学的、生物学的なもののいずれかである[3]。例えば紫外線は浴び過ぎれば皮膚がんの原因となり、また殺菌灯は紫外線の殺傷力によっているが、少量の紫外線は活性ビタミンDを体内で作るために必要であり、 この活性ビタミンDは血清中のカルシウム濃度を調整するものであって、もし不足すればクル病の原因となる[4][5]。
ホルミシスという言葉はホルモンと同様に、「興奮する」という意味を持つギリシア語のホルマオを語源にしている[6]。
ホルミシスという言葉が最初に用いられたのは菌類の成長を抑制する物質が低濃度では菌類の成長を刺激することを表現するものとしてであり、「少量の毒は刺激作用がある」とするアルント・シュルツの法則(Arndt-Schulz rule)の言い直しである[3]。
1979年春に東京で開催された国際放射線研究会議では、中国からの発表において「自然放射線の非常に高い地区に住んでいる住民の肺癌の発生率が低い」ことが示されると注目を集め、スリーマイル島原子力発電所事故の調査委員長であったFabricant博士が興味を示し、Citizen Ambassadorという国際調査団が調査のために中国に派遣されたことが放射線ホルミシス研究が盛んになる契機となった[7]。
1978年[8]、ミズーリ大学のトーマス・D・ラッキーは"Hormesis with Ionizing Radiation(電離放射線によるホルミシス)"という書籍を著し、このテーマは1980年代に放射線影響の研究において言及され、低線量の放射線照射は生物の成長・発育の促進、繁殖力の増進及び寿命の延長という効果をもたらしうるという放射線ホルミシス研究として注目されるに至った。
概要
放射線ホルミシス効果とは、1980年にミズーリ大学のトーマス・D・ラッキー生化学教授が、自らは実験や研究を行っていないが、20世紀初頭から知られていた一時的な低線量の放射線による生物の各種刺激効果を、改めて他の多くの研究者の研究原著論文をCRC Pressから出版された本[9]の中で紹介、整理することによって使用した言葉であり、アメリカ保健物理学会誌1982年12月号に掲載された総説によって提唱された学説である[10]。この仮説では、一時的な低線量の放射線照射は、体のさまざまな活動を活性化するとされる[10]。ラッキーは小論文『原爆の健康効用』を発表し、原爆は健康を促進した面があるとしている[11]。
国際放射線防護委員会(ICRP)は、1983年より放射線ホルミシスの検討を開始しており、ICRP1990年勧告では、「今日、ホルミシスと呼ばれるこのような影響に関するほとんどの実験データは、主として低線量における統計解析が困難なため、結論が出ていない」「現在入手しうるホルミシスに関するデータは、放射線防護において考慮に加えるに十分でない」と述べている[12]。
核戦争防止国際医師会議のオーストラリア支部メンバーで、核兵器廃絶国際キャンペーン(en)のSue Warehamによると、原子力産業では放射線の危険性を控えめに扱い、ホルミシス概念の普及を続けているとしている[13]。
ロシア科学アカデミーのアレクセイ・ヤブロコフらによると、ホルミシスの提唱者達は、放射線関連の疾病の増加が隠すことのできない事として明らかとなってきてからは、その放射線由来の疾病は全国的な恐怖の結果であるとの言い逃れを試みるようになり、同時に線形非閾値モデル(LNTモデル)に基づく放射能の影響を否定するキャンペーンが始まり、チェルノブイリ原子力発電所事故以後、ある科学者達は人以外の系における低線量効果に基づいてチェルノブイリのような線量は人間や全ての生物にとってためになるとの主張を始めて、LNTモデルなど現代の放射線生物学のいくつかの概念の改訂を試みる活動が続けられているとしている[14]。
