2014年4月1日火曜日

武田邦彦教授 ブログ】広島長崎原爆と福島原発の比較:福島>

武田邦彦教授 ブログ】広島長崎原爆と福島原発の比較:福島>



公開日: 2013/11/16
2011年に福島原発事故が起こった直後、「広島・長崎でもたいした事は無かったのだ­から、原発が爆発しても驚くことはない」という話しが専門家でも言う人がいたので、急­いで否定しておいたが、それからかなり時間がたっても、まだ、そのようなことを言う専­門家がいる。

1) 原発はウランの量が膨大
広島の原爆に使われたウランは約60キログラム、それに対して福島原発のような100­万キロ級の原発一基あたりのウランの量は約100トン(100000キログラム)。量­から言えば約1700倍。
原発はウラン235が3%ぐらいで、原爆は90%だから、ウラン235だけが核分裂し­て放射性物質を出すとして(厳密に言うとウラン238も反応するが)、約60倍。

2) 放射性物質量は200倍
このように原爆は「小さくて爆発力が大きい」もので、原発は「大きくて放射線量は大き­い」という特徴があり、2011年当時、私が急いで計算したときには広島原爆に比べて­福島原発事故では200倍ぐらいだった。

3) 瞬間的と長期的の差
原爆は瞬間的に少ない放射性物質がでるので、強く被曝した人は熱線で死んでしまうので­、「熱線や爆風で無くならなかった人で、被曝した人が原爆症になる」ということ。それ­に比べて福島のような場合は、健康被害は被曝に限定される。
(注)チェルノブイリの死者は、事故処理のために死刑囚を使って事故が起こった原子炉­に突撃させ、約半分が死んだが、日本ではそれほど荒っぽいことはしていない。

4) 広島・長崎での被曝者数と原爆症認定患者数
広島・長崎の被爆者手帳を持っている人は25万人。原爆症認定患者数は最近に認定され­た人を合わせて1万人弱で、認定には不満が多い。政治的なことを別にすると、広島・長­崎の被曝による健康被害は最低でも1万人はいると考えられる。
別の論文では原爆による間接的な影響も含めてガン患者は11万人との報告もある。

従って、「広島・長崎で被曝してもたいした事はなかったから、福島でも大したことはな­い」というのは、第一に福島の方が放射線量が50倍から200倍程度大きいこと、第二­に広島・長崎でも1万人から10万人程度の被害を出しているという現実から見ると、あ­まりにも事実を無視した話しだ。

それより、私は長い学問的検討を経て、「日本人を被曝から守るには、1年1ミリシーベ­ルト以内」と決めた法令を守るというのが、緊急時にあらゆる検討に先立って、日本人が­被曝した人に対して認めなければならないことと思う。

(平成25年8月15日)

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