2013年11月13日水曜日

AP記事が暴露 米原子力規制委員会が業界と共謀 democracy now

AP記事が暴露 米原子力規制委員会が業界と共謀 democracy now



アップロード日: 2011/12/03
詳細・・・AP記事が暴露 米原子力規制委員会が業界と共謀して安全基準の緩和に動く デモクラシー・ナウ
http://democracynow.jp/video/20110624-1

字幕翻訳:田中泉/校正:桜井まり子
全体監修:中野真紀子/サイト作成:丸山紀一朗



AP記事が暴露 米原子力規制委員会が業界と共謀して安全基準の緩和に動く

放送日:  2011/6/24(金)
再生時間: 
14分
AP通信の連載企画記事“Aging Nukes”(老朽化する原子力発電所)(2011年6月20日から28日にかけて配信)は、業界となれ合い状態にある米国の原子力規制、放射性物質の漏出、漏出の実態調査の不備など、お寒い状況を明らかにしました。記事を執筆したジェフ・ドン記者が連載の渦中にデモクラシー・ナウ!に登場です。

4本からなる特別記事の第1報がすっぱ抜いたのは、原子力規制委員会(NRC)と原子力発電業界との癒着です。老朽化する原子炉が法定基準を満たせるようにするため、たがいに協力しあって安全基準の方をゆるめ続けてきたというのです。米国の原発は、1960年代と1970年代に耐用年数40年程度を想定して設計され、40年のライセンスを供与されました。この前提には、ライセンスが切れる前に改良された新しい型が登場し、当然、それに模様替えされているだろうという見込みがありました。ところが、1979年にスリーマイル島事故が起き、その後、米国での原発開発は事実上、停止しました。新しい原発が建設されることなく、現在、米国にある104カ所の原発のうち、66カ所でライセンスの20年更新が許可され、その他の16カ所でも現在、更新申請が審議されています。

ライセンスの更新に大きな力を持つのが原子力規制委員会です。1975年に設立された原子力規制委員会は、原子炉の安全、原子炉の設置許可およびその更新、放射性物質の保安および認可、放射性廃棄物管理(貯蔵と廃棄)について監督し、規制を行う機関です。5年任期の委員5名は大統領が指名し、上院の同意を得て任命され、うち1名が大統領から委員長に任命されます。この種の機関が業界よりになりがちなのは、例に事欠きません。

ドン記者は委員会と業界とのなれ合いの様子を次ぎのように語っています。「普通は企業のほうが政府に働きかけるのですが政府が企業に相談することもある。これこれの部品がもう基準に触れそうだがいったいどうしたものだろうと。そこで政府も業界もそれぞれ調査なるものを開始しますが結論はいつも決まっている。基準を緩和するのです。決まり文句は『従来の基準は慎重すぎた』」。この手で2010年には、放射線による格納容器の損傷に対する安全基準も緩和されてしまいました。

APの第2報が明らかにしたのは、米国の原発65カ所のうち48カ所で放射性のトリチウムが漏出していた事実でした。腐食した埋設パイプから地下水に流れ込んでいるケースも多々あり、少なくとも37施設から漏出した濃度は連邦飲料水基準を超え、時には基準限度の数百倍という数値を示したと言います。幸い、人体に大きく影響しないレベルではありましたが、こわいのは、地下に埋められている配管の状況を「正確に把握する技術がない」ことです。企業も規制当局も現状を把握できません。「地下に埋まっている何キロもの配管」を始め、旧い原発は損傷の疑いがある確認しにくい部分をたくさん、抱えています。トリチウムは水の形で存在し、土壌を移動しやすいのでまっさきに検出されることが多いけれでも、これが検出されたからには、他にもまだ知られていないだけで、より危険な放射性物質も漏出している可能性も否定できません。

番組で質問の出た、原子力発電所周辺住民の避難計画については、APの第3報が報じました。原発が建設された当時は人口もまばらだった地域が、いまでは周辺に多くの住民を抱えています。コンピューター分析によると多くの施設で1980年以来、人口は4倍半にも膨らんでいますが、避難計画は更新されていません。また、原発の老朽化や核廃棄物の蓄積などで危険が増しているにもかかわらず、避難地域指定が1978年に設定された周辺10マイルのままであることにも、APの記事は疑問をつきつけます。

番組終了から数日後に配信された第4報では、ライセンスを取る時には40年の寿命と言っていた業界と規制委員会が、いまでは、「いやあ決まった寿命なんてものはありません。100年でもいけます」、と主張していることが記されています。実際、福島原発事故のわずか1日前の、3月10日に原子力規制委員会はバーモント州のヤンキー原子力発電所の操業許可の更新を発表したばかりでした。運転開始から38年になる同原発は福島第一原発とほぼ同じ沸騰水型原子炉で、過去に一連の放射性トリチウム漏れを起こしており、バーモント州議員らは2012年に現在の許可の期限が切れた後、廃炉にすることを可決していました。更新ライセンスは3月21日に発行されましたが、州は2012年3月以降の運転継続に同意しないと発表。これに対して原発の持ち主であるエンタジー社は、強制閉鎖を回避するべく、州政府に対して訴訟を起こしています。

APのこの連載記事は、何万ページにものぼる政府と業界による調査、実験結果、監査報告書、40年間にわたる規制政策声明書を点検し、経営者、規制当局者、技術者、科学者、内部告発者、活動家、東部および中西部の65施設の原発周辺住民にインタビューして執筆され、上院の環境・公共事業委員会の調査資料にも使われました。市民が信頼できる情報を何よりほしがっていることは、日本でも米国でも変わりありません。(大竹秀子)
ゲスト
*ジェフ・ドン(Jeff Donn) AP通信記者。2011年6月20日から28日にかけてAPから配信された「老朽化する核発電(Aging Nukes)」と題する4本の連載企画記事を執筆。
字幕翻訳:田中泉/校正:桜井まり子
全体監修:中野真紀子/サイト作成:丸山紀一朗


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