米国科学アカデミー「電離放射線の生物学的影響に関する委員会(BEIR)」によるBEIR VII報告(2005年)は、生物学的基礎研究(動物実験や細胞レベルの実験)と人間集団の疫学データをあわせて考慮した上で、低線量域でも放射線の被曝線量と影響の間には、しきい値がなく直線的な関係が成り立つとするLNT仮説は科学的に正しいと結論し、「LNTモデルは低線量放射線の健康影響を過大に考えているという見解も委員会は入手している。リスクはLNTから推計できるものより小さいか存在しないかであり、あるいはむしろ低線量被曝は人体によい影響をもたらすこともある、という考えである。我々はこうした仮説も受け入れることはできない。たとえ低線量であっても何らかのリスクがあるらしいことを示す情報の方が優勢なのである。」と述べている[15][16]。
近年では、日本の電力中央研究所や放射線医学総合研究所、東京大学、京都大学、東北大学、大阪大学、広島大学、長崎大学などの各大学[17][18]やマサチューセッツ大学のエドワード・キャラブレスらが継承して研究している[19]。
電離放射線の性質を利用する放射線療法においては、放射線ホルミシスの範囲を逸脱する100から150ミリシーベルトという線量での放射線照射を数回全身あるいは半身に対して行うことで生体の免疫機能を高め、癌治療のための局所照射の効果を増強し、治癒率を高めたとする研究がある。局所腫瘍が発見された時点に、すでに他所に転移している可能性の大きい悪性リンパ腫を対象としたもので、他の治療法が試行されていない患者に承諾を得て30余例の治療が行われた[20][21][22]。
児玉龍彦は放射線ホルミシスについて、(放射線などを当てると)p38というMAPK(分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼ)とか、NF-κB(エヌエフ・カッパー・ビー)というシグナル系の分子が動く。これは短期的には様々な効果をもたらし、それを健康にいいとか悪いとかいう議論は様々ある。しかし、こういう状態を長期的に続けると、慢性炎症と呼ぶ状態になり、慢性炎症は例えばガンの前提の条件になったり、様々な病気の原因になるということがよく知られていると述べている[23]。
野口邦和(放射線防護学)は、放射線ホルミシスが原子力発電所の立地にともなう住民説得の道具として使われていることを指摘し、「ホルミシス現象が報告されているとおり本当に起こるのか、起こるとした場合、どういうメカニズムで起こるのか、起こるときの線量の範囲はどのくらいか」などを研究することは、放射線生物学的に意味のある重要なことであるが、現在までのところ、放射線ホルミシスは十分に証明され確立された現象ではなく、「放射線にまったく被曝しなかった人よりもちょっと被曝した方が発癌率が低かったり、かえって長生きする」などと主張することは明らかな誤りであり、「無用な放射線被曝はできるだけ避ける」「避けることのできない放射線被曝は、被曝線量をできるだけ低くする」ことが依然として放射線防護の大原則であるとしている[24]。
放射線被曝と発ガン抑制のしくみ
放射線による発ガンの機構は十分に解明されているとはいえないが、現時点では「DNA 損傷→染色体異常→突然変異→細胞ガン化」と進む経路(発ガンの突然変異説)が受入れられている[25]。原爆被爆者の調査から一気に被曝した場合100ミリシーベルトで発ガンのリスクが1%高まることがわかっている[26]。電離放射線によるDNA分子の電離が直接にDNAの化学結合を切断するような作用が「直接作用」である[27]。一方「間接作用」とは、電離放射線によって水から反応性の高い・OH(ヒドロキシラジカル)などの活性種(水和ラジカル、Hラジカル、過酸化水素)が生成され、これらがDNAと化学反応することで損傷を引き起こすことである[27]。X線照射の場合、生物学的損傷の約1/3は直接作用、約2/3は間接作用の結果と考えられている[27]。 活性酸素は日常において運動・呼吸・食事からでも1日に細胞1個あたり約10億個発生している[28]。放射線を被曝するとヒドロキシラジカルを消去するグルタチオン(GSH)とスーパーオキシドを消去するスーパーオキシドディスムターゼ(SOD)が増加することで活性酸素処理能力(抗酸化機能)が高まることは細胞レベルの動物実験で証明されている[29][21]。
