2012年12月11日火曜日

笹子トンネル崩落の原因は「アンカーボルト」の腐食ではなかった

笹子トンネル



笹子トンネル崩落の原因は「アンカーボルト」の腐食ではなかった

http://news.livedoor.com/article/detail/7217585/

週プレNEWS 2012年12月10日09時00分

12月2日、中央自動車道「笹子トンネル」で発生した「吊り天井板落下事故」は、死者9名、負傷者2名の痛ましい結果を招いた。この重大事故は、なぜ起きたのか?

NEXCO中日本の発表では、笹子トンネル内部、約140m区間に崩落したコンクリート板(1枚約1トン)は約330枚。これらは天井裏に換気用スペースを作るために、1枚当たり6本の鋼鉄製「アンカーボルト」でトンネル最上部のコンクリート壁とつながれていた。

この設計は10倍以上の荷重にも耐えると計算されていたが、構造物のどこかに想定外のストレスがたまり、12月2日のある瞬間に耐久限界を超えたとしか考えられない。そのため、第一の「容疑者」に挙げられたのは長さ23cm、直径1.6cmの「アンカーボルト」だった。この部品はどんな使われ方をしていたのか?

「笹子トンネルのアンカーボルトには溝があり、これを天井部のコンクリート穴にねじ込んでいます。あらかじめ穴の奥には高性能接着剤入りのカプセルを差し込み、これが割れてアンカーボルトとコンクリートが強固に一体化します。この施工法はケミカルアンカーとも呼ばれ、トンネル以外にも多くの構造物の吊り天井で利用されており、特に珍しいものではありません」(NEXCO中日本の広報課)

しかし、この事故を受け、建設資材業界などでは「アンカーボルトに、ぬれぎぬを着せるな!」という反対意見が多く出たという。

「うちは直接仕事はしていませんが、笹子トンネルの天井に打ったアンカーボルトは今の荷重なら50年以上はビクともしないはず。それこそコンクリート板を1枚ずつ重機でガンガン引っ張るか、ボルトを焼き切らなければ、笹子トンネルの天井板は簡単には壊せません。あの140m区間のボードすべてを落としきるには、10日間以上の工期が必要でしょう」(神奈川県内の金属建材部品メーカー)

もしアンカーボルトの劣化と破損がコンクリート板落下の原因なら、140mの限られた場所だけで瞬間的な破壊が起きたのは不自然だと疑問視する専門家は多い。そして本当の原因究明は中央自動車道大月JCT~勝沼IC開通の2年前、笹子トンネルが先に完成した1975年にまでさかのぼるべきだという意見も出てきた。防災建築工学の専門家・三舩康道氏(工学博士、一級建築士)は、こう説明する。

「もう記憶に薄いでしょうが、1996年から98年にかけて山陽新幹線の路線各地で高架橋の床板コンクリートが次々にはがれ落ちる事故が起きました。それはコンクリートの品質の悪さが原因で、山陽新幹線の高架橋を造った1965年から75年は高度経済成長時代にあたり、全国的な建築ブームで建築資材が不足していたんです。特に西日本ではコンクリートに混ぜる骨材の小石や砂利が手に入らず、ほとんど塩抜き処理をしていない海砂が大量に使われました。その結果、コンクリート内部の鉄筋がさびて膨らみ、常識外の早さで構造物の損傷が起きたのです」

笹子トンネルもまた、山陽新幹線の高架橋と同じ1965年から75年にかけて造られた。しかも、この年代の建設業界で起きた問題は、コンクリート量の2倍以上を必要とする骨材の不足だけではなかった。コンクリートの需要急増に合わせて大手メーカー各社が新しい大量生産方式を導入したため、短期間で骨材がボロボロに分解して構造物を劣化させる「アルカリ骨材反応」が起きやすいコンクリートが全国の建築現場へ供給されたのだ。

笹子トンネルでも、その欠陥コンクリートが使われた可能性は高い。12月4日に笹子トンネル内部へ入った国交省の「トンネル天井板の落下事故に関する調査・検討委員会」も、「アンカーボルトの大部分は天井から抜け落ちたが、どれも目立った腐食などは見られず、今後はコンクリートの劣化についても調査と分析を行なっていく」と報告している。

この時限爆弾のようなトラブルの発生を、実は1980年代から正確に計算予測していた学者がいる。1999年に『コンクリートが危ない』(岩波新書)を発表した、小林一輔氏(東大名誉教授)だ。残念ながら小林氏は3年前に亡くなったが、山陽新幹線・高架橋の落下事故当時に、週プレの取材に対して次の衝撃的な予測を述べてくれた。

「1965年から75年頃に生産された欠陥コンクリート製の建造物は、2011年から15年頃に深刻な破損が起き始め、必ず大きな社会問題に発展します。また高度成長期時代のコンクリート建築物の脆弱さは、建材の問題だけではありません。当時の建設現場で横行した水増しコンクリート(シャブコン)など、数々の手抜き工事も危険な時限装置になるでしょう」

この小林予測どおり、今回の笹子トンネル事故では、これまで隠されてきた衝撃の事実が明らかになった。大月~勝沼間開通直前の1976年11月に、会計検査院が旧・日本道路公団総裁に対して「工事監督不行届による笹子トンネルの強度不足」を指摘したのだ。その指摘の中でいわれた規定の厚さの約半分しかコンクリートが打たれなかった工事箇所こそが、トンネルの天井部分だった。

今回の大惨事の原因はアンカーボルトではなく、コンクリートの欠陥と手抜き工事だったのか? 今後の調査結果に注目したい。

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参考リンク:

アルカリ骨材反応:Wiipedia

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%82%AB%E3%83%AA%E9%AA%A8%E6%9D%90%E5%8F%8D%E5%BF%9C


アルカリ骨材反応(あるかりこつざいはんのう)とは、コンクリートにおける劣化現象の一つである。コンクリートに含まれるアルカリ性の水溶液が骨材(砂利や砂)の特定成分と反応し、異常膨張やそれに伴うひび割れなどを引き起こす。アル骨(あるこつ)と略されることもある。

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参考リンク:

笹子トンネルの吊天井事故について

http://matuoka777isenokamikaze.blogspot.jp/2012/12/blog-post_6.html

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