2014年8月5日火曜日

薩摩琵琶 // 壇の浦 (Satsuma-Biwa // Dan-no-ura)

薩摩琵琶 // 壇の浦 (Satsuma-Biwa // Dan-no-ura)



2013/05/05 に公開
作曲 : 歌 : 鶴田 錦史 (Composition : Vocal : Tsuruta Kinshi)
琵琶 : 田中 鶴旺 (Biwa : Tanaka Kakuo)
琵琶 : 斎藤 鶴竜 (Biwa : Saito Kakuryu)
琵琶 : 岩佐 鶴丈 (Biwa : Iwasa Kakujo)
作詞 : 水木 洋子 (Words : Mizuki Yoko)


時こそ来たれ
元暦二年三月二十四日の卯の刻に
源平両軍船出して壇の浦にて
矢合わせとぞ定めける

金剛童子の旗押し樹てて
紀伊の国の住人熊野の湛増を先陣とし攻め鼓を打って鼕々と
続くは伊予の国の住人河野通信
四国の海部を率い
何れも平家重恩の身なりしが忽ちに心変わりして
源氏につくや
白地に黒の笹龍胆打ったる旆を樹て連ねた

兵船もろとも三千余艘
平家の軍を囲まんとあせり競いて突き進む
この一団ぞ義経の麾下なりと知られける

平家の先陣は九国一の強の者
山鹿の兵藤次秀遠の精兵五百余艘
二陣は松浦党三百余艘
平家の公達二百余艘で三陣に続きたり

速潮にのる源氏の軍船
またたくうちに平家方の真只中をつき破れば

敵も味方も入り乱れ
さしもの瀬戸も舟に覆われ
落ち葉浮ぶる川波の網代に寄する如くなり

斯かりける時
新中納言平の知盛卿は
舟の船首に突立ち上がり
味方の兵ども承れ
一門の運命この一戦にあり
何のためにか命をば惜しむべき
軍ようせよ者どもと
二度三度び呼ばわったり

能登守教経は
今日を最後とや思いけん
赤地錦の直垂に唐糸威の鎧着て
いか物づくりの大太刀抜き
白柄の大薙刀の鞘を払い
左右に持って散々に薙ぎ廻る

かの岸に逃れんとすれば浪高くしてかないがたく
この汀に上がらんとすれば源氏
矢先を揃えて待ち受けたり

船手漕手も討ち果され
行方も知らず平家の船
あるいは沈みあるいは漂い
源平の国争い
今日を限りと見えたりける

二位殿は帝を抱き奉り
君は万乗の主と生まれさえ給えども

御運既に尽きさせ給いぬ
西方浄土の来迎に与らんと思し召し
はやはや御念仏唱え給え
浪の下にも都の候ぞと
幼き帝もろともに
千尋の海へぞ入り給う

哀れ無情の春の風
今は主なき戦船
いづくともなく
漂い行くこそ悲しけれ


Recorded Oct. 18,19, 1993 at #1 Studio, King Record, Tokyo Japan.

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