DNA損傷の数は普段でも細胞1個当たり1日数万から数十万個であり、運動、食べ過ぎ、飲みすぎ、紫外線、タバコ、ストレス、炎症などがあれば活性酸素が増加し、DNA 損傷はさらに増える[30]。放射線を100ミリシーベルト被曝した場合のDNA損傷の数はおよそ200個であり、被曝線量が100ミリシーベルト以下の場合のDNA損傷は自然の変動幅に埋没してしまう程度であるが、放射線だけで生体の防御能力を超えなくてもタバコ+ストレス+放射線というように発ガンの原因が重複して生体の防御能力を越えることもある[31]。一方で放射線によりDNA修復活動が活性化されることが放射線ホルミシス研究委員会によって確認されている[32]。
DNA 損傷が多いために修復できないとか、修復にミスが起きて異常な遺伝子が残こることで突然変異を持つようになった細胞は自爆させられるが(アポトーシス)、これはp53というガン抑制遺伝子が働くものであり、この遺伝子は低線量放射線によって活性化することが証明されている[33][31]。人間には2万5千の遺伝子があるが、一定の数のDNA修復に関係する遺伝子、DNAの保護に関わる遺伝子があり、普通はこれがやられないと低線量の傷害はだいたい問題なく修復される。しかし、p53のような、DNAを守っていたり、そういうところに関わる遺伝子が壊れるとガンになるということがわかっている。2万5千の遺伝子の中でどこがやられるかということは、極めて確率論的である[34]。放射線は腫瘍抑制遺伝子の不活性化因子として有効に働き、発ガンの後期で進行因子の役割を果たすとする説がある[35]。
それでも遺伝子異常をもったまま自爆できない細胞が残って突然変異が蓄積されると発ガンのリスクが増える[31]。突然変異からガン細胞が生まれるためには突然変異が10 数個蓄積されることが必要であるが[31]、突然変異ではない経路で発生するガン細胞もある[36]。ガン細胞は通常でも毎日数千個発生するが免疫細胞は体内を巡り、ガン細胞を見つけては処分しているため(免疫学的監視機構)ガンの発症がない[37]。このように働くキラーT細胞などの免疫系細胞が低線量放射線で活性化されることは多くの実験・調査で確かめられている[36][21]。マウスに低線量率放射線照射(0.95 mGy/h)を試みたところ、Tリンパ球の増殖応答に一時的な亢進が見られたものの、持続的な亢進やNK細胞の傷害活性の亢進は認められなかったとする報告がある[38]。
LNT仮説とホルミシス仮説
来、放射線の生物への影響に関する研究は、“放射線はすべて、どんな低い線量でも生物に対して障害作用をもつ”との考えに沿って行われてきた。これは、どのような量でも生物学的に有害でプラスの効果がなく、有害な効果が量と共に増大するとするしきい値なしの直線モデル(LNT仮説)によるものである[1]。
ホルミシス理論では、少量で極大のプラス効果を持つ刺激が生じ、さらに用量を上げていくと、効果がないゼロ相当点(ZEP:zero equivalent point)に達し、これが“しきい値”とされ、その値を超える場合に有害なマイナス効果が増大する、とされる[1]。
電力中央研究所による放射線ホルミシス効果検証プロジェクト 電力中央研究所による放射線ホルミシス効果検証プロジェクト [編集]
電力中央研究所の服部禎男は1984年、アメリカ合衆国の生化学者トーマス・ラッキーの唱えた放射線ホルミシス論を知り[39]、その当否を米国電力研究所に質問し、責任ある回答を要求した[40]。1985年8月、放射線ホルミシスの専門会議がオークランドで開かれ、放射線ホルミシスが肯定された[40]。この際に、「ラッキー博士の主張は科学的に間違っていないが、データの多くが昆虫など小動物によるものであるので哺乳動物実験などを通して積極的に研究されるべき」とのコメントを得ている[40]。1993年、電力中央研究所は、東京大学、放射線医学総合研究所、京都大学、東北大学、大阪大学、広島大学、長崎大学、東邦大学など14の大学などの研究機関に研究費の提供を開始して研究を依頼し、放射線ホルミシス効果検証プロジェクトを立ちあげた[17]。その後、電力中央研究所は、自らも2000年に理事長直轄の独立組織である低線量放射線研究センターを設立したが[41]、2004年には電力中央研究所では頻繁に行われてきた全体及び各部門の組織名称変更により、それまでの狛江研究所が原子力技術研究所という名称に変更され、2006年にはその中に、低線量放射線研究センターが理事長直轄のセンターから原子力技術研究所内の附置センターに格下げされた形で、その目的も「原子力利用における放射線防護体系の構築を進めるため」と変更され、放射線安全研究センターと改名された[42]。 このプロジェクトでは、
- 老化抑制効果
- がん抑制効果
- 生体防御機構の活性化
- 遺伝子損傷修復機構の活性化
- 原爆被災者の疾学調査
- SOD(活性酸素を不均化する酵素群)の活性化によって余分な活性酸素が消去されるならば、それは「老化抑制」に寄与する
- リンパ球(T細胞)の活性化が生じるならば、それは生体の免疫力を高めて「がん抑制」に寄与する
2.のがん抑制効果の検証研究の結果、ラットを使った実験において、15センチグレイの低線量照射を一回行うことで、がん転移率が約40%下がること、また、1回当たり4センチグレイの低線量照射を行うことで、腫瘍の増殖肥大が有意に抑制されることが確認された[17]。
また、通常の放射線治療では、約6000センチグレイの高線量放射線を、30回に分けて患部に局所照射し、がん細胞を殺す方法が採用されている。これに対して、同プロジェクト東北大学グループは、これまでの局所照射方法に加えて、10センチグレイの低線量放射線を週3回の割合で全身に照射し、これを5週間にわたり継続して行う方法を併用したところ、高線量の局所照射を単独に行う場合に比べて、治癒率が有意に向上した[17]。
また、同プロジェクトでは、分子レベル、細胞レベル、個体レベルの三つのレベルにおいての放射線ホルミシス効果が検証された[17]。
分子レベルにおけるホルミシス効果
生体を構成する分子レベルにおけるホルミシス効果
細胞レベルにおけるホルミシス効果
個体レベルにおけるホルミシス効果
さらに「個体レベル」においては、- 制がん・抗がん作用
- 活性酸素病に対する効果
- 高血糖値の降下
- 放射線抵抗性の獲得
- 高線量照射に対する生残率の向上
- 中枢神経系への刺激作用
- 覚醒刺激としての認識
- 心理的ストレスの軽減
- ヒトの疫学的効果
- ガン以外の死亡率の低減
原爆放射線被曝を例とすると、その被害および研究者によってはその効用について報告されているが[49]、このような統計手法に関しての問題点には「稀な事例を確認するために必要な集団サイズの増大による統計的確認の困難」と「原因を放射線のみとすることができない」ことがある。
- 稀な事例を確認するために必要な集団サイズの増大
- 対照実験と異なり、統計では原因を放射線のみとすることができない
癌発症までに対する追跡期間の問題
癌の発症など長期間を要する晩発性の影響を調べる場合には、原爆被爆者に対する放射線影響研究所による寿命調査(Life Span Study, LSS)のように、生涯にわたって被曝者の追跡調査をすることで全容を解明することができる。しかし、実際は予算の制約などから、原爆被爆者以外で長期にわたる追跡調査が行われている例は皆無に等しい。ホルミシス効果には、癌死の予防効果や長生き効果など様々な事例が報告されているが、追跡期間が短すぎたために見かけ上ホルミシス効果が観測されることがあり、追跡期間がより長期で行われた場合、ホルミシス効果が確認されなくなった調査結果もある。下記にその一例を示す。
『放射能汚染マンションによる癌死の予防効果』に対する問題
台湾では台北市およびその周辺において1982年から1984年に放射性物質であるコバルト60が建築資材に混入し学校やアパートの鉄筋に用いられ、約1万人が長期にわたって被曝したが、2004年に第14回環太平洋国際会議(PBNC)において発表された調査結果によると、1983–2002年の期間におけるアパートの居住者の癌死の発生は、台湾の一般公衆の自然発生的な癌死の発生のおよそ3%にまで激減し、先天性奇形も、一般人の発生のおよそ7%と劇的な低下を示した。従って、低線量慢性被曝は癌死亡を劇的に予防する[54][55]。論文は2007年に「Dose Response」誌に掲載されたが[56]、2004年の会議は大いに議論の呼ぶところとなり、米国エネルギー省(DOE)の仲介でカナダの疫学調査の専門家が研究に参加し、詳しい調査が行われることになった。
- 2008年に発表された台湾国立陽明大学による疫学調査の結果によると、追跡期間を1983-2005年、症例は国立癌登録で特定、各個人の行動様式から個人線量を推定、住民の受けた平均被曝線量は48mGy(中央値6.3mGy)とし、比例ハザードモデル(Proportional hazards model)を用いた解析からは、以前の報告にあったようながん減少の傾向は観察されず、慢性リンパ球性白血病を除いた白血病で、100mGyあたり1.19(95%CI 1.01–1.31)のハザード比(Hazard ratio)の有意な増加が観測され、乳癌で、100mGyあたり1.12(90%CI 0.99–1.21)のハザード比の増加傾向が観測されている[57]。なお、この研究では住民の行動様式から個人線量を推定しているが、個々の被曝線量は染色体損傷や歯や骨に記録された放射線損傷から調べることができる[58]。
- 『原爆による長寿効果に対する』問題
- 放射線影響研究所では2011年に原爆の被曝影響の研究結果をまとめた総説を発表し、寿命の短縮(Life Span Shortening)という節の中で、原爆被爆者の平均余命は、被曝線量の増加に伴い、1Gyあたり約1.3年の短縮となり[60]、1Gyの被曝時における平均余命の全損失に占める割合は、固形癌が約60%、癌以外の疾病が約30%、白血病が約10%と報告している[61]。
- ロバート・アーリックは「Nine Crazy Ideas in Science(邦題『トンデモ科学の見破りかた 』)」で、被曝に関する統計データについて、全体から特定部分のみのデータを用いるチェリー・ピッキング行為など、恣意的なデータ選択の問題を指摘している[62]。また、「なぜ癌以外の病気の死亡率だけを考慮するのか?なぜ男性だけを考慮するのか?なぜ一九七〇~一九八八年のあいだだけの死亡を考慮するのか?なぜ広島ではなく長崎だけの被爆者を考慮するのか?」と問いかけたうえで、より広い母集団による統計では、0.5-0.99Gyの線量での相対リスクの減少は見られず、むしろ増加を示すと主張している[63]。
中国広東省陽江県には、自然放射線の高い地域があるが、1970~1986年間にわたる調査の結果、対照とした周辺地域に比べて統計的に有意ではないが癌死亡率が低かった[64]との報告がある 。
- 調査期間を延長して調べた結果、対照とした周辺地区と高自然放射能地区の間で、癌死亡率の差は見られなかった[65]。
Ivanov et al.(1996)[66]の研究によると、1982年から1994年にかけて、チェルノブイリでは小児の白血病に対する顕著な傾向が見られない[67]。原発事故で放射能を被曝したとしても、子どもの白血病の心配は無用である確証が得られた[68]としている。なお、チェルノブイリ原発事故直後から処理作業に参加したアルチュニアン[69]によれば「一般住民に及ぼされた被曝による健康影響は、甲状腺がん以外には一切確認されていないというのが私たち専門家の一致した見解」としている[70]。
- Noshchenko et al. (2010)による1987年から1997年の期間を対象としたウクライナにおける小児白血病の研究の結果、10mGy以上の被曝に対して、0-5歳児における小児の白血病のリスクに関して有意であると報告されている[71]。
トーマス・D・ラッキーは自然放射線レベルから年間10Gyの間の全身照射であればホルミシスは生じるとし、被曝線量の許容値としては保守的な値として年間1Gyを主張している[72]。電中研の服部禎男は、「自然放射線の100 倍を自由に被ばくできる健康センター施設を全国につくりたい」とし、そのためにはリミットをトーマス・ラッキーの示した年間1Gyが適当であるとし[73]、放射線量率が毎時100mSvあるいは毎時1Sv以下では癌にならないとの学者の研究発表があると主張している[74]。 2003年に米国DOEの低線量放射線研究プログラムによる支援等を受けて[75]、PNASに発表された論文によれば、人の癌リスクの増加の十分な証拠が存在するエックス線やガンマ線の最低線量は、疫学データに基づくと、瞬間的な被曝では、10-50mSv、長期被曝では50-100mSvであることが示唆されている[76][77]。さらに低線量における癌リスクを推定する最適な方法は、中間から極低線量まで線形外挿が最適な方法のようであるとしている[78]。瞬間的な被曝の研究として原爆の被曝影響における調査では、5-125mSv(平均34mSv)で固形癌死亡率の有意な増加、5-100mSv(平均29mSv)で癌罹患率の有意な増加を示している[79]。
また、同論文では「いくつかの動物実験は、低レベルおよび中レベルの放射線被ばく量が寿命を向上させ得ることを示唆するが、すなわち潜在的なホルミシス反応を示唆する。低線量被ばくのケースにおいてしばしばあることだが、当該データはいくつもの意味に取れる曖昧なものである。すなわち、たとえば、Maisinらは500mGyのx線急性被ばく後に138匹のC57BLマウスが比較群よりも平均50日長生きしたことを報告する。対照的に、Storerらは同じ被ばくを受けた1390匹のRFMマウスが平均で75日短命であったことを報告している。」と述べている[80][81]。
財団法人環境科学技術研究所ではマウスを使った寿命試験を行い、低線量率の放射線でも連続照射によって高線量を照射すると白血病を誘発する作用を持つことが明らかになった、と報告している。なお、ここでいう低線量率とは1日20mGyである[82]。
財団法人放射線影響協会「原子力発電施設等 放射線業務従事者等に係る疫学的調査 平成17年度~平成21年度(第IV調査)」では、放射線業務従事者(平均被曝線量は累積で13.3mSv)の白血病を除く全悪性新生物のSMR(標準化死亡比 95%信頼区間) は1.04(1.01-1.07)で、全日本人男性死亡率(20歳以上85歳未満)に比べ有意に高かった。生活習慣等による影響の可能性を否定できないものの、肝臓、肺の悪性新生物のSMRが有意に高いことが寄与しているものと考えられるとしている[83]。
理論的課題と評価
カリフォルニア大学の生物学者レスリー・レッドパースは、「低用量時にある種の防御メカニズムを刺激するもので概念的にはワクチンに似ている」としている[19]。
ロチェスター大学医科歯科校のバーナード・ワイスは、「高用量での測定に基づく低用量での有害性の推定は間違いのもとになる」と指摘している[19]。
米国立環境健康科学研究所(NIEHS)のクリスチーナ・サイヤーは、エドワード・キャラブレスの主張を支えるために用いられている論理とデータの論文について評価し、その根拠の欠陥を指摘している[19][84]。
ジョーン・ピータソン・マイヤーズは、「ホルミシスは欠陥のある理論」と指摘している[85]。
疫学の専門家アリス・スチュワート医師の調査結果は、放射線に無害な量はないことを示しており、バックグラウンド放射線や低線量条件下において引き起こされた癌の数が放射線防護委員会によって軽視されていたことを示した[86]。
関連団体
国際ホルミシス学会
2005年に国際ホルミシス学会(International Dose-Response Society)が発足され、学術雑誌としてDose Response誌を発行している。Dose Response誌の2011年現在の編集長は、マサチューセッツ大学のホルミシス研究者、エドワード・キャラブレス(Edward J. Calabrese)とバーバラ・キャラハン(Barbara G. Callahan)がつとめる[87]。編集委員には規制当局側のEPAやFDAの他に、ダウ・ケミカルやR.J.レイノルズ・タバコ・カンパニー、シンジェンタ(Syngenta Central Toxicology Laboratory)などの企業からも受け入れている[87]。共同編集者にはモンサント社や米国エネルギー省、 アメリカ空軍などのメンバーも含む[87]。編集長のキャラブレスは、化学物質に対して、高用量で有害な影響を持つものでも、低用量では有益な影響を有するホルミシス効果があるとして、低用量で有益なら厳しい規制の必要性はなく、健康基準に関しても緩和すべきだとの主張を行っているため批判もある[88]。キャラブレスの研究は、国防省から研究資金を受けているとの指摘もある[89]。
一般社団法人 ホルミシス臨床研究会
日本国内におけるホルミシス普及を目的とした機関。学会からの反応
放射線・科学・健康協会
1996年に、ミズーリ大学のトーマス・ラッキー名誉教授、『私はなぜ原子力を選択するか―21世紀への最良の選択』(The Nuclear Energy Option)(ISBN 4900622052)[90]の著者でもあるピッツバーグ大学のバーナード・コーエン名誉教授(Bernard Cohen)、大阪大学の近藤宗平名誉教授、電力中央研究所の服部禎男等によって、米国のNPO団体として、放射線・科学・健康協会(Radiation, Science, and Health, Inc.:RSH)が設立された[91][92]。RSHはLNTモデルが誤りであることを示すためのデータを提供し、放射線防護にはコストが掛かり過ぎるとして放射線防護に関する公共政策の見直しを目指している[93]。RSHの見解によると、政府機関が放射線ホルミシスを含むデータを抑圧し、放射線の恐怖を助長しているとの見方を示している[94]。RSHでは放射線ホルミシス効果を支持する科学的データの収集を行い、放射線防護規制に対する抗議運動を活発に行っている[95]。1999年4月21日、後援にRSHを筆頭に各原子力関連の学会や放射線関連学会、協賛に電気事業連合会のサポートを得て、「低線量放射線影響に関する公開シンポジウム―放射線と健康」[97]が東京の京王プラザホテルで開催された[98]。
放射線影響研究所
日米両国政府が共同で管理運営する公益法人として1975年に発足し、放射線の人に及ぼす医学的影響およびこれによる疾病を調査研究している公益財団法人。癌に関しては定型的な線量閾値解析では閾値は認められなかった。すなわち癌に関するホルミシス効果はゼロ線量が最良の閾値推定値だったと否定的な見解を示している。[1]最終更新 2012年12月23日
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崎山比早子講演会(2011年9月23日/ユーアイ福井)
アップロード日: 2011/09/27
「放射線被害を正しく知るために」崎山比早子講演会
2011年9月23日/ユーアイ福井(福井市)
主催:サヨナラ原発福井ネットワーク
崎山比早子氏(元 放射線医学総合研究所主任研究官、医学博士、高木学校原子力教育を考える会)
【放射線の生物影響】
・高木学校の紹介~原子力発電所のしくみ
・核分裂エネルギー~福島第一原発にある核燃料
・世界の地震帯~原発事故による放射性物質の拡散
・放射線と放射性物質~外部被ばくと内部被ばく
・DNA~DNAの複製
【放射線によるDNA損傷 その修復とがんの発生】
・放射線の量と単位~被ばくのリスク
・JCO事故~人皮膚細胞の入れ替わり
・変異は細胞にたまって行く~がんは多数の遺伝子の変化で起きる
【被ばく線量と発がんの関係】
・線量当たりの発がんリスク
・発がんの「しきい値なし直線説」を採用している機関
・胸部CT検査による年齢別がんリスク
【原発事故と放射性セシウム】
・セシウム137による環境汚染と人体汚染の関係~福島の場合
・大人と子供の臓器別セシウム137蓄積量比較~セシウム蓄積量別血圧
・セシウム高汚染地区の子どもの健康状態
・アップルペクチンによるセシウムの排泄
【原発事故とヨウ素剤】
・放射性ヨウ素の吸収と甲状腺への蓄積~ヨウ素剤の効果と配布基準・場所
・ヨウ素剤の服用量~各国のヨウ素剤配布方法と備蓄
・汚染地域における甲状腺がんの年次発生(ベラルーシの子供15才未満)
・汚染地域における甲状腺がんの年次発生(ベラルーシの子供15才以上)
・SPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測)結果
・放射性ヨウ素被ばくによる甲状腺がん発症予測
・チェルノブイリ事故の被害
・『チェルノブイリ大惨事、人と環境に与える影響』
サヨナラ原発福井ネットワーク
http://www2.interbroad.or.jp/shimada/...
2011年9月23日/ユーアイ福井(福井市)
主催:サヨナラ原発福井ネットワーク
崎山比早子氏(元 放射線医学総合研究所主任研究官、医学博士、高木学校原子力教育を考える会)
【放射線の生物影響】
・高木学校の紹介~原子力発電所のしくみ
・核分裂エネルギー~福島第一原発にある核燃料
・世界の地震帯~原発事故による放射性物質の拡散
・放射線と放射性物質~外部被ばくと内部被ばく
・DNA~DNAの複製
【放射線によるDNA損傷 その修復とがんの発生】
・放射線の量と単位~被ばくのリスク
・JCO事故~人皮膚細胞の入れ替わり
・変異は細胞にたまって行く~がんは多数の遺伝子の変化で起きる
【被ばく線量と発がんの関係】
・線量当たりの発がんリスク
・発がんの「しきい値なし直線説」を採用している機関
・胸部CT検査による年齢別がんリスク
【原発事故と放射性セシウム】
・セシウム137による環境汚染と人体汚染の関係~福島の場合
・大人と子供の臓器別セシウム137蓄積量比較~セシウム蓄積量別血圧
・セシウム高汚染地区の子どもの健康状態
・アップルペクチンによるセシウムの排泄
【原発事故とヨウ素剤】
・放射性ヨウ素の吸収と甲状腺への蓄積~ヨウ素剤の効果と配布基準・場所
・ヨウ素剤の服用量~各国のヨウ素剤配布方法と備蓄
・汚染地域における甲状腺がんの年次発生(ベラルーシの子供15才未満)
・汚染地域における甲状腺がんの年次発生(ベラルーシの子供15才以上)
・SPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測)結果
・放射性ヨウ素被ばくによる甲状腺がん発症予測
・チェルノブイリ事故の被害
・『チェルノブイリ大惨事、人と環境に与える影響』
サヨナラ原発福井ネットワーク
http://www2.interbroad.or.jp/shimada/...
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http://www.amara.org/ja/videos/zzyKyq4iiV3r/ja/26352/
http://kibitan.net/Chernobyl8
チェルノブイリ百万人の犠牲者チェルノブイリ原発事故で百万人の犠牲者の現実「チェルノブイリ~大惨事の環境と人々へのその後の影響」 | |
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